守秘義務とは 介護保険法の法律上の条文、罰則・罰金も

守秘義務とは何か、医療・介護・福祉では法律上も守秘義務(秘密保持義務)が定められており、違反すると登録取り消しなどだけではなく、罰則(懲役・罰金)があります。業務上知り得た秘密を他人に漏らしてはいけないこと、正当な理由なく個人情報を開示してはいけないという守秘義務(秘密保持義務)についてどこまで守るか線引きが難しい場面もあると思いますが、原則秘密や個人情報を開示してはいけないということの根拠を紹介していきます。

医療・介護・福祉での守秘義務とは

守秘義務とは、業務上知り得た秘密を他人に漏らしてはいけないこと、正当な理由なく個人情報を開示してはいけないということです。

医療・介護・福祉分野で働くときには、医療情報や、家族構成、経済状況などまで詳細で膨大な個人情報を入手できる立場にあります。介護保険法でも守秘義務(秘密保持義務)が定められています。守秘義務(秘密保持義務)は、個人情報を取り扱う職務の性質上、医師や看護師、介護支援専門員介護福祉士理学療法士などの様々な職業上の法律で守秘義務が求められています。

働く人単位での守秘義務もありますが、介護保険サービスなどの運営基準でも守秘義務が定められています。秘密保持や個人情報の取扱いについては、各事業所利用している重要事項説明書や契約書などにも必ず記載することとなっています。

介護福祉士の守秘義務と法律

介護福祉士の場合には、社会福祉士及び介護福祉士法の条文の中で、秘密保持義務として守秘義務のことが書かれています。この守秘義務には倫理的な意味もあります。

守秘義務と法律(介護支援専門員の例)

要介護福祉の業界の中で特に多くの個人情報を扱う介護支援専門員(ケアマネジャー)を例に、守秘義務と介護保険法での位置づけについて確認してみたいと思います。

(秘密保持義務)
第六十九条の三十七 介護支援専門員は、正当な理由なしに、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。介護支援専門員でなくなった後においても、同様とする。

介護保険法
介護支援専門員の場合には正当な理由なしにその業務に関して知り得た個人の秘密を漏らしてはいけないこととなっており、このようなことが起きた場合には、介護支援専門員としては登録を消除することができると法律でも明記されています。

(登録の消除)
第六十九条の三十九
2 都道府県知事は、その登録を受けている介護支援専門員が次の各号のいずれかに該当する場合には、当該登録を消除することができる。
一 第六十九条の三十四第一項若しくは第二項又は第六十九条の三十五から第六十九条の三十七までの規定に違反した場合

介護保険法
つまり介護支援専門員は守秘義務(秘密を漏らしてはならない)という責任を負っており、もしこれに反する場合には資格の登録を取り消しされても仕方ないというものです。

守秘義務違反の罰則(懲役・罰金)

介護保険法では業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならないという義務を守らなかった場合には、懲役と罰金があることも明記されています。守秘義務を違反したことによって、資格の取り消しや事業所の指定の取り消しなどのもありますが、業務上の秘密や個人の秘密を漏らした時には個人にも罰則があるということも頭に入れておいた方が良いでしょう。

第十四章 罰則
第二百五条 認定審査会、都道府県介護認定審査会、給付費等審査委員会若しくは保険審査会の委員、保険審査会の専門調査員若しくは連合会若しくは連合会から第四十一条第十一項(第四十二条の二第九項、第四十六条第七項、第四十八条第七項、第五十一条の三第八項、第五十三条第七項、第五十四条の二第九項、第五十八条第七項及び第六十一条の三第八項において準用する場合を含む。)、第百十五条の四十五の三第七項若しくは第百十五条の四十七第七項の規定により第四十一条第九項、第四十二条の二第八項、第四十六条第六項、第四十八条第六項、第五十一条の三第七項、第五十三条第六項、第五十四条の二第八項、第五十八条第六項、第六十一条の三第七項、第百十五条の四十五の三第五項若しくは第百十五条の四十七第六項に規定する審査及び支払に関する事務の委託を受けた法人の役員若しくは職員又はこれらの者であった者が、正当な理由がなく、職務上知り得た指定居宅サービス事業者、指定地域密着型サービス事業者、指定居宅介護支援事業者、介護保険施設の開設者、指定介護予防サービス事業者、指定地域密着型介護予防サービス事業者、指定介護予防支援事業者若しくは居宅サービス等を行った者若しくは第一号事業を行う者の業務上の秘密又は個人の秘密を漏らしたときは、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する

2 第二十四条の二第三項、第二十四条の三第二項、第二十八条第七項(第二十九条第二項、第三十条第二項、第三十一条第二項、第三十三条第四項、第三十三条の二第二項、第三十三条の三第二項及び第三十四条第二項において準用する場合を含む。)、第六十九条の十七第一項、第六十九条の二十八第一項、第六十九条の三十七、第百十五条の三十八第一項(第百十五条の四十二第三項において準用する場合を含む。)、第百十五条の四十六第八項(第百十五条の四十七第三項において準用する場合を含む。)又は第百十五条の四十八第五項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第二百五条の二 第六十九条の二十四第二項の規定による命令に違反したときは、その違反行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第二百五条の三 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第百十八条の七の規定に違反して、匿名介護保険等関連情報の利用に関して知り得た匿名介護保険等関連情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用した者
二 第百十八条の九の規定による命令に違反した者
第二百六条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第九十八条第一項各号に掲げる事項以外の事項を広告し、同項各号に掲げる事項に関し虚偽の広告をし、又は同項第三号に掲げる事項の広告の方法が同条第二項の規定による定めに違反したとき。
二 第百一条又は第百二条第一項の規定に基づく命令に違反したとき。
三 第百十二条第一項各号に掲げる事項以外の事項を広告し、同項各号に掲げる事項に関し虚偽の広告をし、又は同項第三号に掲げる事項の広告の方法が同条第二項の規定による定めに違反したとき。
四 第百十四条の三又は第百十四条の四第一項の規定に基づく命令に違反したとき。
第二百六条の二 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第六十九条の二十又は第百十五条の三十九(第百十五条の四十二第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反して帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。
二 第六十九条の二十二第一項若しくは第二項、第六十九条の三十第一項(第六十九条の三十三第二項において準用する場合を含む。)又は第百十五条の四十第一項(第百十五条の四十二第三項において準用する場合を含む。)の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくはこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
三 第六十九条の二十三第一項の規定による許可を受けないで試験問題作成事務の全部を廃止し、第百十五条の四十一の規定による許可を受けないで調査事務の全部を廃止し、又は第百十五条の四十二第三項において準用する第百十五条の四十一の規定による許可を受けないで情報公表事務の全部を廃止したとき。
四 第百十八条の八第一項の規定による報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示をせず、若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の帳簿書類の提出若しくは提示をし、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

介護保険法

守秘義務はどこまで?

例えば介護の分野で仕事をしていると、サービス担当者会議など、利用者や家族の個人情報の提供が必要になる場合があります。その際にも会議で必要となる目的以外の情報は開示せず、関係者以外には決して漏れることないように注意しましょう。

利用者や家族を含まずに行われる地域ケア会議や事例検討会などの場合には、個人を特定できる情報を取り除き匿名化します。顔が写っている写真などを使用する場合には利用者や家族に使用目的・範囲を説明したうえで、同意を得る必要もあります。同意を得た場合でも顔の部分にマスキングを入れるなど、個人を特定できない配慮を行うなど、個人情報や個人の秘密について開示する際には細心の注意を払い許可なく開示してしまうことがないようにしましょう。