介護保険料負担年齢40歳から引き下げはあるのか 人と金を節約できる制度を
 

平成30年6月1日公益社団法人全国老人福祉施設協議会は介護分野等の経済財政運営と改革の基本方針に関する提案をまとめました。
ご提案の中で社会保障と税の公平性の確保について述べられています。
この中で介護報酬の引き上げを目指していくべきという方向性を示す一方、社会保障を見直す前に国家の財政歳入税制度の見直しも不可欠という立場を示しました。合わせて介護保険負担年齢の引き下げを模索すべきと言う意見が展開されています。(実際の提案内容については最終セクションに転載)

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今後の介護保険、社会保障の財源の懸念

ここからは個人的な考えになります。
平成30年の介護報酬改定において、介護保険サービスと障害者福祉分野のサービスの枠組みの境目が緩くなりました。また、政府の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に沿って、現役並み所得者の介護サービスの自己負担割合を3割に引き上げるなど社会保障と事業の持続のために財源確保を急いでいます。
現在、介護保険料を負担する年齢は40歳からですが、負担年齢を下げれば保険料を負担する頭数が増えるためいくらかの財源が確保できます。障害福祉サービスは、障害者手帳を持てるこどもから大人まで年齢を限定していないサービスです。年齢を限定していないものへも事業所指定を緩和することで、40歳以上に年齢を限定的にしていた介護保険料負担年齢を引き下げる理由になり得るものかもしれません。

介護保険サービスと障害福祉サービスの壁は保険料の壁?

平成30年介護報酬改定での共生型サービスの例では、介護保険施設と障害福祉施設の間で行き来がしづらいなど利用者視点に立ったもののように述べられています。
介護保険法と障害者総合支援法という二つの法律に分かれているこれらのサービスですが、事業者はどちらのサービスの認可も受けやすい「共生型サービス」の形ができました。

障害者総合支援法の自立支援給付と地域生活支援事業

障害者総合支援法のサービスを利用するには基本的には障害者手帳が必要です。
障害者総合支援法のサービス利用生対象者は、身体障害者知的障害者に限らず精神障害者発達障害者難病患者障害児など様々です。
障害福祉サービスの中で行われる訪問介護、同行援助、ショートステイ、生活介護などは、自立支援給付の中の介護給付として扱われます。自立訓練や就労移行支援就労継続支援などは訓練等給付という名目でが使われます。

高齢者の介護を支えるにはお金と人が必要

高度経済成長期と呼ばれる1955年ごろ、現役世代11人でお年寄り1人を支えている構図でしたが、いまは現役世代がたったの3人でお年寄り1人を支えるような状態になっています。
現役世代が3人で1人のお年寄りを支えるというのは、非常に困難なことです。介護保険の負担だけでなく、年金受給の年齢を遅らせることや年金支給の方法の見直しなども同時進行しています。65歳以上でも働ける環境を整えることも同時進行です。
高齢者を支える担い手としての、介護職員も今のままのサービスを行う前提ならば不足しています。介護の質は大切ですが、ロボットやICT技術を取り入れることに対して、人的な緩和が進まないとなりません。ロボットで人が行う仕事が減ったとしても、事業者は同じだけの人員を配置しておかなければならないという制度が緩和されていくことも急務です。
介護職員が1時間かけて清掃を行っているところもありますが、お掃除ロボットが掃き掃除を肩代わりしてくれれば20分時間が浮くかもしれません。食器洗い機が食器を洗ってくれれば30分時間が浮くかもしれません。そういう風に考えていくと、必ずしも今行っている業務が人の手によってすべて行わなければならないわけではありませんし、他の業界はむしろ人の削減をするためにいろいろな施策を考えています。

合わせて、時代の流れに合わせて福祉住環境コーディネーターが生まれたように、人的・経済的負担を軽減するためにロボット・情報技術・人工知能・他業種の技術応用などまで含めて、要介護者の生活や介護施設をコーディネートする人を増やすことも必要です。

将来的にはケアマネジャーはロボット・情報技術・人工知能・他業種の技術応用などまで含めたマネジメントを求められると思います。
介護事業を行っている身として個人的な意見を言うならば、現行サービスの多くは過剰であると感じます。今の介護の仕組みを続けるならば負担が大きくなることは必至です。しかし、保険料負担の増加は最小限に現場と制度が連動して人とお金の節約に努めるべきです。
現在介護事業を運営している人からすれば、介護職員を定着させるために報酬を増やしたいということが最重要な課題となりますが、ある程度の人員で、限られた予算で事業を行うために置き換えられるものは何かをみつけ、置き換えたときにうまくいかなそうなところをフォローする仕組みが整備されると良いと思います。肉体労働と知識労働を柔軟に取り入れて、うまく現場を回すということがこれからの介護業界に不可欠です。

全国老人福祉施設協議会 介護分野等の経済財政運営と改革の基本方針

公益社団法人全国老人福祉施設協議会が、平成30年6月13日に厚生労働省老健局長へ提示した提案は以下です。

2019年~21年における介護分野等の経済財政運営と改革の基本方針に関する提案~JS Draft 2018~

1 社会保障と税の公平性の確保

  • 社会保障費抑制の「目安」設定は望ましくない
  • 高齢者介護への過度な給付抑制ではなく報酬引き上げを目指す
  • 歳入、税制の見直しを進める(高額所得者・企業への課税拡大、介護保険料負担年齢引き下げ等)
  • 地域医療構想等を踏まえた受け皿需要拡大と適切な整備

2 地域医療構想等を踏まえた受け皿需要拡大と適切な整備

  • 養護・軽費等の既存の社会資源の活用を進める
  • プライバシーに配慮した従来型多床室特養の整備を推進する
  • サ高住定員の介護保険事業(支援)計画への反映と総量規制が考えられる
  • 法人の統廃合や大規模化の強制は望ましくない。隣接地域や法人、保険者を跨ぐ場合や加算配置職員の柔軟な対応が考えられる

3 人材確保に関して

  • ICT等の活用による業務効率化は不可欠。助成継続を推進する
  • 一方、センサー等導入により全国一律に配置基準の緩和を行うのは慎重な検討が必要。手厚い配置はむしろ評価へつなげる
  • 記録業務の効率化等により捻出された時間は利用者等のケアを手厚くするためのものであり、給付費自体の適正化は避けるべき
  • 派遣職員の紹介手数料等は一定程度制限が必要ではないか
  • 前期高齢者の活躍にむけ、各種助成や基金活用を推進する
  • EPAの即時の配置換算等、外国人材の更なる活躍の場を広げる

4 介護老人福祉施設等における建替えに係る費用助成と会計基準の見直し

  • 国庫負担に由来する建替え等の費用助成が必要ではないか
  • 社会福祉会計基準における減価償却の期間費用計上に対応した国庫補助金等特別積立金取崩額の取扱いの見直しが考えられる
  • 併せて、基準費用額への適切な対応が求められる

5 小規模(30床)特別養護老人ホームの単価等の見直し

本体報酬もしくは、加算等での手当は不可欠。人口密度や「特別地域訪問介護加算」の枠組み等を参考に、現状単価の維持に向けた見直しが考えられる
限界集落等への経営支援策として基金等の手当の充実が考えられる

6 ケアプラン及びケアマネジメントについて

ケアマネジメント利用者負担については、500円等の定額負担も考えられる。併せてセルフケアプランにおける仲介業者等の関与を抑止する仕組みの検討も考えられる。

7 軽度者へのサービスの地域支援事業への移行に関して

  • 要介護1、2の地域支援事業への移行は望ましくない
  • 一方、介護予防の通所リハ、訪問リハ、訪問看護については地域支援事業への移行は考えられる

8 保険者機能強化のためのインセンティブの活用について

  • 保険者の取り組み状況の可視化にあたっては、行政規模等の前提条件の公平性を確保する必要がある
  • 調整交付金は低所得者の分布等を是正するためのものであり、これを活用することは本来の役割を失うものとなるため望ましくない

9 在宅サービスについての保険者等の関与の在り方

  • 在宅分野の介護サービス供給量の調整について規制の枠組みも考えられる
  • サ高住に附帯するサービスや、生活保護等の利用者の属性も踏まえたうえで給付管理のあり方を検討する必要がある

10 2019年10月の消費税増税に関して

  • 介護職員処遇改善加算における交付対象職種の拡大を進める
  • 基準費用額の増税分を踏まえた改定が必要である
  • 養護、軽費における措置費、事務費補助等の単価設定への対応が求められる
  • 地域区分について、基準配置を前提とする人件費割合における特別集計結果の公表及び見直しが考えられる

引用:(抄)2019年~21年における介護分野等の経済財政運営と改革の基本方針に関する提案~JS Draft 2018~提言・要望・意見詳細, 公益社団法人全国老人福祉施設協議会, 2018年6月

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