運営指導とは 介護保険指定事業者の適正な運営を確認すること

 

運営指導とは

運営指導(実地指導)とは、介護保険事業者として指定を受けている事業者に対して、都道府県や市区町村などの担当者が介護保険サービス事業所へ出向き、適正な事業運営が行われているか確認することです。

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行政は何を指針に実地指導を行うのか

介護保険法に基づく介護保険施設及び事業者に対する指導監督については、「介護保険施設等の指導監督について」(平成 18 年 10 月 23 日老発第 1023001号当職通知)を参考に都道府県または市町村により行われてきましたが、社会保障審議会介護保険部会「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」における意見等を踏まえ、実地指導における標準化・効率化に資する取り組み等を推進する観点から、2022年3月31日に、新たに、「介護保険施設等指導指針」を定め、厚生労働省から公表されました。実地指導の全体像が見えると、心配も少し減るのではないでしょうか?

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実地指導の目的

介護保険サービス事業者に対する実地指導や監査は、各サービスの質の確保と介護保険給付の費用の請求の適正化を図ることを目的として実施されています。また、近年は実地指導標準確認項目が定められるなど標準化・効率化が進み、適正化だけでなく運営や取り組みを奨励したり、地域の好事例を参考により良いサービスに活かす助言を行うなども目的とされ、高圧的な指導から脱却を目指しているそうです。

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実地指導の頻度

実地指導の頻度は、主に介護保険の指定を受けてからその期間内に1回は行われるものです。ですので、介護保険サービス事業者は、概ね6年に1度の実施頻度と言われてます

なお、実地指導が個別で行なわれるのに対し、対象となる事業者を一定の場所に集めて行なう指導を「集団指導」といい、集団指導は毎年行われます

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実地指導と監査の違い

よく実地指導と監査を同じ意味でとらえている人が多いですが、 監査は利用者からの苦情や相談等を受けたり、虐待や不正が疑われる事業者を抽出して行われ、実地指導よりも運営基準違反に対する改善の勧告・命令が行なわれるという違いがあります。監査が行われた上で勧告・命令に従わなかった場合は、指定取消などの処分になることもあります。実地指導の時に、著しい運営基準違反が確認され、利用者や入所者の生命や身体の安全に危害を及ぼすおそれがあると判断された場合や、報酬請求に誤りが確認され、その内容が、著しく不正な請求と認められる場合には、監査に移行することもあります。

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実地指導の流れ

実地指導の通知から当日、結果通知後までの流れを簡単に紹介します。

日程調整

実地指導の1月前くらいまでに日程調整の連絡がきます。

実施通知

事業所(法人宛)に実施通知が届きます。実施通知の中に「事前提出資料」や「当日準備資料」が記載してあります。

実地指導の日までの準備

自主点検表を自治体のホームページ等からダウンロードして作成します。指定された当日準備資料は、当日に求められたらすぐに取り出せるように整理しておきます。
事前提出書類は、指定された期日までに指定されてた部数を提出します。

実地指導当日

実地指導の当日には、管理者や責任者など、人員体制や運営全般、サービス提供、報酬請求について説明できる人が対応します。場合によっては、ほかの従業員や利用者への聞き取りを行うこともあります。当日は口頭指導もあるので内容については確実に記録し、改善に取り組みます。

結果通知

実地指導の結果通知書の例

実地指導の書面での結果通知は、実施から1月から2月後になることが多いです。

改善報告書の提出

実地指導結果通知に記載された指導事項については、通知に記載してある報告期限までに、改善状況をまとめ、改善報告書を提出します。
結果通知の指導事項の改善を報告書で確認できたら、実地指導は完了します。

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実地指導の内容 重点事項

施設及び事業所運営についての指導

感染症対策

  • インフルエンザやノロウイルスなどの感染症に対する施設等内の感染症対策委員会の設置及び運営、感染症等対策マニュアルを使用した職員研修の実施など、感染症の防止のための取組みを行い、施設等内で実際に感染症が発生した場合にも適正な対応がなされているか。

事故防止対策

  • 事故防止マニュアルを使用した職員研修の実施など事故防止に最善の注意を払うとともに、事故が発生した場合のための緊急連絡等の体制を整備し、事故発生原因の分析や再発防止策の検討を行っているか。また、市町村等に報告すべき事故が発生した場合は、速やかに報告しているか。

非常災害対策の徹底

  • 災害ごとの実態に即した防災計画を策定し、職員等に周知徹底が図られているか。また、火災等に対する防災対策については、施設等の周辺の地域の環境、施設利用者の特殊性に鑑み、その対策に特段の配慮をしているか。
  • 災害発生を想定した各種訓練等の計画的、定期的な実施をしていくことにあたり、地域消防機関、自主防災組織、地域住民等との十分な連絡・連携体制を確立し、地域の防災訓練等にも参加するなど災害発生時の対応が確保されているか。

利用者及び従業者の処遇についての指導

身体拘束の廃止及び虐待防止対策

  • 身体拘束や虐待にかかわるような行為や、それらが与える影響についての理解、防止のための具体的かつ効果的な取組みとして、定期的な自己点検、組織的な支援体制、研修の実施などがなされているか。

サービスの質の向上

  • 利用者のおかれている個別的、客観的事情を十分考慮し、その特性に応じた個々の対応方針(居宅サービス計画、施設サービス計画、個別サービス計画等)に基づき、適切かつ効果的にサービスの提供が行われているか。またそれらの過程を適切に記録しており確認できるか。
  • 日常生活に要する費用等の取扱いについて適切に行われているか。

福祉人材の確保・定着対策

  • 処遇改善加算の算定要件である、賃金の改善など、介護職員の処遇向上に係る取り組みがなされているか。
  • 配置基準に基づく従業者の資格及び員数が確保されているか。また、従業者の資質の向上(研修の充実)が図られているか。

苦情対応

  • 苦情は、サービスの質の向上を図る上での重要な情報であることに鑑み、事業所全体で情報を共有し、改善に向けた取組みを実施しているか。

報酬請求についての指導

  • 報酬請求上特に加算・減算について、定められた算定条件に基づいた請求が適切に実施されているか。

指摘事項の改善徹底についての指導

  • 指摘事項の改善状況を確認するとともに、必要に応じて、責任者の呼出しや連続した実地指導・監査などを行い、改善の徹底を図る。

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実地指導対策は運営基準を意識すること

実地指導で大切なことは、介護保険サービスを提供する施設として、運営基準を順守することを常に意識することです。

その手助けとなる方法としては、実地指導時にも提出を求められる「自主点検票」で定期的にチェックすることだと思います。

自主点検票は毎年更新されているので、最新のものを用いるようにしましょう。

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