日本は超高齢社会を迎え、介護の需要が年々高まっています。しかし、その一方で「介護難民」と呼ばれる、介護が必要でありながら適切なサービスを受けられない高齢者が増加している現状があります。特に都市部を中心に介護施設の不足や人材の不足が顕著であり、家族や地域への負担が深刻化しています。本記事では、「介護難民」とは何か、その現状と課題を解説し解決策を探ります。安心して暮らせる社会を築くために、どのような対応が必要なのか、一緒に考えていきましょう。
このページの目次
介護難民とは?
介護難民とは、介護が必要にもかかわらず、適切な介護サービスを受けられない高齢者を指します。これは主に介護施設の不足、介護職員の人手不足、経済的理由などが原因とされます。介護を必要とする高齢者にとって、適切な支援が得られない状況は、生活の質を著しく低下させる深刻な問題となっています。
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介護難民の現状
日本は超高齢社会に突入しており、2025年には団塊世代が75歳以上の後期高齢者となります。この急速な高齢化により、介護の需要が増加する一方で、介護サービスを提供する施設や人材が不足しているのが現状です。厚生労働省の統計によれば、要介護認定者数は2024年時点で約717万人とされ、今後も増加が見込まれています。一方で、介護施設に入居を希望しても順番待ちの状態が続き、地域によっては受け入れ先が全く見つからない場合もあります。
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介護難民に関する厚生労働省のデータ
厚生労働省の「介護保険事業状況報告」によると、特別養護老人ホームの入居待機者数は2021年時点で約29万人とされています。また、介護職員の数も不足しており、2025年までに約69万人の追加が必要とされています。この状況は、介護サービスの供給が需要に追いついていないことを示しており、特に都市部では深刻な状況です。
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介護難民の問題が起きている理由
介護を求める高齢者人数が増加
日本の高齢化率(総人口に占める65歳以上の人口の割合)は2023年時点で29.1%に達しており、今後も上昇が予想されています。これに伴い、介護を必要とする高齢者の数も増加しています。しかし、介護施設や在宅介護サービスの提供体制が追いつかず、多くの高齢者が支援を受けられない状況に陥っています。
厚生労働省が介護保険の介護報酬を削減
厚生労働省は介護報酬の抑制を続けており、2021年の改定では平均0.7%の増加にとどまりました。これにより、施設運営や職員給与の引き上げが難しくなり、結果として介護施設の新設が減少しています。介護報酬の抑制は、介護サービスの質と供給量に直接影響を与えています。
国と厚生労働省が介護保険施設に求める基準が高すぎる
介護保険施設には厳しい基準が設けられており、新規施設の設立が容易ではありません。例えば、施設面積や職員配置の要件などが厳格に定められているため、運営コストが高くなり、多くの事業者が参入を諦めています。このような状況は、介護難民の増加につながっています。
介護従事者・介護職員の給料が低い、責任が重すぎる
介護職員の平均月収は、全産業平均と比較して約10万円低い水準にあります(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)。また、業務内容は身体介助や医療的ケアなど高い責任を伴うものであり、離職率も高い傾向があります。この人手不足が介護サービスの供給不足をさらに悪化させています。
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介護難民問題の解決策
介護難民問題を解決するためには、単なる制度改革だけではなく、現場の実態に即した包括的な対応が求められます。この章では、具体的な解決策を詳細に解説します。
介護報酬の引き上げ
介護報酬は、施設運営や職員の給与支払いの根幹を支える財源です。しかし、現在の報酬水準では事業運営が難しく、職員の処遇改善にも限界があります。この問題を解消するためには、報酬の大幅な引き上げが必要です。介護報酬を従来の水準よりも増額し、介護職員の給与に直接還元される仕組みを構築することが重要です。また、インセンティブ型の報酬制度を導入することで、利用者にとっても魅力的なサービスを提供できる体制を整備します。さらに、地域の特性に応じて柔軟に報酬を設定する仕組みを導入し、過疎地や都市部の特異なニーズに応える工夫も求められます。
介護職員の処遇改善
介護職員の処遇改善は、介護サービスの供給量を確保するための最重要課題です。現場では低賃金や過酷な労働環境が理由で離職する職員が後を絶たず、慢性的な人手不足が続いています。これを解決するために、介護職員の給与水準を全産業平均以上に引き上げることが不可欠です。また、職員がスキルアップを図れる教育や研修の機会を充実させ、キャリア形成を支援する制度も整えることなども国や厚生労働省はやりますが、とにかく給料を上げることが急務です。さらに、介護職が社会的に尊重される職業として認識されるよう、広報活動や啓発キャンペーンを実施することが大切という国の姿勢も、もうそういう次元じゃありません。介護難民の問題はとにかく介護報酬を上げ、そして介護職員の給料を上げることが最優先です。もし上げられないならば、利用者の権利尊重や望む生活の重視をほどほどにして、下記にあるような仕事の量や責任の緩和策を講じて、一人一人の働き手の生産性を本来の意味で向上できる環境づくりが必要です。
施設設置基準の緩和
介護施設の不足は、介護難民問題の中心的な要因の一つです。現在、介護施設を新設する際には厳しい基準が設けられており、これが新規参入を妨げる大きな障壁となっています。この問題を解消するためには、施設設置基準を地域の実情に応じて緩和し、事業者が参入しやすい環境を整備する必要があります。例えば、施設面積や設備に関する要件を見直し、利用者のニーズに応じた柔軟な施設運営を可能にすることが考えられます。また、地域の小規模事業者が施設を運営できるよう、資金面での支援や補助金制度を強化することもやらないよりは良いですが、恒久的な介護報酬の増加や、一時的ではなく恒久的な基準の緩和が求められます。
ICT技術の活用
ICT技術の活用は、介護現場の効率化と業務負担軽減に寄与します。特に、ケアプラン作成や利用者データの管理にICTを導入することで、介護職員の事務作業を大幅に削減できます。これにより、職員は本来のケア業務に専念する時間を確保でき、サービスの質向上につながります。また、AIを活用したケアプラン作成支援システムの導入により、職員の負担をさらに軽減することが可能です。さらに、オンライン会議やリモート相談の普及を進めることで、地域間の情報共有や効率的な連携も実現できます。このようなICT技術が開発されてはきていますが、オンライン会議やオンラインモニタリングなどに対しては、厚生労働省がそれらを妨害するような条件を出してきて効率を落としている状況です。業務効率化を推進しているということを示しながら、業務効率化できないように邪魔する国の規制や条件がネックでたくさんの介護現場が苦しめられています。業務効率化を進めながら、効率化できないような条件を付ける厚生労働省のやり方を改めていただかないとただでさえマンパワー不足な介護現場に余計なマンパワーを割く状態が止まりません。
地域包括ケアシステムという幻想からの脱却
地域包括ケアシステムの強化は、介護難民問題を解決する上で不可欠と言われて国主導で進められてきた施策です。このシステムは、医療、介護、福祉を一体化させた支援体制を地域全体で構築することを目的としています。具体的には、地域の医療機関、介護施設、行政機関、ボランティア団体などが連携し、高齢者が必要な支援を途切れることなく受けられる仕組みを整備する必要があります。また、地域住民が主体的に支え合う文化を醸成し、コミュニティ全体で高齢者を支援する環境づくりを進めることも求められます。
これらの施策を総合的に実施することで、介護難民問題の解消に向けた具体的な道筋をつけることができるという理論で、国、自治体、事業者、地域住民が一体となり、現場の実態に即した解決策を講じることで介護問題を解決できるということが述べられてきました。そして、かつての厚生労働省の資料で地域包括ケアシステムの理想は現在のサービス付き高齢者向け住宅のような形として示されていました、
しかし、実際にサービス付き高齢や向け住宅で、訪問介護などを必要な分利用して入居者が安心して暮らせるような体制を整えると、今度は介護報酬を下げたり、ケアマネに過度な中立を求め始めるなど、描いた道筋に乗るたびに梯子を外すような行為が繰り返されています。つまり、地域包括ケアシステムという言葉は、高齢者が住み慣れた地域で暮らすということを耳障りよく言っているだけにすぎず、本気でこの形を目指しているわけではないのです。国も自治体も一体になろうとか、後押しをしようという状況でなく、現場のケアマネジャーやボランティアの力をあてにしていることや、地域資源の活用や発掘といった自治体の課題すらもケアマネジャーに押し付けようとしている状況です。
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まとめ
介護難民問題は、日本が直面する深刻な社会課題の一つです。高齢化が進む中で、介護サービスの需要と供給のギャップを解消することは急務です。厚生労働省のデータからも、介護職員の不足や施設不足が問題の根幹にあることが分かります。国や自治体、介護事業者が一体となり、介護報酬の見直しや処遇改善、地域包括ケアの推進などの包括的な対策を講じる必要があります。高齢者が安心して暮らせる社会を実現するためには、これらの取り組みを着実に進めることが求められます。
【引用元】
厚生労働省「介護保険事業状況報告」
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
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