特別訪問看護指示書とは?条件や指示期間、通常の訪問看護指示書との違い

特別訪問看護指示書とは?条件や指示期間、通常の訪問看護指示書との違い

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特別訪問看護指示書は、在宅療養中の患者の状態が急性増悪した場合や退院直後など、一時的に頻回な訪問看護が必要となった際に主治医が交付する指示書です。通常の訪問看護指示書とは交付条件・指示期間・保険適用など、制度上の仕組みが異なります。

この記事では、特別訪問看護指示書の定義・交付条件・指示期間・通常指示書との違い・注意点について、厚生労働省の通知・告示をもとに解説します。

特別訪問看護指示書とは

特別訪問看護指示書

特別訪問看護指示書(略称:特別指示書・特指示)は、主治医が診療に基づき、急性増悪等により在宅患者に一時的に頻回な訪問看護が必要と判断した場合に、訪問看護ステーション等に交付する指示書です。

厚生労働省の通知(訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について・保発0305第12号、および診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について・保医発0305第4号)に基づく制度です。

通常の訪問看護指示書は最長6か月の有効期間で継続的な訪問を支える役割を持ちますが、特別訪問看護指示書は「一時的な頻回訪問の必要性」に限定して交付されるものです。最大14日間という短い指示期間が特徴で、その期間中は毎日訪問することが可能になります。

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特別訪問看護指示書の交付条件

特別訪問看護指示書は、主治医が診療により以下のような状態と判断した場合に交付されます。特定の疾患名の制限はなく、「週4日以上の頻回な訪問看護が一時的に必要」と主治医が認めれば交付できます

交付条件となる主な状態の例

  • 病状・症状の急性増悪(容体が急激に悪化した場合)
  • 退院直後で集中的なケアが必要な場合
  • 末期の悪性腫瘍等以外の終末期
  • 点滴・注射など医療処置の頻回な実施が必要な場合
  • 創傷・褥瘡の処置が頻回に必要な場合
  • 気管カニューレの管理など頻回な観察が必要な場合

なお、末期の悪性腫瘍等(別表第七に掲げる疾病等)の利用者は、通常の訪問看護指示書のもとで週4日以上の頻回訪問が可能なため、特別訪問看護指示書は原則不要です。

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誰が交付できるか(交付できない医師)

特別訪問看護指示書は、通常の訪問看護指示書を交付した主治医が交付します。

特別訪問看護指示書を交付できない医師

以下の施設に属する医師は、特別訪問看護指示書を交付することができません。

これは訪問看護に係る制度上の規定によるものです。これらの施設に入所している場合は、特別訪問看護指示書による訪問看護を利用することができません。
また、特別訪問看護指示書と通常の訪問看護指示書は同一の医師が交付する必要があります。
なお、同一の保険医療機関の同一診療科に所属する複数の医師が共同で主治医として診療を行っている場合は、そのいずれかが交付した指示書に基づいて訪問看護を実施することが可能です。

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指示期間と交付回数

指示期間は最大14日間

特別訪問看護指示書の指示期間は最大14日間です(保医発0305第4号)。
14日を超える期間を設定した場合は無効となります。14日間は上限であり、主治医の判断により14日以内の期間を限定して設定することも可能です。

交付回数は原則1か月に1回

特別訪問看護指示書の交付は、利用者1人につき1か月に1回限りが原則です。

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月2回交付できる場合

以下のいずれかの状態にある利用者については、1か月に2回まで特別訪問看護指示書を交付することができます(保医発0305第4号)。

状態補足
気管カニューレを使用している状態にある者気管切開を行い、カニューレを留置している状態
真皮を越える褥瘡の状態にある者NPUAP分類Ⅲ度以上・改定DESIGN-R 2020分類D3以上が目安

月2回交付が可能な状態は、現時点ではこの2つに限定されています。なお、訪問看護指示書に「真皮を超える褥瘡の状態」であることが記載されていることが必要です。

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月をまたぐ場合の取り扱い

特別訪問看護指示書の指示期間は月をまたぐことが可能です。たとえば1月25日から14日間の指示期間を設定した場合、2月7日まで有効期間が続きます。

特別訪問看護指示書の次の交付までの間隔に定めはないため、指示期間終了後の翌日から改めて新しい特別訪問看護指示書を交付してもらうことで、連続した頻回訪問を行うことも可能です。ただし、連続して特別訪問看護指示書が交付されている利用者については、その旨を訪問看護療養費明細書に記載する必要があります(保発0305第12号)。

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特別訪問看護指示書が交付されると何が変わるか

特別訪問看護指示書が交付されると、通常の訪問看護指示書の期間中と比べて、以下のことが可能になります。

訪問回数・頻度の拡大

  • 毎日(週7日)訪問することができる(通常は医療保険で原則週3日まで)
  • 1日に複数回の訪問が可能

長時間訪問

  • 週1回に限り、90分を超える長時間訪問が可能(長時間訪問看護加算の対象)

複数の訪問看護ステーションの利用

  • 2か所以上の訪問看護ステーションから訪問を受けることが可能になる
  • ただし、同一日に異なる訪問看護ステーションからの訪問はできない
  • 複数のステーションそれぞれに特別訪問看護指示書が必要
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保険の適用(医療保険が優先)

特別訪問看護指示書が交付された期間中は、必ず医療保険が適用されます。

介護保険で訪問看護を利用していた利用者であっても、特別訪問看護指示書が交付された日から指示期間中は、医療保険による訪問看護に切り替わります。この期間中は介護保険の支給限度額とは関係なく訪問することができます。
指示期間が終了した場合、または症状が改善して指示期間が訂正・短縮された場合は、介護保険のケアプランに基づく訪問看護に戻ります。

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通常の訪問看護指示書との違い(比較表)

項目通常の訪問看護指示書特別訪問看護指示書
有効(指示)期間最長6か月最大14日間
交付回数制限なし(期間内)原則月1回(月2回可の条件あり)
単独での交付不可(通常の指示書が前提)
保険適用医療保険または介護保険必ず医療保険
訪問頻度医療保険:原則週3日まで毎日(週7日)可
1日の訪問回数原則1回複数回可
長時間訪問(90分超)別途条件あり週1回可
複数ステーション利用原則1か所2か所以上可
介護老人保健施設・介護医療院の医師交付可交付不可
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在宅患者訪問点滴注射指示書との関係

特別訪問看護指示書と様式が同じ書類に「在宅患者訪問点滴注射指示書」があります。これは週3日以上の点滴注射が必要な患者に対して交付されるもので、同一の様式(別紙様式18)内で「特別訪問看護指示書」または「在宅患者訪問点滴注射指示書」の該当するほうを○で囲む形になっています。
在宅患者訪問点滴注射指示書の主な特徴

  • 指示期間:最大7日間(特別訪問看護指示書の14日より短い)
  • 交付回数:月に何回でも交付可能(回数制限なし)
  • 点滴終了後も継続が必要な場合は、その都度交付し直す

両者を同時に指示する場合は、特別訪問看護指示書の有効期間(最大14日)と点滴注射指示期間(最大7日)が異なる点に注意が必要です。7日間の点滴が終わった後も点滴継続が必要な場合は、在宅患者訪問点滴注射指示書を再交付してもらいます。

記載上の注意点

特別訪問看護指示書を受け取った際に確認すべき主な項目を以下にまとめます。

通常の訪問看護指示書との同一医師による交付か

特別訪問看護指示書は、通常の訪問看護指示書を発行した医師と同一の医師が交付する必要があります。異なる医師が交付した場合は算定できません。

指示期間が14日以内か

指示期間が14日を超えている場合は無効となります。発行医療機関に修正を依頼する必要があります。

「一時的に訪問看護が頻回に必要な理由」の記載があるか

特別訪問看護指示書の様式(別紙様式18)には「一時的に訪問看護が頻回に必要な理由」を記載する欄があります。この欄が空欄の場合は交付の根拠が不明確となるため、記載を依頼します。

月2回交付の場合は通常の指示書に褥瘡等の記載があるか

真皮を越える褥瘡を理由に月2回交付する場合、通常の訪問看護指示書に「真皮を超える褥瘡の状態」であることが記載されている必要があります。

退院直後に交付する場合の通常指示書の指示期間に注意

退院直後に特別訪問看護指示書が交付される際、通常の訪問看護指示書も同時に交付されることが多くあります。この場合、通常の指示書の指示期間が退院日より前の日付にならないよう注意が必要です(退院日以前は入院中であるため、通常は指示書の開始日は退院日以降となります)。

よくある質問(Q&A)

こちらのQ&Aは、厚生労働省のQ&Aというわけではなく、編集部でよくある質問を厚生労働省資料や告示などをもとにまとめたものになります。判断に迷う部分は自治体等にご確認いただくことを強く推奨します。

Q
特別訪問看護指示書だけで訪問看護を開始できますか?
A

できません。特別訪問看護指示書は、通常の訪問看護指示書がすでに交付されていることが前提です。特別訪問看護指示書のみの交付はできず、必ず通常の訪問看護指示書とセットで使用します。

Q
特別訪問看護指示書の14日間は必ず毎日訪問しなければなりませんか?
A

いいえ。14日間は上限であり、訪問看護の頻度は利用者の状態や必要性に応じて判断します。毎日の訪問が「可能になる」制度であり、毎日訪問することが「義務」になるわけではありません。

Q
介護保険の訪問看護を利用していますが、特別訪問看護指示書が交付されると介護保険のサービスは利用できなくなりますか?
A

訪問看護については、特別訪問看護指示書の期間中は医療保険に切り替わります。ただし、特別訪問看護指示書による訪問看護と、訪問介護や通所サービスなど他の介護保険サービスは引き続き利用できます。

Q
特別訪問看護指示書の期間が終わった後、すぐに次の特別訪問看護指示書を交付してもらえますか?
A

次の交付までの間隔に制限はないため、指示期間終了翌日から改めて交付してもらうことは可能です。ただし連続して交付が続く場合は、訪問看護療養費明細書にその旨を記載する必要があります。また、「一時的に頻回な訪問看護が必要」という交付条件が継続して満たされているかどうかの判断は、都度主治医が行います。

Q
特別訪問看護指示書と精神科特別訪問看護指示書は同じものですか?
A

別の指示書です。精神科特別訪問看護指示書は精神疾患を有する利用者を対象とした制度で、精神科を担当する医師のみが交付できます。精神科特別訪問看護指示書を交付する場合は、精神科訪問看護指示書もあわせて必要です。有効期間はどちらも月1回・最大14日間で同様ですが、対象・交付者・算定する療養費が異なります。

Q
みなし指定訪問看護(医療機関の医師が訪問看護も実施している場合)でも特別訪問看護指示書は必要ですか?
A

みなし指定訪問看護の場合、主治医は当該保険医療機関の医師となるため、通常の訪問看護指示書・特別訪問看護指示書の交付は不要です。診療録に記載された指示がその代わりとなります。

まとめ

特別訪問看護指示書のポイントをまとめます。

  • 急性増悪・退院直後・終末期など、一時的に頻回な訪問看護が必要な場合に主治医が交付する
  • 特定の疾患・病名の制限はなく、主治医が頻回訪問の必要性を認めれば交付できる
  • 指示期間は最大14日間(通常指示書の6か月とは異なる)
  • 原則1か月に1回限りの交付。気管カニューレ使用・真皮を越える褥瘡の場合のみ月2回可
  • 特別訪問看護指示書のみの単独交付は不可。通常の訪問看護指示書が前提
  • 交付期間中は介護保険利用者であっても必ず医療保険が適用される
  • 交付期間中は毎日訪問・1日複数回・2か所以上のステーション利用・長時間訪問(週1回)が可能になる
  • 介護老人保健施設・介護医療院の医師は交付不可
  • 通常指示書と同一の医師による交付が必要
  • 連続交付が続く場合は訪問看護療養費明細書への記載が必要

参考法令・資料

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