介護助手について紹介します。
近年、地域の元気な高齢者の方に「介護助手」として介護施設などの補助的な業務を担っていただくということが進められてきています。これは、介護職員が不足しているということも理由の一つにありますが、適材適所で介護の専門職である介護職員は身体介護などの知識技術が必要な業務をプロとして行い、本来は介護業務ではない内容で職員不足のために専門性が無くてもできる内容ですが行っていた業務について元気な高齢者の方に介護助手として入ってもらい、業務分担していくことで活躍しつつ、介護に備えてもらおうというものです。
2022年度からは新たに「介護助手等普及推進員」という事業がスタートする予定で、介護助手の人が働きやすい環境づくりや介護助手の仕組みを導入しやすいようを推進したりすることがより一層進められる見通しです。
このページの目次
介護助手についての厚生労働省の見解
厚生労働省は、三重県老人保健施設協会が平成27年度から実施している地域の元気な高齢者を「介護助手」として育成し、介護職場への就職を支援する取り組みに注目し、「介護人材のすそ野の拡大」、「人材不足の解消」、「介護職の専門職化」のためにとてもよい取り組みだと取り上げました。
厚労省が考える「介護助手」のねらい(3本の柱)
介護人材の確保
(直接)介護の担い手の増加
(間接)介護職の専門職化(若者のあこがれる職業へ)
高齢者の就労先
住み慣れた地域の中で、高齢者の新たな就労先を確保
介護予防
働きながら介護を学び、現場を知ることが一番の「介護予防」(要介護高齢者の増加の抑制→保険支出の抑制につながる)
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介護助手の担い手は元気な地域の高齢者
介護助手の仕組みを発案した全国老人保健施設協会によると、介護助手の担い手の対象範囲は広げすぎずに、元気な高齢者に絞って導入していくことがポイントと述べられています。
ボランティアではなく元気な高齢者に無理をせず短時間介護助手としての業務をお願いし、賃金はしっかりと支払うという形が良いとされています
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介護助手の業務内容
看護助手というのは職務の一つなので施設によりどのような業務を担ってもらうかはそれぞれですが、介護助手導入マニュアルによると、介護助手は、介護職員との業務分担により、身体介護等の専門的な業務以外の周辺業務を担うことが推奨されています。
介護職員がえらくて介護助手はその指示で動くというような形ではありません。
介護職員は専門性が高いし身体介護などを行い、介護助手の方は、介護現場における補助的な業務を担うと形が理想的です。
介護職員が行っていた業務と分担の見直し
介護助手はどのような業務を行うかについては、介護職員が普段を行っていた業務を棚卸しし、介護職員として専門的な知識や技術をもとに行わなくてはいけない業務と、そうでないように分けて適正な業務の割り振りを行うことをから決められていきます。職員は専門的な能力を発揮できるよう今まで行なってきた作業や専門性を有してなくてもできることを介護助手と分担するイメージになります。
介護助手の業務の例
介護職員が行なってきた業務を棚卸し、英語職員が専門性をもって行うようにとそうでないように開けて分担をし直すと、介護助手のようにとしては以下のようなものになると思います。
- 誘導
- 教室やフロアの掃除・環境整備
- お茶のとろみつけ
- おやつの準備
- 口腔ケア物品の洗浄
- お風呂掃除
- 洗濯
- 車椅子や手すりの清掃や消毒
- 衣類の整理
- シーツ交換
- レクリエーションの補助
介護助手の仕事がきつくて大変か
三重県や厚生労働省が進めている介護助手の導入については、元気な高齢者の役割創出などの意味合いと、きつい仕事ではなくやりがいも感じながら続けてもらえる大変すぎない仕事ということを推奨しています。
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介護助手は無資格でもなれるか
ここまで紹介してきたように、介護助手が行う業務内容としては直接利用者の介護をするわけではなく介護職員が今まで行なってきた介護に関連する業務の一部を担うという内容ですので特に資格が必要なわけではありません。
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介護助手と看護助手の違い
看護助手とは看護師の業務をサポートする役割として看護師の指示に従って業務を行います。看護助手の業務内容としては患者の身の回りの世話や環境整備、備品管理などを行います。
一方介護助手は、介護職員の指示を受けて業務をするというわけではなく、介護職員が今まで行っていた専門性が無くてもできる業務について業務分担して実行していくというものです。
看護助手は、看護師からの指示を受け業務をするのに対し、介護助手は施設であらかじめ介護助手に行ってもらう業務を決めておき、無理なく責任を持って行なってもらうという点が違っています。
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介護助手導入実施マニュアル
介護助手の導入について先駆的に取り組んでいたのは三重県で、三重県内の介護老人保健施設で「元気高齢者による介護助手モデル事業」として開始されました。
三重県は2019年3月に介護助手導入実施マニュアルを作成し介護助手を導入する際のポイントや受け入れ体制などについて体系的にまとめて資料を公開しています。
fa-arrow-circle-right三重県の介護助手導入実施マニュアルはこちらからfa-external-link
介護助手導入実施マニュアル目次
第1章 介護助手の導入指針[PDF:2,821KB]
1-1 介護助手事業の背景
1-2 介護助手事業の目的
1-3 介護助手事業のポイント第2章 基本的な導入手順(共通モデル)[PDF:2,709KB]
A.導入モデルの明確化と受入体制づくり
B.業務の切り出しと導入イメージの設定
C.募集
D.説明会・マッチング面談
E.雇用・就労
F.振り返り・改善第3章 導入モデル(事例紹介)[PDF:2,782KB]
Case1. 医療法人緑の風 介護老人保健施設 いこいの森(津市河芸町)
Case2. 医療法人松徳会 介護老人保健施設 カトレア(松阪市山室町)
Case3. 社会福祉法人永甲会 特別養護老人ホーム かすみの里(四日市市白須賀)
Case4. 社会福祉法人明光会 特別養護老人ホーム 笑美の里(津市美杉町)
Case5. 株式会社サンテ グループホーム やまぶき(松阪市駅部田町)第4章 資料編[PDF:2,257KB]
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まとめ
介護助手の仕組みを正しく取り入れることで今までを行ってきた介護職員の業務を見える化することができますし、介護職員が専門性を発揮するための時間を十分に取れるようになるなどメリットが多くあります。
地域の元気な高齢者の方に参加していただくことで、元気な高齢者の方にも人生の張り合いや自信がつき、賃金も発生するので役に立っていることも実感できます。介護助手として働いてもらうこと自体が介護予防に大きく寄与することが期待されます。一人でいると引きこもりがちになってしまう高齢者のフレイル予防にもなりますし、短時間ちょこっと仕事してお小遣い稼ぎして役にも立って…なかなか良い仕組みだと思います。
これから介護助手の導入については厚生労働省や都道府県なども積極的に進めていくと思いますので、もし自分の働いている職場に介護助手の方が入ってきた時には人生の先輩として敬意を払い、感謝の気持ちをしっかりと伝えながらみんなが気持ちよく働けるよう心がけていきましょう。
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