買い物難民とは 買い物弱者の現状・支援とビジネス的な解決策
 

「買い物難民」「買い物弱者」という言葉を聞いたことがありますか?都市部の便利な生活とは裏腹に、地方や過疎地に住む人々が日常の買い物に困難を感じる現象を指しています。この問題は、スーパーやコンビニが少なく、移動手段が限られる中での生活が難しくなっていることから生じています。本記事では、買い物難民の現状とその背後にある問題点を深堀りし、支援策やビジネスの視点からの解決策を考えてみます。地域社会の活性化や持続可能な未来を目指す上で、どのような取り組みが求められるでしょうか。

買い物難民とは(定義)

「買い物難民」とは、生活必需品や食料品を購入するための店舗が近隣に存在せず、買い物に困難を感じる人々を指す言葉です。

「買い物難民」については定義はありませんが、農林水産政策研究所は類似した言葉として「食料品アクセス困難人口」とい言葉と使い定義し、この問題について分析を主なっています。

買い物難民とは(定義)

食料品アクセス困難人口の定義
食料品アクセス困難人口とは、店舗まで500m以上かつ自動車利用困難な65歳以上高齢者を指します。店舗は、食肉、鮮魚、野菜・果実小売業、百貨店、総合スーパー、食料品スーパー、コンビニエンスストアが含まれます。

食料品アクセスマップ:農林水産政策研究所

買い物難民の原因、現状

買い物難民が生じる原因

買い物難民が生じる原因は、都市部と地方部で若干異なるようです。

都市部では、大型店舗やショッピングモールの出現により、中小の小売店が廃業し、特に高齢者などが生活必需品を購入するための店舗が近隣に存在しなくなっていることが原因として挙げられます。

地方部では、人口減少や過疎化により、地域内の小売店が減少・廃業し、特に過疎地域では、店舗までの距離が遠くなることが原因として挙げられています。

 

買い物難民が生じる原因地域の商店の閉店や廃業、商店街のシャッター化

買い物難民の現状

全国各地で深刻な課題となっている食品アクセス問題について、以下の情報を紹介します。

食料品アクセス困難人口の推計

この農林水産省の調査では、食料品アクセス困難人口とは、店舗まで500m以上かつ自動車を利用出来ない65歳以上の高齢者を指しています。店舗には、食肉小売業、鮮魚小売業、野菜・果実小売業、百貨店、総合スーパー、食料品スーパー、コンビニエンスストアが含まれています。

食料品アクセス困難人口の推移:農林水産政策研究所注1)アクセス困難人口とは、店舗まで500m以上かつ自動車利用困難な65歳以上高齢者を指す。
2)「平成27年国勢調査」および「平成26年商業統計」のメッシュ統計を用いて推計したものである。
3)店舗は食肉、鮮魚、果実・野菜小売業、百貨店、総合スーパー、食料品スーパー、コンビニエンスストアである。
4)東京圏は東京、埼玉、千葉、神奈川、名古屋圏は愛知、岐阜、三重、大阪圏は大阪、京都、兵庫、奈良である。
5)ラウンドのため合計が一致しない場合がある。

表2. 食料品アクセス困難人口の推移:農林水産政策研究所

農林水産政策研究所の食料品アクセス困難人口の推計値では、2015年時点に全国に約824万人の食料品アクセス困難者がいると推計されています。

買い物難民への自治体による支援・対策

「買い物弱者」とは、特に地域の過疎化や高齢化、健康状態の悪化により、買い物が困難な状況にある人々のことを指します。この問題は、特に地方都市や過疎地域で深刻化していますが、都市部でもマンションの高層化や一人暮らしの増加などにより、買い物弱者が増えています。

政府や地方自治体は、商業施設の維持や新たな開設、移動販売の支援など、様々な対策を進めています。
交通の便の向上やコミュニティバスの導入などにより、高齢者などの移動手段を確保する取り組みも行われています。

近隣住民や地域のボランティア団体を募り、高齢者の買い物支援を行うこともあります。

買い物難民の問題点

生活必需品の購入が困難になることで、健康や生活の質が低下する可能性があることや、地域社会の活性化が難しくなり、さらなる過疎化を招く可能性があります。しかし、現代は若者も長時間労働や育児等で買い物に割ける時間が不足し、生協やネットスーパーなどを活用してやりくりしています。高齢者にとっての買い物の時間は、外出して活動するという意味でも有意義ではあります。実際引きこもりがちになってしまうとフレイルの状態になったり、要介護状態の予備軍になったりする懸念があります。食料品が手に入らず、魚や肉類などの摂取が不足すると、活動低下と栄養によるサルコペニアの状態になる可能性もあります。

要介護状態が原因で外出できない人に対して、訪問介護員が買い物を代行するというようなケースもあります。ネットスーパーであれば配送料数百円で済むところ、介護保険の訪問介護で買い物をすると数千円の介護報酬となり非常に割高であり、介護人材が不足している中で非効率です。

 

買い物難民問題に対して、現在の日本では主に3つの方法でやり過ごされています。

  • ボランティア・家族に頼る
  • 介護保険サービスで買い物を組み込む
  • 民間にすべて任せるという

これらがかみ合っていないところに問題点があります。

買い物難民に対する民間ビジネスの可能性

秋田経済新聞の記事によれば、買い物難民問題の解決に向けて、民間企業が積極的に取り組むべきポイントがいくつか挙げられています。

移動販売の拡大

地域のニーズに合わせた移動販売車の導入や、既存の移動販売車のルートの見直しを行うことで、買い物難民の問題を軽減することができます。

協同組合・生協の活用

地域住民や事業者との連携を強化し、協同組合を活用することで、地域のニーズに合わせた商品供給やサービスの提供が可能となります。

オンラインショッピング・ネットスーパーの普及

インターネットを利用した買い物の普及を促進することで、遠隔地や高齢者でも簡単に商品を購入することが可能となります。

買い物難民に対する民間ビジネスの可能性

地域資源・地産地消の活用

地域の特産品や資源を活用した商品開発や販売を行うことで、地域経済の活性化と買い物難民問題の解決を同時に進めることができます。また、地域の農家、漁業、畜産業などの人が、地元に密着した配達小売りや、集会所に出向いて訪問販売を行うことなども一行の余地がありそうです。

配食サービスの利用

人が生活する上で欠かすことができない食に関する部分では、配食サービスの利用が増えてきました。栄養バランスを考えたお弁当が自宅まで届くので、食材を買うという楽しみはちょっと減りますが、日替わりでご飯を楽しみ栄養を摂取できます。

買い物難民への対策の事例

買い物難民、特に「買い物弱者」として知られるこの現象は、日本全国で増加しており、2015年時点で約824万人とも言われています。この問題は、特に地方の過疎地域や都市部の一部で深刻化しています。以下のポイントが、NHKの記事から明らかになっています。

買い物代行・送迎の重要性

岩手県山田町田の浜地区のような地域では、公益財団法人「共生地域創造財団」が高齢者を対象に週1回の無料の買い物代行やスーパーへの送迎を提供していました。しかし、資金不足によりこのサービスは休止となり、地域住民やボランティアの協力が求められています。

行政の補助金とボランティアの役割

陸前高田市横田地区では、住民の有志が週1回、レンタカーを使用して高齢者を商業施設や病院に送迎しています。このサービスの運営費用の大部分は市の補助金で賄われていますが、ボランティアの高齢化による担い手の不足が懸念されています。

新しい取り組みの試み

北海道のあるスーパーでは、店舗や近隣の病院を結ぶバスを週5日運行しており、経費はスーパーが負担しています。新潟県村上市山北地区では、高齢者が利用する福祉施設に週3日、コンビニや衣料品店などが出店する「マルシェ」を設けるなど、地域のニーズに合わせた取り組みが行われています。

まとめ

これらの情報を基に、買い物難民問題の解決には、行政、民間、ボランティアの協力が不可欠であることが明らかです。また、地域ごとの特性やニーズを考慮した柔軟な取り組みが求められています。特に、輸送の進歩やインターネットサービスの普及で、民間サービスには便利でニーズに合ったサービスが増えています。しかし、これらへの補助が付かず、結果的に介護保険で訪問介護で買い物代行したり、ボランティアに頼っていれば、いわゆる「買い物難民」の金銭的な負担は最小限になるためこれらに依存する状況です。

地域ごとにニーズ、社会資源に違いがあるので一概には言えませんが、例えばネットスーパーの配送料に補助金を出すなどすれば、余計にかかる介護保険の抑制ができますし、ボランティアを委託職員にすれば雇用も生まれます。訪問販売に対しても一定の条件を定めて、食料品アクセス困難者の課題解決につながっているということを示し、自治体からの委託事業にするなども可能でしょう。考えればいろいろなことができる可能性を秘めています。

社会貢献の精神で個人個人がこの問題を考える必要もありますが、介護保険という自己負担激安の魔法の社会制度や、自治体ごとの事業計画から「買い物難民の自己負担を極力少なくした上で、誰かの犠牲の上で支援が成り立つべきである」という前提を壊すことからですね。陸前高田市横田地区の事例のように、行政が補助金を出して、運営費を賄って民間や有志と支援を行っているというところが、地域のニーズや地域資源に合わせて形になっていくとよいですね。

このように、介護保険で賄っていることを民間で行いやすいように開放していく政策をとることで、ケアマネジャーも本来の意味で社会資源の選択肢が広がり、健康寿命を延ばすための今までの活動的な生き方を目指すことができます。

社会資源に金銭的なサポートが入り、提供機会やシステムが安定するために、自治体や民間、システム会社などが協力していけるといいですね。