介護職員の人数の推移(2000年~2019年)と不足人数(~2040年)

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第8期介護保険事業計画の介護サービス見込み量などに基づき、都道府県が推計した介護職員から日本での介護職員の必要数を見ると、2023年度には約233万人(+約22万人の人材不足)、2025年度には約243万人(+約32万人の人材不足)、2040年度には約280万人(約69万人の人材不足)となったと厚生労働省から公表されました。

介護職員の人数の推移(2000年~2019年)

介護職員の必要数は、介護保険給付の対象となる介護サービス事業所、介護保険施設に従事する介護職員の必要数に、介護予防・日常生活支援総合事業における従前の介護予防訪問介護等に相当するサービスに従事する介護職員の必要数を加えたものとなっています。

令和元年度(2019年度)は、要介護(支援)認定者数が667万人いるのに対し、介護職員数は210万6000人となっています

介護保険サービス別の日本の介護職員数の推移

総合事業(訪問型サービス、通所型サービスなど)、訪問系(訪問介護や訪問入浴介護など)、通所系(通所介護、通所リハビリテーションなど)、入所系(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など)、小規模多機能型(小規模多機能型居宅介護など)に分類し、日本の介護職員数の推移をみてみると、以下のようになっています。

平成12年(2000年) 平成22年(2010年) 令和元年(2019年)
総合事業 14.5万人
訪問系 18.0万人 43.2万人 54.0万人
通所系 4.8万人 21.0万人 34.6万人
入所系 32.1万人 75.3万人 99.9万人
小規模多機能型など 3.2万人 7.5万人
合計 54.9万人 142.7万人 210.6万人

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全国での介護職員の不足人数(~2040年)

2019年度の介護職員の人数は211万人となっていますが、今後要介護者・要支援者がさらに増加する中で、大きな介護職員不足が生じると示されています。

必要な介護職員数 不足する介護職員数
2019年度 211万人
2023年度 233万人 22万人不足
2025年度 243万人 32万人不足
2040年度 280万人 69万人不足

介護職員の必要数は、介護保険給付の対象となる介護サービス事業所、介護保険施設に従事する介護職員の必要数に、介護予防・日常生活支援総合事業のうち従前の介護予防訪問介護等に相当するサービスに従事する介護職員の必要数を加えたものとされています。

第8期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づき、都道府県が推計した介護職員の必要数を集計すると、
・2023年度には約233万人(+約22万人(5.5万人/年))
・2025年度には約243万人(+約32万人(5.3万人/年))
・2040年度には約280万人(+約69万人(3.3万人/年))
となった。 ※()内は2019年度(211万人)比

注1)2019年度(令和元年度)の介護職員数約211万人は、「令和元年介護サービス施設・事業所調査」による。
注2)介護職員の必要数(約233万人・243万人・280万人)については、足下の介護職員数を約211万人として、市町村により第8期介護保険事業計画に位置付けられたサービス見込み量(総合事業を含む)等に基づく都道府県による推計値を集計したもの。
注3)介護職員数には、総合事業のうち従前の介護予防訪問介護等に相当するサービスに従事する介護職員数を含む。
注4)2018年度(平成30年度)分から、介護職員数を調査している「介護サービス施設・事業所調査」の集計方法に変更があった。このため、同調査の変更前の結果に基づき必要数を算出している第7期計画と、変更後の結果に基づき必要数を算出している第8期計画との比較はできない。

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介護職員の人材不足は今後は現状より深刻

現在の要介護(要支援)の認定を受けている人は、667万人ですが、2040年には956.7万人でピークを迎えるといわれています。要介護(要支援)の認定を受けている人の数は、今後20年で約1.5倍に増加することが見込まれます。

そのために、2019年に211万人いる介護職員数を、2040年には280万人にすることが必要と推計されていますが、要介護(要支援)の認定を受けている人が1.5倍になるのに対し、介護職員数は1.32倍の増加でカバーできるかは現時点ではわかりません。

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介護職員の人材不足に対する厚生労働省の対策

厚生労働省は、介護人材不足に対する介護人材確保対策として、主な取組みを5つ掲げています。

  1. 介護職員の処遇改善
  2. 多様な人材の確保・育成
  3. 離職防止定着促進生産性向上
  4. 介護職の魅力向上
  5. 外国人材の受入れ環境整備

 

 

多様な人材の確保・育成の中では、地域の元気な高齢者に「介護助手」として介護施設などの介護の専門性が無くてもできる業務を担ってもらうなどの取り組みも進められています。

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介護職員の人材不足の原因と対策

厚生労働省は、今後予測される介護職員の人材不足について上記のような対策を講じると取り組み方針を計画していますが、対策ありきで原因は後付けのようにも感じます。

介護職員の給与が他業種に比べ低いことが主な原因ではあり処遇改善加算を拡充するなどで対応をして一定の成果は出ていますが、その他の対策人材確保策として現時点で行われている介護福祉士修学資金貸付、再就職準備金貸付による支援などについては、その場しのぎのような対策です。外国人材の受入れ環境整備についても、日本人の介護職員への待遇に比べ外国人人材への支援が充実しており、国内で介護の仕事をする人への支援は就業したら10万円補助することや、資格を取得する資金を貸すという程度であり、現実的に考えればこの人材確保策で介護業界への流入が増えるとは思えません。

介護職の魅力向上についてはケアコンテストや介護の魅力を発信するメディアなど、成果が出ているかの効果検証ができない中で委託会社に予算がつぎ込まれるという構造になっています。実際に、魅力があるということをメディアで知って介護職員を志そうといういう人がいたかは検証されませんし、介護の魅力で就業した人も処遇が原因で他業種に転職するという状態です。

また、介護業界においてもロボットやICT活用で生産性向上と言われていますが、生産性を低下させている重大な原因は厚生労働省の作るルールや基準にあることを自覚していないことが大問題です。介護の問題は国家課題ではありますが、地域ごとの介護保険計画や事業所ごとのルールにより対応できる部分もあります。

厚生労働省は基準を複雑化させたり余計な文書や情報記録を義務化して生産性を下げることばかり課さずに、何が介護事業の生産性を下げていて負担になっているのか、事業所で本来不要な時間を浪費させられているのかを調査してルールを緩和すべきです。介護事業での自由度を広げ、利益を出せる状態になれば働き方も処遇も改善できる可能性は十分あります。

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