QOLは人生の質や人生の潤いと訳され、生きがいにもつながる概念です。要介護者の中には、趣味が魚釣りやゴルフなど、現実的にはその活動を昔のまんま行うことは難しいですが、釣りバカやゴルフバカのような方もいて生きがいを失いかけているケースも多くあります。
介護施設・訪問介護・介護保険サービスなどという枠の中で、魚釣りがゴルフを行ってもらうことも現実的には難しいです。
このような趣味のようなものをもう一度できるかということは、介護事業者単体や介護職員一人では叶えることはなかなかできません。しかし、ケアマネージャーを交えてその人にとって価値の高い事柄を達成するために、自分たちに何ができるかということをサービス担当者会議などで話し合っていくことはとても大切なことです。

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ケアマネジメントと ICFでその人らしい生活課題(ニーズ)が浮き出る

従来、ケアマネージャーが作るケアプランにこのような趣味や娯楽、道楽ことは全く取り上げられることはありませんでした。
最近のケアマネジメントの中で ICF などその人の生活まるごと考えるような考え方が取り入れられ、趣味や娯楽道楽のようなことでもその人にとっての生活ニーズとしてあげるべきで推奨されてきています。
ケアマネージャーが勇気を出して、あまりにも現実的でないとしてもご利用者が本当は望んでいる「どうしてもこれがしたい」「昔みたいにこれがしたい」ちょっと大げさですが「死ぬ前にもう一度あれをしたい」ということを、ケアプランという書面に文字で書き出して、サービス担当者に周知することでその人のケアに関わる姿勢や心構えは大きく変わるかもしれません。
相手と信頼関係を築いて本音や情報を引き出したいけどなかなか難しい…。そんなときは「バイスティックの7原則」に従って面談を考えてみると良いかもしれません。

ケアプランの目標やニーズに具体的で叶えば利用者が幸せを感じることを

ケアプランに目を通す介護職員はそんなには多くないのが現実ですが、ケアプランの目標やニーズに具体的にその人が喜んでくれそうなことが書いてあるならばそれを叶えるために介護施設で提供される内容も変わってくると思います。
ケアマネージャーに相談されることや、報告される内容も具体的でご利用者にとって有益で有意義で建設的なものが共有されることと思います。
介護の世界も自己負担割合が高くなるなど、サービスの質や満足度が問われる時代になります。満足について介護保険サービスで至れり尽くせりはしきれませんが、混合介護(選択的介護)の導入に合わせてケアマネジメント位置づけることが増えていき、より個別性の高いお望みに対応することができてきます。

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ADL以外のご利用者の生活にも着目しアセスメントし、バランスよくニーズを引き出す

ICFの概念でご利用者の生活を考えていくと、食事、排泄、入浴、機能訓練などの基本的な介護保険のサービスと、その人の望む生活に近づくための関わりをバランスよくご利用者に受け取ってもらえるように考えていく必要があります。
近いうちに混合介護として、通所介護や訪問介護などで保険外のサービスの提供が開始できる制度となる見通しです。
介護施設で訪問介護などの職員とご利用者で築き上げた信頼関係を、その人にとって本当に必要なかゆいところに手の届くようなサービスとして提供できるようになります。
今まで手芸をやりたくても毛糸や生地を買いに行けなかったような人、魚釣りに行きたいけど足元が危なくて一人で行けなかった人、色々な人がプラスアルファのサービスで少し気持ちが充実した生活に近づくかもしれません。

QOLという諦めている習慣や趣味を味わえる充実した生活に近づくケアプラン

高齢者や要介護者になると、年を取るとこんなものか介護を受けるようになったらこんな生活なんだなと諦めていた部分が徐々に埋め合わせされていきます。
これは老化の受容という心身の変化や発達過程的な捉え方もありますが、心身の問題だけでなく環境要因や社会的な制約により豊かに生活することを断念させられた状態でもあります。
混合介護の実例も少しずつ上がってきていますが、要となるのはケアマネージャーが行うケアマネジメントであり、ケアプランの充実であると考えています。
現実離れしたことばかりをケアプランのニーズにあげても、その人にとっての医食住のような生存するための要素が疎かになってしまいます。
ですので、是非一つ二つでもご利用者・要介護者が「もう一息頑張るぞ」「まだまだ楽しいことが待っているぞ」と思えるようなケアプランが増えてくるといいなあと思います。
本人ばかりを気にしていて介護者が同意できていないと難しい部分もあるので、介護負担についても客観的に評価して経過を追うことをお勧めします。

介護のケアプランのニーズ充実で機能訓練・リハビリテーションが変わる

ケアプランに趣味や活動、娯楽のような楽しいことも含めて掲載されるとリハビリテーションや機能訓練の内容も充実してきますし、リハビリテーションや機能訓練に関わる専門職から提供される情報や提案も少し変わってきます。
介護職員は、食事排泄入浴ばかりがタスクとして目の前にあるので、それをどうするかばかりに意識が向いてしまいます。
機能訓練指導員は、歩けないことや痛いことなどが目の前にあるため、立ったり歩いたり痛くない方法を考えたりすることに意識が向いてしまいます。
看護職は毎日バイタルチェックをしたり健康観察をしていることで、変化があった時にどうしようかということに意識が向いてしまいます。
みんな目の前にあることは一生懸命にやっているのです。

ケアプランのテンプレートや文例集は参考に、本人の気持ちと在りたい姿を反映

ケアプランや介護計画に生活上必須なADL、栄養・衛生や安全確保を掲載して計画しておくことは大切なことです。
ケアプランに作るとき、サービスを組み込むことが第一になり、入浴・食事などのよくある文例を調べて載せることも基本的生活を安心して送っていただくために大切です。
それに加えて、このご利用者にとってのQOLに重要なことは何だったのだろうとケアする意味を問い直す時の材料になる望む生活のニーズを載せて欲しいです。
HOPE(ホープ)やDemand(デマンド)と言われるかもしれませんが、無理難題のニーズや希望だとしても、絶対にできないことはほとんどありません。こんなニーズをケアプランに載せてはいけないと思っているのはケアマネージャーだけかもしれません。
「こういう状態になる」というニーズを書き出して、その手段は各職に知恵と経験を絞ってもらえばいいのです。

ケアプランに手段まで載せるときは根拠が必要 手段の指定が自由を奪う

ケアプランでよくあることですが、「歩いて買い物に行きたい」や「歩けるように筋力をつけたい」という本人の言葉をそのままニーズに掲載していることがあります。
買い物にいくということはニーズですが、「歩いて」という手段・方法を指定することによって付随する機能訓練も歩くことに重点が置かれます。
歩くということが希望ですが、歩けるようになるために筋力を付けることが正解なのかはわかりません。機能訓練指導員と相談のうえで、筋力低下が主原因という根拠が絞り込めていればそれもありかもしれませんが、少なくとも初回ケアプランで筋力に絞りそのままケアプランの目標やニーズが更新されないという状態だと現場は筋力以外しにくい気持ちになります。
同じように目の前の希望ばかりが並んだケアプランだと、そのことには一生懸命取り組みますが、その先に発展しにくく結局「要介護らしい現状の生活維持」が続きます。

チーム介護を活かすためのケアマネジメントとケアプランで本当のニーズを

課題を解決するためのチームであり、その課題について建設的に考えて実践しリスク管理をする専門職であり、みんなで知恵や経験を出しあえば仕事のやりがいもご利用者の満足度も格段にアップします。家族や友人、介護サービスと関係ない地域の人などの有志も巻き込んだサービス担当者会議を開催して、生活全体を支えている人もいます。
歩けない、入浴できない、食べれない、排泄がうまくいかないということにフォーカスしてしまうと、そのことばかり議論してしまいます。
ADLとり次元の高い活動、コミュニティ参加、自己表現や自己実現などにも切り込んだマネジメントで、ご利用者のQOLを見失わないようにしたいですね。
こういう介護業界ならばかっこいいですし、高い次元の課題を共有し、個を重んじたQOLの向上ができると思いませんか。

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