混合介護とは?訪問介護での保険外自費サービスの組み合わせ・ケアマネジメントとの関係

混合介護とは?訪問介護での保険外自費サービスの組み合わせ・ケアマネジメントとの関係
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混合介護」という言葉を聞いたことはあっても、実際に何がどこまでできるのか、あいまいなまま運用している事業所やケアマネジャーは意外と多いのではないでしょうか。

この記事では、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する「混合介護」について、特に関心の高い訪問介護での取り扱いと、ケアマネジメント(ケアプラン)との関係を中心に、最新のルールをわかりやすく整理します。

混合介護とは

混合介護とは、介護保険が適用されるサービス(介護保険サービス)と、介護保険が適用されない保険外サービス(自費サービス)を組み合わせて提供することをいいます。

介護保険制度では、もともと一定のルールのもとで、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供することが認められています。例えば、施設内での理美容サービスや、緊急やむを得ない場合の併設医療機関の受診などは、以前から保険外サービスとして提供されてきました。

保険外サービス(自費サービス)とは、介護保険の対象にはならないけれど、高齢者のニーズに応えるためのサービスのことです。同居家族のための家事、利用者本人が使わない部屋の掃除、庭の草むしり、ペットの世話、趣味のための外出の付き添い、配食、見守りなど、内容はさまざまです。介護保険では対応できない「かゆいところ」を埋めるサービスといえます。

「混合介護」という言葉は最近あまり使われなくなった

実は近年、「混合介護」という言葉自体は、行政の場ではあまり前面に出てこなくなりました。2017年〜2018年ごろには「混合介護の弾力化」「選択的介護」といった言葉で規制改革の議論が盛り上がりましたが、現在は「保険外サービスの活用」「自費サービス」という言い方で語られることが多くなっています。

この経緯については、当時の議論を記録した記事として混合介護(介護保険サービスと保険外サービス)方針示す 厚労省にまとめていますので、当時どんな議論があったかを知りたい方はあわせてご覧ください。この記事では、その後実際に定着した現在のルールを中心に解説します。

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訪問介護での混合介護 「同時一体的な提供」はできない

訪問介護での混合介護は、現場で最も関心が高いテーマです。よく議論されてきたのが、「利用者さんの食事を作るついでに、同居している家族の分も一緒に作れないか」という話です。

結論からお伝えすると、訪問介護と保険外サービスを「同時一体的に」提供することは認められていません。2018年9月28日に厚生労働省が出した通知(老振発0928001号ほか)で、このルールが明確に整理されました。

なぜ同時一体的な提供が禁止なの?

なぜ同時一体的な提供が不可かというと、介護保険サービスと保険外サービスを同時に行うと、どこまでが保険でどこからが保険外なのかを明確に区別することが困難だからです。例えば、利用者本人の料理と同居家族の料理を同じ時間に並行して作ってしまうと、その調理時間のどこまでが介護保険の対象なのか区別がつかなくなります。

「連続」または「中断」すれば提供できる

ただし、訪問介護の前後に連続して保険外サービスを提供する、あるいは訪問介護をいったん中断して保険外サービスを提供し、その後に訪問介護を再開するという形であれば、提供が可能です。ポイントは、保険と保険外の時間を明確に区分することです。

具体的には、以下のようなサービスの提供が可能とされています。

利用者本人への、訪問介護の対象外のサービス

  • 訪問介護の前後や提供時間の合間に、草むしりやペットの世話を行う
  • 訪問介護として外出支援をした後、引き続き、利用者が趣味や娯楽で立ち寄る場所に同行する
  • 通院等乗降介助で受診の手続きをした後、引き続き、介護報酬の対象とならない院内介助を提供する

同居家族に対するサービス

  • 訪問介護の前後や提供時間の合間に、同居家族の部屋の掃除をする
  • 訪問介護の前後や提供時間の合間に、同居家族のための買い物をする

いずれも、利用者本人の料理と同居家族の料理を同時に作るような「同時一体的な提供」はダメで、「本人の分が終わってから、続けて家族の分」という形にする必要があります

訪問介護そのものでヘルパーができること・できないことについては訪問介護で訪問ヘルパーができない家事などの具体例もあわせてご確認ください。

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事業者が守るべきルール

訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合、事業者は保険外サービスを訪問介護と明確に区分するために、以下のようなルールを守る必要があります。

  • 保険外サービスの事業の目的・運営方針・利用料などを、指定訪問介護事業所の運営規程とは別に定めること
  • 保険外サービスの提供時間は、訪問介護の提供時間には含めないこと
  • 契約にあたり、サービス内容・提供時間・利用料などを文書で丁寧に説明し、利用者の同意を得ること
  • 介護保険サービスとは会計・請求を区分すること
  • 苦情・相談を受け付ける窓口を設置すること

「保険適用で安く、なんでもやってくれる」ように見せようとして、保険外サービスの区分をあいまいにするのは、運営指導などで指摘される原因になります。区分と記録、そして利用者への丁寧な説明が基本です。訪問介護と保険外サービスの請求上の取り扱いについては、訪問介護と保険外サービス(自費サービス)を組み合わせて提供する場合でも解説しています。

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混合介護とケアマネジメント(ケアプラン)の関係

混合介護を考えるうえで、もう一つ重要なのがケアマネジャー(介護支援専門員)との関係です。ここは意外と見落とされがちなポイントです。

保険外サービスもケアマネへの報告が必要

2018年の通知では、訪問介護事業者は、保険外サービスの契約の締結前後に、利用者の担当ケアマネジャーに対して、サービスの内容や提供時間を報告することがルール化されました。

そして報告を受けたケアマネジャーは、必要に応じて、その保険外サービスに関する情報を居宅サービス計画(ケアプラン)の週間サービス計画表に記載することが求められます。

居宅サービス計画書 第3表 週間サービス計画表

つまり、保険外サービスは「保険とは無関係だから自由に勝手にやっていい」というものではなく、ケアマネジメントの視点からも把握・調整されるべきものとされているのです。

なぜケアマネジメントに組み込むのか

これは、利用者の生活全体を見て支援を組み立てるという、ケアマネジメント本来の役割から考えると当然のことです。介護保険サービスだけでなく、保険外サービスやインフォーマルな支え(家族・近隣・ボランティアなど)も含めて、その人の暮らしをどう支えるかを総合的に考えるのがケアマネジャーの仕事です。

もともと介護保険制度は、創設時から、自治体独自のサービスや民間サービスをケアプランに組み込むことを否定していません。「保険」と「保険外」を組み合わせること自体は、制度の想定内なのです。だからこそ、保険外サービスもケアプランの中で位置づけて、利用者の自立支援や望む暮らしにつながっているかを確認していく必要があります。

ケアプランに本人の本当の希望を反映させる意義についてはケアプランに本人の本当のニーズや希望を入れるメリットも参考になります。

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通所介護(デイサービス)での混合介護

通所介護(デイサービス)の場合は、入浴・食事・機能訓練・レクリエーションなど、サービス提供時間内に多種多様な内容が提供されるため、事業所内で行われるサービスを保険と保険外に区分することが基本的に困難です。そのため、基本的には介護保険給付とは別に利用料を徴収することは認められていません。

ただし、通所介護と明確に区分できるサービスについては、保険外サービスとして提供が可能とされています。ルールを守れば提供できるものとして、以下が示されています。

  • 事業所内での理美容、巡回健診、予防接種
  • 利用者個人の希望により事業所から外出する際の、個別の同行支援
  • 物販、移動販売、レンタルサービス
  • 買い物などの代行サービス

なお、物販については、高額な商品を販売しようとする場合には、あらかじめ家族やケアマネジャーに連絡することが求められています。通所介護と保険外サービスの請求上の取り扱いは通所介護(デイサービス)と保険外サービスを組み合わせて提供する場合で解説しています。

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豊島区の「選択的介護」モデル事業はどうなったのか

混合介護の議論を語るうえで欠かせないのが、東京都と豊島区が取り組んだ「選択的介護」のモデル事業です。東京都では「混合介護」よりも「選択的介護」という言葉を使う傾向がありました。

これは国家戦略特区の枠組みを使い、2018年8月から2021年3月まで、地域限定で規制を緩和して実施されたものです。訪問介護と保険外サービスをより柔軟に組み合わせたり、IoT機器を活用した在宅支援を行ったりする取り組みでした。東京都と豊島区が2021年3月に公表した報告書では、「サービス利用による利便性の向上や安心感が得られた」といった効果があったと総括されています。

その後、選択的介護は地域を限定せず、全国どの地域でも実施できるようになりました。ただ、正直なところ、当初期待されたほど「混合介護」「選択的介護」が爆発的に広がった、という話は聞きません。

おそらく、多くの介護事業所で自費で提供するための人的な余裕がないことと、まだ事例が少ないので、介護保険の指定事業者として自費を提供することで、後から何かしらの違反や行政指導などがあるのではないかという不安がぬぐえないことが影響しているのではないでしょうか?

新しい取り組みに適応しにくい高齢のケアマネも多いので、「自費で」という話をすると、「え?自費?」という反応を示されるという話も聞きます。訪問介護が一番自費サービスとの相性が良いと思いますが、使い慣れた訪問介護の職員が自費で付き添ってくれたり、家の手伝いをしたりすることはお互いに良いことだと思いますが、介護保険サービスで追加料金はNGという価値観にどっぷり浸ってしまうと、自費への抵抗が大きくなってしまいます。

「混合介護の弾力化」という言葉も、今ではあまり耳にしなくなりました。制度の規制が大きな障壁だったというよりは、そもそもの需要やビジネス、業界の風習としての成立の難しさなど、別の要因もあったのだろうと思います。

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これからの「保険外サービスの活用」

「混合介護」という言葉は落ち着きましたが、保険外サービスそのものへの注目は、むしろ近年あらためて高まっています。2024年5月の財政制度等審議会の建議や、同年6月のいわゆる骨太方針では、「介護保険外サービスの利用促進」の必要性が指摘されました。また2024年3月には、経済産業省と民間企業が中心となって、介護保険外サービスの産業振興を目指す団体も設立されています。

背景には、社会保障費の増大と介護人材の不足という、避けられない現実があります。すべてを介護保険でまかなうのは、財源的にも人材的にも限界がある。だからこそ、保険でカバーする部分と、自費や地域の支え合いでカバーする部分をうまく組み合わせて、高齢者の暮らしを支えていく——そういう方向に議論が進んでいるのです。

個人的には、保険外サービスは「保険で足りない分を仕方なく補う」ものではなく、その人が本当に望む暮らし(旅行に行きたい、馴染みの店で食事したい、といった願い)を実現するための前向きな手段として、もっと活用されてよいと思っています。

この視点については「不甲斐ない」「情けない」と感じながらのリハビリ・機能訓練は本当に必要かという記事でも触れていますので、あわせて読んでいただけたら嬉しいです。

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まとめ

混合介護(介護保険サービスと保険外サービスの組み合わせ)について、最新の取り扱いを整理しました。ポイントをまとめます。

  • 訪問介護と保険外サービスの「同時一体的な提供」は不可。ただし「連続」または「中断」して明確に区分すれば提供可能
  • 草むしり・ペットの世話・趣味の外出への同行・同居家族の家事などが、保険外サービスとして提供できる
  • 保険外サービスは担当ケアマネジャーへの報告が必要で、ケアプラン(週間サービス計画表)に記載される
  • 事業者は運営規程を別に定め、時間・会計を区分し、文書での説明・同意、苦情窓口の設置などが必要
  • 「混合介護」という言葉は下火だが、「保険外サービスの活用」として近年あらためて注目されている

社会保障費と人材の制約が強まる中で、保険外サービスをどう位置づけ、どう活用していくかは、これからの介護においてますます重要なテーマになっていくと思います。

※本記事は一般的な情報をまとめたものです。実際の保険外サービスの提供・利用にあたっては、お住まいの自治体(保険者)のルールや最新の通知を確認し、担当のケアマネジャーや事業者にご相談ください。

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