褥瘡(じょくそう)の治療薬の種類と使い方【薬剤師監修】

 

褥瘡いわゆる床ずれですが、高齢者や寝たきりの要介護状態の方にとっては大きな問題です。褥瘡および皮膚の問題は在宅ケアでは非常によくみると思います。昔は中々治らないことが多かったですが、現在は原因や対処法がわかってきたので、多くの褥瘡が治癒するようになってきました。
患者さんの身体の状態や、褥瘡が発生した原因、損傷の深さなどによっては、簡単に治癒しないこともありますが、原因発生状況に応じた治療をしていくと確実に良くなっていきます。褥瘡には塗り薬が使われますが、適切に治療していく為にも、その違いについてもう一度再確認してみてください。今回の記事では、薬剤師の立場から褥瘡治療についてお伝えしていきます。
※この記事は処方薬等を紹介しておりますが、実際の薬剤の使用、治療等については主治医の指示・指導のもと行ってください。当記事を参考にして行ったこと、伝達などにより生じたトラブルについて当サイト・筆者は責任を負いませんのでご了承の上お読みください。

褥瘡の治療薬・医薬品の種類

褥瘡に使えるぬり薬には様々なものがあります。患部が感染(細菌がいる+炎症が起こっている状態)している時に使うもの、感染は治癒しているその後に皮膚の治癒・再生(肉芽形成、上皮化)を促すもの、保湿により患部を保護するものなど、色々あります。ぬり薬は、基剤が油脂性や乳剤性、水溶性などありますが、褥瘡ではとくにその基剤も患部の治りに大きな影響を与えます。傷口の状態により選ぶときの大きなポイントになります。

油脂性基剤軟膏(亜鉛華軟膏、アズノール軟膏、プロスタンディン軟膏など)

油脂性基剤軟膏(亜鉛華軟膏、アズノール軟膏、プロスタンディン軟膏など)は、油分により褥瘡やその周辺の皮膚患部を保護する作用があります。

乳剤性(オルセノン軟膏、ゲーベンクリーム、ソルコセリル軟膏など)

褥瘡の治療に用いられる乳剤性(オルセノン軟膏、ゲーベンクリーム、ソルコセリル軟膏など)は、乾燥した皮膚に水分を与える作用があります。

水溶性(アクトシン軟膏、ブロメライン軟膏、ユーパスタ軟膏、カデックス軟膏など)

水溶性の褥瘡治療薬であるアクトシン軟膏、ブロメライン軟膏、ユーパスタ軟膏、カデックス軟膏などは、患部から出てくる浸出液を吸収する作用があります。

深くひどい床ずれの場合

しみ出た液(滲出液)を吸収することが重要です。滲出液を吸う外用薬や、医師の指示で感染の治療のための外用薬を使用します。 
傷の周囲が赤くはれ、熱を持っている場合などは、入院治療を検討する必要があります。在宅での介護が可能かどうか、医師・看護師などへ相談しましょう。

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傷の状態に応じた褥瘡の治療薬の種類

床ずれには、傷の状態に応じて薬が使われます。よく使われる薬について、効果や使い方のポイントを紹介します。
*傷の周囲が赤くはれ、熱を持っている場合などは、入院治療を検討する必要があります。在宅での介護が可能かどうか、医師・看護師などへ相談しましょう。

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褥瘡の治療によく使用される医薬品

褥瘡・床ずれには、傷の状態に応じて治療薬が使われます。

ユーパスタ軟膏

ユーパスタ軟膏はヨードと白糖を含みます。細菌を減らし、傷を治す作用があります。傷を洗浄後、適量をガーゼにのばして張るか、直接患部に塗り、ガーゼで保護します。

カデックス軟膏

カデックス軟膏は、ヨードと水を吸収する成分を含みます。細菌を減らし、浸出液を吸収して傷をきれいにすることで治りを早めます。傷を洗浄後、患部に500円玉の厚さ(約2~3㎜)を目安に塗布します。

ゲーベンクリーム

ゲーベンクリームは、銀を含む薬で、抗菌作用があります。この薬は水分を多く含むため、乾燥した傷によく使用されます。患部に2~3㎜の厚さに直接塗るか、ガーゼなどにのばして張ります。

フィブラストスプレー

フィブラストスプレーは、傷が治る過程で重要な血管新生作用や肉芽形成促進作用などがあります。通常、傷から約5㎝離して専用の噴霧器で噴きつけます。

プロスタンディン軟膏

プロスタンディン軟膏は、傷が治る過程で重要な循環改善や肉芽形成、表皮形成促進作用などの作用があります。

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褥瘡部位に発赤・紫斑などがある時

発赤・紫斑などがある時は、褥瘡の傷口の除圧、保護が大切です。傷口の皮膚保護作用が高い油脂性基剤の外用剤(亜鉛化軟膏、アズノール軟膏、ブロスタンディン軟膏)を使用しましょう。

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褥瘡に化膿・感染、炎症を伴っている時

褥瘡に化膿・感染、炎症を伴っている時には、感染制御作用を有するカデックス軟膏、ゲーベンクリーム、ユーパスタ軟膏の使用が推奨されます。カデックス軟膏、ブロメライン軟膏は壊死した皮膚組織を除去する作用も持っています。
また抗生物質の外用薬(ゲンタシン軟膏など)を用いてもよいでしょう。処置の際には患部をしっかりと洗浄することが大切です。
また、適切なデブリードマン(壊死組織の除去、キズの清浄化)や抗生剤の投与が必要なことがありますので、感染を疑った場合には早めに医師に見てもらいましょう。
褥瘡の感染の場合、皮膚の表面よりも奥の方で感染している場合もあります。皮膚の奥での化膿・感染は、早期治療が一番大切になってきます。皮膚の奥での化膿も発生していないか注意深く観察してみてく ださい。

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状態を観察して、記録して、適切な診察と治療を選択してもらうことが大切!

キズの状態は時間と共に変化していきます。キズをよく観察し、その状態に最適なぬり薬を使えば、少しでも早くキズを治せるかもしれません。逆に、キズの状態に合わないぬり薬を漫然と使っていると、キズを悪化させる可能性もあるため注意が必要です。
褥瘡と聞くと寝たきりで不動にならないために、体位交換や除圧が重要視されますが、病期(褥瘡のステージや治癒過程)に応じて適切な治療薬、治療的な関わりも大切です。褥瘡の発生機序を理解して予防することと、治療についても概要を知って根拠を持って治癒のお手伝いができるといいですね!

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褥瘡についてはこちらの記事でも詳しく紹介しています

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