老人ホームへの面会に花束・鉢植えを持っていく前に知っておきたいこと

老人ホームへの面会に花束・鉢植えを持っていく前に知っておきたいこと
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誕生日・母の日・敬老の日・父の日などに老人ホームへ面会に行くとき、「花でも持っていこうか」と思う方は多いと思います。花を贈ることは気持ちを伝えるとても素敵な方法です。ただ、老人ホームや介護施設への花の持ち込みは、家族が思っている以上に施設側の負担になる場合があり、持参する前に知っておきたいことがいくつかあります。

この記事では、有料老人ホームや介護老人保健施設などの介護施設での勤務経験がある筆者が、花や鉢植えを持参する際の注意点、施設への事前確認の大切さ、そして花好きな入居者が本当に喜ぶプレゼントの選び方をお伝えします。

老人ホームへの花の持ち込みは「基本的にはOK、でも配慮が必要」

老人ホームや介護施設では、花の持ち込みを一律に禁止しているわけではありません。ただし、「花の世話は入居者本人が行うことが前提」というのが多くの施設の考え方です。

自立度が高く、自分の居室で自分で水やりや花瓶の水替えができる方であれば、花のプレゼントは十分喜んでもらえます。問題は、介護が必要な状態で入居している方への花の持ち込みです。要介護度が高く、日常の動作を職員の介助に頼っている方に花を持参すると、その花の世話が自動的に職員の仕事になってしまいます。

「ちょっと水をあげてくれれば」という気持ちは分かるのですが、介護職員にとって水替えや枯れた花の片付けは「ちょっとした作業」ではなく、業務外の追加負担です。何十人もの利用者がいる施設で、個人の花の管理まで丁寧に行う余裕がない現場がほとんどです。また、花瓶を持っていない入居者も多く、花瓶の用意を職員にお願いするのはタブーです。

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鉢植えは「根付く=寝付く」の縁起の問題もある

鉢植えは「根がついた植物=根付く=寝付く」を連想させるとして、お見舞いや高齢者へのプレゼントには縁起が悪いとされる習慣があります。これは古くからの慣習で、相手の方や施設によっては気にされることもあります。

ただし、これはあくまで習慣の話であり、「老人ホームで長く生活するのだから、お気に入りの鉢植えを部屋に置いて育ててほしい」という気持ちも十分理解できます。花や植物が好きだった方にとって、生きた植物の世話をすることは生きがいにもなります。縁起の問題よりも実際の管理の問題の方が大きいため、「自分で世話ができるかどうか」を最優先に考えてください。

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施設側が花の持ち込みに困る具体的な理由

職員の管理負担

切り花は花瓶の水を毎日替えないとすぐに傷みます。鉢植えは水やりと置き場所の確保が必要です。施設職員はケア業務を最優先に行っており、個人の花の管理は想定されていません。入居者本人が管理できない場合、花の世話が無言の追加業務として職員に押し付けられる形になります。

花瓶がない問題

老人ホームの居室には花瓶を持っていない方がほとんどです。切り花を持参したとき、「花瓶を用意してください」と職員に頼むことはタブーです。施設は個人の花束のために花瓶を管理する義務はありません。花を持参するなら、水を入れて使える容器ごとセットにした上で、アレンジメントフラワー(器に直接刺してある商品)を選ぶのが親切です。

認知症の方の誤食リスク

認知症の方が入居している施設では、植物の土や葉を食べ物と誤認して口に入れてしまう「誤食事故」が起きることがあります。個室に飾る場合は問題ないことが多いですが、共有スペースへの設置は施設に確認が必要です。誤食が原因で体調を崩した場合、施設側が責任を問われる事態になりかねません。

花粉・香りのアレルギー問題

強い香りを持つ花(ゆり・フリージアなど)や花粉の多い花は、他の入居者がアレルギー反応を起こす可能性があります。共用空間では特に配慮が必要です。

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どうしても花を持参したいときは「事前確認」が鉄則

花好きな方に花を贈りたいという気持ちは、とても大切なことです。その気持ちを形にするために、以下の手順を踏むことをおすすめします。

① 施設への事前電話確認

面会前に施設へ電話し、「花を持参したいのですが、どこかに飾っていただくことは可能でしょうか」と確認してみましょう。施設によって対応が異なり、「共有スペースに飾ります」「個室に置いてください」「申し訳ありませんがご遠慮いただいています」など回答はさまざまです。

この確認をせずにいきなり花束を持ち込み、その場で職員に「花瓶と水をお願いします」と頼むのは、最もやってはいけないことです。

② 入居者本人の状態を把握する

本人が自分で水替えや管理ができるかどうかを確認しましょう。よく様子を知っている家族であれば把握していると思いますが、久しぶりの面会の場合は入居している間に状態が変化しているケースもあります。自立度が保たれているなら生花もOKですが、水替えが難しい状態なら代替品を検討してください。

③ アレンジメントフラワーを選ぶ

花瓶が不要で、そのまま飾れるフローラルフォーム(吸水スポンジ)に挿したアレンジメントフラワーは、老人ホームへの贈り物として適しています。ただしこちらも水の補充は必要なため、入居者本人が管理できる状態かどうかの確認は必要です。また、認知症で食べて良いものなのか食べてはいけないものなのかわからない人もいらっしゃるため、給水スポンジを食べてしまう事故もあります。

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職員として花の持ち込みを断り切れなかったときの対応

施設側の職員として、面会者が花を持参してきた場合の対応は以下が基本です。

まず「大変申し訳ありませんが、お花の個別管理が難しい状況のためお控えいただけますか」とお伝えします。それでも「どこかに飾ってほしい」と言われた場合は、「よさそうな場所に後ほど飾らせていただきますね」と伝え、入居者本人にも「素敵なお花をいただきましたので皆さんの目に入るところに飾らせていただきますね」と一言添えましょう。

お花を受け取ってしまった時によくあるのは、玄関やエントランスなど受付の人がいつでも目が届く場所に置かせてもらうことや、機能訓練のスペースなど、もともと刺激になるような話のネタがあった方がありがたいような場所です。

生花や観葉植物などを置く場合には、

① 認知症の人などが誤って食べてしまったりしない場所

② 職員の負担が少なく水やりや水の交換など管理できる場所

③ ご利用者もたまに眺められる場所

にうまく持っていけると、誤食リスクが少なく、有意義な活用ができると思います。

飾った後は、枯れてきたら早めに片付けます。責任の取れる範囲で対応することが大切です。

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花好きな入居者に喜ばれるプレゼントの代替案

生花や鉢植えが難しい状況でも、花が好きだった方への贈り物の選択肢はあります。

プリザーブドフラワー

生花を特殊な液で加工して水分を抜いたもので、水やりや水替えが一切不要です。生花のような鮮やかさを1〜2年保つことができます。ケース付きのものを選ぶと埃よけになり、管理がさらに楽です。ただし「枯れた花を置いておくのは寂しい」という感覚を持つ方もいますし、「枯れないのに枯れたような見た目」という受け取り方をされる場合もあります。本人の好みや感覚に合わせて選んでください。

造花・アーティフィシャルフラワー

最近の造花は品質が上がり、一見生花と見分けがつかないほど精巧なものがあります。水やり不要・劣化しにくく、施設での管理負担がゼロです。「生花にこだわらない」方であれば喜ばれます。

光触媒フラワー

造花の表面に光触媒コーティングを施したもので、消臭・抗菌効果があります。水やりなどの手間は不要でずっと同じ見た目を維持してくれるので、介護施設の環境にも適しており、ほこりが落ちにくい素材のものを選ぶと手入れも楽です。

小さな多肉植物・サボテン

水やりの頻度が極めて少なく(2〜4週間に1回程度)、小スペースに置けます。自立度が高く「植物を育てたい」という方に向いています。土を口に入れるリスクのある環境には不向きなため、認知症の方が多い施設では事前確認が必要です。普通の人が見ればサボテンなんて食べないと思いますが認知症の人は何かと間違えて口に入れてしまうこともありえますので職員には確認しましょう。

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まとめ

老人ホームへの花の持ち込みは、気持ちを伝えるとても良い方法ですが、施設の環境と入居者の状態に合わせた配慮が必要です。

老人ホームや介護施設に入居中の方に何かプレゼントを持ってきた時には、職員に相談や報告なしに置いていくことが基本的にはタブーだと思います。「本人に伝えた」と言っても、本人がそのまま覚えているわけではないですし、ご利用者が職員に事細かに何かもらったことなどを伝えることもなかなか難しいと思います。

ご本人が認知症で色々なものを食べてしまうことを知らずにお花や植物などお見舞いやプレゼントとして持ってきて、それを職員が知らずにご利用者が食べてしまい事故になってしまった場合、施設側としては事故の対応で大変なことになります。お花や植物だけでなく、食事をミキサー食で食べている人にお饅頭を買ってきて食べさせてしまったりするのももちろんNGです。

どんなプレゼントを持ってきたとしても必ず職員に相談や報告を入れるようにしましょう。

これは、職員側が逃げたいというわけではなく、ご利用者本人のためでもあります。

  • 切り花・鉢植えは「本人が自分で管理できるかどうか」が判断の基準
  • 持参前に施設へ事前電話確認をすることが最重要マナー
  • 職員に花瓶の用意や水替えをお願いすることはタブー
  • 管理が難しい状態の方にはプリザーブドフラワー・造花・光触媒フラワーが適している
  • 鉢植えの「根付く=寝付く」の縁起は施設文化・相手によって受け取り方が異なる
  • 認知症の方が多い環境では誤食リスクに注意が必要

大切な方に喜んでもらいたいという気持ちと、施設で一緒に生活する他の入居者・職員への配慮の両方があってこそ、本当に喜ばれる贈り物になります。事前に一本電話をするだけで、双方にとってスムーズな面会になります。

介護施設側からも良く分かっている息子様・娘様だと一目置かれることでしょう。

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