高次脳機能障害の後遺症が残った 退院後の相談窓口やリハビリ
 

脳梗塞や脳出血の後遺症として「高次脳機能障害」があるといわれたとき、どのような対応・リハビリができるでしょうか?病院を退院後、高次脳機能障害と付き合って生活を送るために、相談できる窓口やリハビリの受け方、状況に応じて利用できる医療・介護サービスなどを紹介します。

高次脳機能障害とは

高次脳機能とは、知覚、記憶、学習、思考、判断などの認知過程と行為の情動を含めた精神(心理)機能を総称です。

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人間は他の動物と違い、刺激を受けてただ反射的に何か反応を示すのではなく、記憶や情動を含めて思考や判断をする生物です。この機能は人間特有に高度に発達したため、「高次脳機能」と呼ばれます。動いたり喋ったりすることも、目の前のものが何か分かることも、すべて記憶から想起できるからこそできるのです。
そのため、認知、動き方、喋り方、物を見分ける概念、行為などのプログラムを司る脳細胞や神経伝導が、脳卒中や酸欠などで不調の状態になると、高次脳機能障害が出現します。高次脳機能障害は、脳内に記憶された「○○のしかた」「○○の見分け方」などのプログラムが正常に働かない状態です。

具体的には、高次脳機能障害は、注意障害、記憶障害、失語症や失認症など症状は多彩です。

高次脳機能障害のリハビリと病院での対応

まず、リハビリと今の病院の対応について私の考えをお伝えします。

高次脳機能障害という障害は色々な症状の出かたがあるので判断が難しい後遺症の一つです。
高次脳機能障害の程度や、どのような時に特に気をつけなくちゃいけないかなど、元の生活を始めてから気づくような生活上の違和感なども見られるかもしれません。病院側としては、入院中に把握できず生活復帰して色々な行動や生活の面での判断から分かってくる症状などに対し、指導や対応方法の検討などのために退院後に外来でリハビリテーション科に通ったり、定期受診をすすめたりすることが多いです。

また、脳梗塞そのものが骨折とかのような単純に治るものとは少し性質が違うので、運動の麻痺や感覚の障害など違った症状が出ていないか、全身的な状態は問題ないかなどを確認する意味でも定期的な通院をお勧めすることは通常もあり得ます。半年くらいついては、脳神経外科などの専門の医師の方が見てもらうのに適切かと思います。個人の診療所やクリニックなどでもリハビリ科がありますが、お年寄り向けの憩いの場のような要素や、骨折や捻挫などのリハビリの要素が強く、注意障害や脳梗塞後遺症のリハビリについて適切に対応してもらえるかは分かりません。

高次脳機能障害の症状の例

退院後にあり得ることとしては、例えば、左半側空間無視(左側の注意が感じにくいと言う症状)がある場合、生活を始めてから電話やリモコンなどちょっと操作しづらかったり、テーブルの上にあるものを見つけるのに時間がかかったり、屋外を歩く時に危険に気づきにくいなど生活を始めてから気づくこともあります。

このようなことに対して、手を使って左側を確認すること、確認する方法を一緒に考えるなどリハビリとして行うことがあります。日常的に使うものなどは、気づきやすいように目印や触ってわかる印をつけたりして気を付けていきましょうと言う助言や対応方法の検討などを行ったりします。
これらは脳の障害なので、脳の回復に伴って症状が分かりにくくなる方もいますし、後遺症が残る方もいらっしゃいます。

高次脳機能障害のセカンドオピニオンについて

セカンドオピニオンについてこのような方法もあるという事項を紹介します。

前述しましたように、高次脳機能障害は、分かりにくいものです。もし、他の専門家の意見を聞くという場合には、専門機関に相談するということが一番近道かもしれません。都道府県によりますが、都道府県立のリハビリテーションセンターなどに「高次脳機能障害支援センター」や、高次脳機能障害の専門外来や専門の相談窓口が設けられています。ここでは、症状そのものの評価をしてもらうことも相談できますし、社会生活を再開するにあたってどのような制度を利用できるか、車の運転など、実生活を送る上での社会や家族との関わり方なども相談することができるかもしれません。

一つの例として国立障害者リハビリテーションセンターの開設しているホームページを紹介します。

国立障害者リハビリテーションセンター 高次脳機能障害情報・支援センター

高次脳機能障害により障害者手帳の交付を受けられるか

高次脳機能障害により、障害者手帳の交付を受けられるかについてです。

一般的に障害者手帳と言われている身体障害者手帳は、基本的には体の機能に障害がある場合に認定を受けられるものです。そのため高次脳機能障害のみの場合には身体障害者手帳の条件には該当せず、合併して起きている運動麻痺や言語や咀嚼の問題など、身体障害によっては等級にも色々ありますので該当する場合があります。

高次脳機能障害は精神障害者保健福祉手帳の対象の可能性がある

高次脳機能障害によって日常生活や社会生活に制約があると診断されると、「器質性精神障害」として、精神障害者保健福祉手帳の申請対象になります。

障害者手帳の認定判断は、主治医が中心に色々な評価項目について何枚も書類を作り、それを役所に提出して判断されるような形になります。

高次脳機能障害と介護保険の要介護認定

もし生活上の介護を要す状態となっていて介護要介護認定の調査を受けた場合には、1、2か月で介護度の結果が出ます。

介護や療養生活のいろいろな相談事に応じている「地域包括支援センター」という施設がありますが、地域包括支援センターは高齢者の相談が圧倒的に多いので、若い方で積極的にリハビリや社会復帰の対応をする場合には不慣れかもしれません。地域包括支援センター自体は、つなぎ役のような役割なので「こういうところがありますよ、希望があれば連絡しときますね」という感じのところまでが多いかと思います。

高次脳機能障害で通所や訪問でリハビリを受けたい場合

通所か訪問でリハビリをしたいという場合には、病院側で調整してもらう方法もあります。地域包括支援センターは浅く広くの窓口なので、専門的なことはリハビリテーションセンターなどの相談が良いと思います。医療機関でのリハビリが利用できる場合には医療機関で、介護保険の認定が出た時には、選択肢としては、介護老人保健施設という施設があり、そこには数か月入所してのリハビリや通所リハビリが可能です。介護老人保健施設を利用する場合、原則、利用の条件としては要介護の認定が出る必要があります。

高次脳機能障害で通院する病院・施設の選び方

今、入院している病院を退院するときの通院頻度については、状態に合わせて医師側から提案があると思いますのでそれに沿って相談していただく形がよいかと思います。医師側は状態やその後の変化などを経過観察し、適切だと思う頻度で通院の提案があると思います。遠くて大変などの場合には、医師からの頻度の提案をもとにご相談いただく方が良いと思います。
外来のリハビリの予約のルールもその病院次第です。基本的には次回の予約を取るところが多いです。予約なしで好きな時間に受付できるタイプのリハビリでは、流れ作業で電気当てたり温めたりするような接骨院みたいな感じの内容が多いと思います。

リハビリ科のある診療所で作業療法士がいる場合でも、医療機関ごとに専門分野や対応範囲があるので、高次脳機能障害や脳梗塞後遺症のリハビリを適切に受けられるかはわかりません。受診や引き継ぎの前に、高次脳機能障害や脳梗塞後遺症が心配でリハビリ対応してもらえるかを確認しておいた方が良いと思います。役割としては歩いたり動いたりは理学療法士、生活適応は作業療法士という感じですが、それぞれどちらも対応できるのでどちらが担当することになるかも病院次第です。

まとめ

高次脳機能障害の後遺症が残っている場合のリハビリのポイントとしては、病院に相談してある程度信用してみること、セカンドオピニオンを求める場合には市役所・高次脳機能障害支援センターの役割を持つリハビリテーションセンターが良いと思います。要介護の認定が出ると使える制度や担当ケアマネジャーが付くなど相談や選択の幅は広がります。

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