ペースメーカーの植え込み手術の手順、手術後の合併症、生活上の注意点、身体障害者手帳の等級認定について。
ペースメーカーが適応になる原因になる「2種類の徐脈(洞不全症候群、房室ブロック)と不整脈の治療法」で紹介しました。
この記事は、知ってるようで知らない『ペースメーカー』のことを紹介します。ペースメーカー埋め込み手術後の方に介護・看護で関わる方から、今後関わる方まで予備知識として知っておきたいことをまとめました。

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ペースメーカーとは

ペースメーカーの写真
ペースメーカーは、本体リード線で構成されます。本体には電池と電気回路が内蔵してあり、その上部にリードをつなぐための部分があります重さは20gくらいです。
リードは、先端部分に電極があり、それが心臓の筋肉に接し、電気刺激を伝えます。 ペースメーカ本体とリードは、手術により体内に完全に植込まれます。
ペースメーカーの植え込み手術について ペースメーカーには、一時的なもの永久的に植え込むものがあります。
ここでは、根治的に徐脈を治療する永久的ペースメーカーの植え込み手術についてご説明します。

根治的に徐脈を治療する永久的ペースメーカーの植え込み手術

体内用ペースメーカー埋込術やペースメーカー移植術などと呼ばれるペースメーカーの手術についてザックリ紹介します。

ペースメーカーを植え込む手術の一連の流れ

  1. まず、利き手とは反対側の鎖骨の下(3~5cmくらい)のところにペースメーカーが入る大きさ(4~5cmくらい)の切開を入れて、筋肉の膜と皮下脂肪の間に袋(ポケット)を作ります。
  2. 次に、鎖骨下にある静脈を穿刺して、リード線を留置します(ペースメーカーの設定によって少し場所が異なります)
  3. そして、ペースメーカーの設定をして、リード線のもう一方をペースメーカー本体につなぐ。

これが、ペースメーカーを植え込む際の一連の流れになります。

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ペースメーカー植え込み後の合併症の注意点

ペースメーカーを植え込んだ後、気を付けたい注意点が3つあります。
1.血腫 2.ペースメーカー症候群 3.感染 の3つです。それぞれについて解説していきます。

血腫についての注意点

血種は、ペースメーカー植え込み後に最もよく起こる合併症です。術中に筋肉の膜を傷付けてしま い、じわじわとした出血が続いていて、血腫(血の塊)を作ってしまいます。術前に​抗凝固療法や抗血小板療法​をしている人にも起こりやすいです。 抗凝固、抗血小板療法は共に同じ意味で、いわゆる『血をサラサラにする』ということで す。 この血腫が大きくなると、痛みが出てきたり、切開部が開いてしまったり、感染の原因になります。
ペースメーカー植え込み後は、植え込み部分を観察して、腫れていないかどうかをチェックしましょう

ペースメーカー症候群についての注意点

ペースメーカー症候群は、ペースメーカーの植え込み後、設定と心臓の動くタイミングがうまく噛み合わないときに生じます。
1回あたりの心臓からの血液を送る量(心拍出量)が変動することにより、血圧低下やめまい、ふらつき、胸部の不快感などが起こります。ペースメーカーの設定の見直しが必要です。ペースメーカー植え込み後にこのような症状が出たらすぐに受診する必要があります。

感染についての注意点

感染は、 ペースメーカー術後すぐ(2週間くらい)に起こることはあまりなく、術後1ヶ月後以降に起こることが多いです。血腫が感染の原因となることもあります。 ポケット内に感染が起きると、浸出液や膿が貯まり、静脈に乗って全身に回り(敗血症)、死に至ることもあります。

ペースメーカー植え込み後の日常生活の注意点

最後に、日常生活での注意点について、ご説明します。あくまでも一般論ですので、実際にペースメーカーを使用している方と密に接するときは本人や医師に確認してください。

MRIなどの画像検査を受けるとき、ペースメーカーを植え込んでいることを伝える

MRIや心臓MDCT(心臓の血管の狭窄などの画像検査)では、ペースメーカーの誤作動の可能性があります。一部のペースメーカーはMRI検査などに対応しているものもありますが、画像検査を受けるときには、ペースメーカーを植え込んでいることを伝えておきましょう。

ペースメーカーから22cm以内で携帯電話の使用を避ける

ペースメーカーから22cm以内で携帯電話を使うとペースメーカーの作動に悪影響を与える可能性があります。総務省が電波の医療機器等への影響に関する調査研究報告書などの調査研究を発表しています。

・携帯電話端末及びPHS端末の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針

植込み型医療機器の装着者は、携帯電話端末の使用及び携行に当たっては、携帯電話端末を植込み型医療機器の装着部位から22cm程度以上離すこと。
(出典:総務省 > 広報・報道 > 報道資料一覧 > 携帯電話端末による心臓ペースメーカ等の植込み型医療機器への影響に関する調査結果

料理で使うIH機器は50cm以上、空港での金属探知機は避ける

料理で使うIH機器については、ペースメーカーから50cm以上離れていれば悪影響はありません。 空港での金属探知機については、悪影響を与えるので、ペースメーカーを植え込んでいることを伝えましょう。

自己検脈(自分で脈拍を測定)して正常か確認する

最後に1日に2~3回は自分で脈を測り、ペースメーカーの設定と自分の脈が大きく異なっていないかを調べましょう。これを、自己検脈といいます。

ペースメーカーはめまいや失神、心停止から身を守る

注意点も多いペースメーカーですが、徐脈によるめまいや失神などの症状や突然の心停止からあなたを守ってれます。
きちんと定期的な受診をし、先程挙げた日常生活での注意点に気を付ければ頼もしい相棒になるはずです。
あなたの脈はどうですか?気になるめまいや失神、不整脈があったら早めに受診しましょう!

ペースメーカーの注意点についての参考文献

ペースメーカー埋め込み術後で身体障害者手帳の等級認定基準

平成26年1月21日 障発 0121 第1号の 『身体障害者障害程度等級表の解説(身体障害認定基準)について」の一部改正について』厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長で、心臓機能障害の欄に、以下のように身体障害者手帳の身体障害認定基準が改正されて示されています。ここでは抜粋して紹介します。

ア 等級表1級に該当する障害は次のいずれかに該当するものをいう。

ペースメーカを植え込み、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるもの、先天性疾患によりペースメーカを植え込みしたもの又は人工弁移植、弁置換を行ったもの

イ 等級表3級に該当する障害は次のいずれかに該当するものをいう。

(ア)アのaからhまでのうちいずれかの所見があり、かつ、家庭内での極めて温和な日常生活活動には支障がないが、それ以上の活動では心不全症状若しくは狭心症症状が起こるもの又は頻回に頻脈発作を起こし救急医療を繰り返し必要としているもの
(イ)ペースメーカを植え込み、家庭内での日常生活活動が著しく制限されるもの

ウ 等級表4級に該当する障害は次のものをいう。

(ウ)ペースメーカを植え込み、社会での日常生活活動が著しく制限されるもの
 

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