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要介護度「改善」で奨励金 事業者の意欲を評価
介護報酬は、介護度が高いほど受けられるサービスの上限額が高く、介護度が下がると限度額が下がるようになっています。
介護保険制度について、利用する側からの見方
介護保険には、認定を受けた人が利用できる予算のようなものがあるのです。
例えば、要介護1(身の回りの世話に何らかの介助を必要としたり、移動に何らかの支えを必要とする状態)の認定を受けた方には、月に約17万円分の介護サービスが受けられる予算が立つ。
そして、要介護5(介護なしには日常生活を行うことがほぼ不可能な状態)の認定を受けた方だと、約36万円分の介護サービスが受けられる予算となるのです。
その予算を、ケアマネジャーが必要なものから順に取り入れて、介護サービス計画(ケアプラン)を作成していきます。
介護保険制度について、介護事業者側からの見方
例えば、通所介護だとしたら、要介護1の人が1日(5時間以上7時間未満)利用したとすると、6000円くらいの売上になります。
そして、要介護5の人が1日(5時間以上7時間未満)利用したとすると、10000円くらいの売上になるのです。
同じ時間、利用者が施設を利用するのに、料金がかわるのです。
いろいろなところで、「リハビリ」や「自立支援」を奨励する声が聞かれますが、実際に自立支援してしまうと、自分の施設の売り上げは下がってしまうという矛盾なのです。
リハビリテーションや自立支援が評価されることは意義が大きい
介護問題は深刻で、人手不足や財源不足が叫ばれています。
理学療法士(PT)や作業療法士(OT)などのリハビリテーション専門職は、自立や自律を助ける仕事をしています。
介護業界でリハビリが流行ってはいますが、PT・OTが在宅生活継続や、自立支援を目標に本気で取り組むと、おそらく多くのケースで介護度は下がってしまいます。
しかし、介護事業者としては、口では「リハビリして元気になって、自分でできることが増えてほしい」と言っていても、帳簿をみると心の中で「要介護5が増えないかなぁ…」と思ってしまうのです。
この仕組みのせいで、できるだけ介護度が重くなるように・・・という暗黙の了解が業界に流れてしまっています。
なんだかんだ言っても、ほとんどの企業や法人での仕事の評価は「売上」などの数字に表れやすいです。他の「質」の部分を評価できる人は少ないでしょう。
つまり、経営陣と現場職員の認識がずれてしまう仕組みになっているのです。組織は方向性が一貫されないと本当の力は発揮できません。
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要介護度が改善すると奨励金が出るなら、やってやろうかな という事業者も出てくる
2013年度から品川区が要介護度改善で奨励金制度を開始したところ、「職員の意欲向上につながった、との声が出ている。利用者にも、施設のこうした取り組みの大切さが伝わっているようだ」というコメントが増えているそうです。
リハビリ施設だけでなく、ケアマネジャーにも要介護度が軽くなると奨励金を出すようにしたら、ケアマネジャーも一生懸命に自立支援のケアプランを立てることが予測されます。
しかし、介護の支出は抑えられそうですが、一度手厚い介護や楽しいデイサービスなどを利用してしまった方からは、利用できなくなるとクレームになりそうだということで抜け出せないということも考えられます。
この辺のバランスがとれると理想ですね。
要介護度「改善」で奨励金 事業者の意欲を評価
東京新聞 TOKYO Web 2015年2月11日
介護保険制度では、要介護度が低くなると、利用できるサービスが狭まるのに伴い、事業者が受け取る介護報酬も減る。
少しでもこれを補い、利用者の状態改善に前向きに取り組んでもらおうと、自治体の中には「成功報酬」の支払いを制度化する動きが出ている。
事業者の「やる気」を評価するとともに、介護費用の膨張を抑える意味もある。
東京都品川区は二〇一三年度から、利用者の要介護度改善に対する「奨励金」支給を始めた。
四月一日を基準に、過去一年間の利用者の要介護度について、一段階改善したら月額二万円を事業者に払う。改善状態が続けばその月数(最大十二カ月)分になる。さらに介護度が一段階低くなるごとに二万円が加算される。
◇デイサービスやデイケアなどの通所施設を対象に、一四年度まで三年間の事業で同様の奨励金を支給しているのは滋賀県。利用者の一定数以上が身体トレーニングなどの機能訓練や栄養改善、口腔(こうくう)機能向上に取り組んでいることを基本条件に、要介護度の維持者、改善者の割合について独自の評価基準値を設け、この値が高かった上位二十施設に、定員一人につき十二万円を支給している。一二年度は七十八施設、一三年度は百二十五施設が応募(届け出)し「基準値の平均も上昇して一定の成果が挙がっている」と同県介護保険室。上位施設の機能訓練メニューや職員間の情報共有法などは県のホームページで公開し、普及に努めている。一五年度も、評価方法を再検討するなどして奨励制度を継続する方針。将来的には「結果に対する評価だけでなく、介護度の重い人のケアやレスパイトケア(介護者の疲労軽減)に力を入れるなど、各施設でのモデル的な取り組みも評価し、支援できるようにしたい」(同室)としている。
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