高次脳機能障害とは 注意障害(半側空間無視)・失行・失語・認知症
 

高次脳機能とは

高次脳機能障害とは、脳疾患や脳外傷などの後遺症で起きる、知覚、記憶、学習、思考、判断などの過程と行為の精神(心理)障害の総称です。記憶、注意、遂行機能などが低下した状態をいいます。

人間は他の動物と違い、刺激を受けてただ反射的に何か反応を示すのではなく、記憶や情動を含めて思考や判断をする生物です。この機能は人間特有に高度に発達したため、「高次脳機能」と呼ばれます。

高次脳機能の前段階として、刺激・感覚・知覚・認知や、神経の伝わり方についてのポイントをまとめた記事は以下などです。

高次脳障害では人間に記憶されているごく普通のプログラムが損傷

高次脳機能と発達

発達につれて認知、学習を繰り返して様々な動作や思考ができるようになっていきます。
身体の発達、神経系の発達どちらも並行します。赤ちゃんの時は口に何か当たったら吸い付いてしまったり、手に何か当たったら掴んでしまってしています。このまま大人になったら異常ですよね。
これらは、徐々に出現しないよう抑えつけられていきます。同じように精神面でも、欲求を抑えるように理性(顕在意識)が発達していきます。すべて反射的に動いてしまっている状態というのは、赤ちゃんや他の動物と同じ状態です。
発達をするに従い、反射的に動くだけでなく、「この場合はどんなふうにした方がよいか」という戦略のプログラムが身についていきます。
この際に、情動だけでなく、人間特有である高次脳機能の「思考」や「判断」によって自分の欲求や無意識の行為を抑えたり、プランニング(計画)したりしていくのです。

高次脳機能障害では「○○のしかた」「○○の見分け方」が正常でなくなる

動いたり喋ったりすることも、目の前のものが何か分かることも、すべて脳内のプログラムがあるからこそできるのです。
そのため、動き方、喋り方、物を見分ける概念などのプログラムを司る脳細胞や神経伝導が、脳卒中や酸欠、脳外傷などで壊れてしまった状態になると、高次脳機能障害という後遺症が出現します。

高次脳機能障害は、簡単にいうと、脳内に記憶された「○○のしかた」「○○の見分け方」などのプログラムが損傷し、正常に働かない状態です。

高次脳機能障害での具体的な症状

記憶障害

記憶障害とは新しいことを覚えることができず、何度も同じことを言ってしまったり、何度も聞いてしまったりするのが特徴です。人の名前が覚えられないことや、予定ややらなくてはいけないことを忘れてしまうなどが生活上の問題となります。

注意障害

注意障害とは、与えられた刺激に対して適切に反応するために、意識の焦点を移動させていく過程の障害です。注意障害では、気が散りやすい状態や、持続性がない状態、ぼんやりとしているなど、日常生活を送る上でも簡単なミスをしたり見落としたりすることが多くなり、トラブルが起きやすくなります。

失認証

失認症は、目では見えているはずのものが理解できなくなるという障害です。

半側空間無視(USN)

半側空間無視(USN)とは、脳の損傷と反対側に生じる反応の低下や欠如の状態です。

失行症

失行症とは、運動、認知、理解能力に問題がないのにも関わらず、すでに学習された動作が正しく遂行できない状態です。

失語症

失語症とは、脳損傷により言葉の理解や表出など、言葉に関する能力が障害をきたした状態です。失語症というと「話すことができない」ということをイメージすると思いますが、「理解できない」「字が読めない」など、話すだけでなく、聞く、読む、書くなどの障害も失語症にはあります。高次脳機能障害の中でもリハビリの方法が確立されており、言語聴覚士などが適切に関わることでコミュニケーション手段を再構築することができるケースも多い障害です。

認知症

認知症とは、生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態です。

高次脳機能障害のリハビリ

脳卒中や脳外傷などの後遺症で高次脳機能障害と診断を受けた場合、身体障害のように誰が見てもわかる障害と違い、外見だけだと分からないため適切な関わり方が重要です。高次脳機能障害が疑われる場合の相談先・受診先としては、各都道府県に設けられている高次脳機能障害支援センターやリハビリテーションセンターなどがあります。