高齢化が進み経験豊富で成熟した看護師のみでは人材が足りず、医師又は歯科医師の判断を待たずに、手順書により、一定の診療の補助として看護師の特定行為(例えば、脱水時の点滴・脱水の程度の判断と輸液による補正など)を定めを行う看護師を養成し、確保していく厚生労働省方針とされています。
特定行為研修については、45項目(45行為)から41行為に絞られた上で検討されてきましたが、さらに「経口・経鼻気管挿管の実施」「経口・経鼻気管挿管チューブの抜管」については医師の具体的指示なく指示書のみで看護師が判断して行うにはリスキーすぎるということで、2014年12月に医道審議会保健師助産師看護師分科会看護師特定行為・研修部会で38行為21区分に決定されました。特定行為の紹介、手順書の作成例・テンプレート例、研修についても紹介。2025年に日本は、団塊の世代が75歳以上(国民の3人に1人が65歳以上・5人に1人が75歳以上)という状態になります。

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看護師の特定行為・手順書、研修対象となる場合

看護師の特定行為の対象

特定行為の手順書とは

特定行為の手順書は、医師又は歯科医師が看護師に診療の補助を行わせるためにその指示として作成する文書であって、看護師に診療の補助を行わせる『患者の病状の範囲』及び『診療の補助の内容』その他の事項が定められているもの。

特定行為とは

訪問看護・在宅療養で脱水を繰り返す患者の例

看護師の特定行為 脱水で点滴の例
診療の補助であって、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされるもの。
現行と同様、医師又は歯科医師の指示の下に、手順書によらないで看護師が特定行為を行うことに制限は生じない。
本制度を導入した場合でも、患者の病状や看護師の能力を勘案し、医師又は歯科医師が直接対応するか、どのような指示により看護師に診療の補助を行わせるかの判断は医師又は歯科医師が行うことに変わりはない。

特定行為指定研修修了者の把握方法

研修修了者の把握については、厚生労働省が指定研修機関から研修修了者名簿の提出を受ける

看護師の特定行為及び特定行為区分(38行為21区分)

呼吸器(気道確保に係るもの)関連

  • 経口用気管チューブ又は経鼻用気管チュー ブの位置の調整
  • 侵襲的陽圧換気の設定の変更
  • 非侵襲的陽圧換気の設定の変更
  • 人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整

人工呼吸器からの離脱呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連

  • 気管カニューレの交換

循環器関連

  • 一時的ペースメーカの操作及び管理
  • 一時的ペースメーカリードの抜去
  • 経皮的心肺補助装置の操作及び管理
  • 大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助の頻度の調整

心嚢ドレーン管理関連

  • 心嚢ドレーンの抜去

胸腔ドレーン管理関連

低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及び設定の変更
胸腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された穿 刺針の抜針を含む。)

ろう孔管理関連

  • 胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換
  • 膀胱ろうカテーテルの交換

栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連

  • 中心静脈カテーテルの抜去

栄養に係るカテーテル管理 (末梢留置型中心静脈注 射用カテーテル管理)関連

  • 末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入

創傷管理関連

  • 褥瘡(じょくそう)又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去
  • 創傷に対する陰圧閉鎖療法

創部ドレーン管理関連

  • 創部ドレーンの抜去

動脈血液ガス分析関連

  • 直接動脈穿刺法による採血
  • 橈骨動脈ラインの確保

透析管理関連

  • 急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析濾過器の操作及び管理

栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連

  • 持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整
  • 脱水症状に対する輸液による補正

感染に係る薬剤投与関連

  • 感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与

血糖コントロールに係る薬剤投与関連

  • インスリンの投与量の調整

術後疼痛管理関連

  • 硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整

循環動態に係る薬剤投与関連

  • 持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整
  • 持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整
  • 持続点滴中の降圧剤の投与量の調整
  • 持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整
  • 持続点滴中の利尿剤の投与量の調整

精神及び神経症状に係る薬剤投与関連

  • 抗けいれん剤の臨時の投与
  • 抗精神病薬の臨時の投与
  • 抗不安薬の臨時の投与

皮膚損傷に係る薬剤投与関連

  • 抗癌剤その他の薬剤が血管外に漏出したときのステロイド薬の局所注射及び投与量の調整
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厚生労働省 平成28年2月 「特定行為に係る手順書例集」・ひな形テンプレート

平成27年度看護職員確保対策特別事業「特定行為に係る手順書例集作成事業」(実施団体:公益社団法人全日本病院協会)において、作成された「特定行為に係る手順書例集」を紹介します。

「特定行為に係る手順書例集」

平成 28 年 2 月 公益社団法人 全日本病院協会 (看護師特定行為研修検討プロジェクト委員会)
今後の在宅医療等を支えていく看護師を計画的に養成していくことを目的とし、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平 成 26 年法律第 83 号)により、保健師助産師看護師法の一部が改正され、平成 27 年 10 月 1 日より特定行為に係る看護師の研修制度(以下、「本研修制度」という。)が創設された。
また、保健師助産師看護師法第 37 条の 2 第 2 項第 1 号に規定する特定行為及び同項第 4 号 に規定する特定行為研修に関する省令(平成 27 年厚生労働省令第 33 号。以下「特定行為 研修省令」という。)が公布された。
これに伴い、医療現場においては、特定行為の実施に係る適切な手順書が作成されることが求められる。
しかし、本制度施行時には、医療現場における手順書の作成の知見は乏しい。また、手順書を作成するマンパワーが十分でない施設も存在し、特定行為の実施に 係る手順書の標準的な例が必要とされている。
そこで、本研修制度の円滑な施行及び普及の観点から、厚生労働省「平成 27 年度看護職員確保対策特別事業」において、「特定行為に係る手順書例集作成事業」を実施し、医療現場において手順書を作成する際の参考となるよう、特定行為の実施に係る標準的な手順書例集を作成した。
看護師の特定行為に係る手順書例集

医療・在宅現場での看護師の特定行為の実施、手順書の作成と利用

ある特定行為に関する手順書は、1つの施設で1つとは限らず、患者の状態、行為を行う場所、看護職員の熟練度などに応じて複数存在した方がよいと言われています。 たとえば、特定行為 A に関して、A-1、A-2 があり、患者 B には A-1 を、患者 C には A-2 を用いるという違いがあって良いとのことです。それは、病状が異なる場合もあれば、場面が在宅、外来、病棟などと異なる場合もあるためです。看護師 D が行う時は A-1、看護師 E が行う時は A2 と いう分け方が熟達度に応じてあっても良いとされています。 逆に、複数の医療機関が同一の手順書を活用するということも可能なので、手順書の共有ができれば、地域連携をより密になることが期待できるとのことです。

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