居宅サービス計画(ケアプラン)とケアマネジメントの目的・意義

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居宅サービス計画(ケアプラン)作成とケアマネジメントの目的と意義

ケアプランを人工知能(AI)で科学的に効果的な計画を作成すればケアマネジメントのできないケアマネジャーは不要になるという話題がクローズアップされてきました。
ケアマネ不要論も叫ばれる中、居宅サービス計画(ケアプラン)やケアマネジメントはなぜ必要なのかということが問われることがあります。

現状、あまり意識されないでケアプラン作成が行われることが多いので、ケアマネジャーのケアマネジメントで、ニーズの個別性と人間味が不足していていると、ケアプランを人口知能に自動作成される時代はますます近くなります。ケアプランを作成する目的・意義は以下のようなものです。

ケアプランを作成する目的・意義

  • ケアプランの作成は、要介護者の生活課題(ニーズ)をベースにしてサービスを提供していく「ニーズ優先アプローチ」、要介護者の本当の気持ちになって援助していく「サービス利用者主導アプローチ」を目指すものとなっている。
  • ケアプランには、フォーマルサービス・インフォーマルサポートをする組織・人の仕事の役割を明文化することで、それぞれがなすべきことを継続していくための指針となる。
  • 介護支援専門員がつなぎ役となり、要介護者や家族、サービスやサポートを行う人々がチームとして組織される
  • それぞれのサービスやサポートが役割を果たし、計画通りに行われたかで評価がしやすくなる。
  • それぞれのサービスやサポートを行う組織・人を、介護支援専門員(ケアマネジャー)が支援していくときのガイドラインとなる。

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ケアマネジメントとは

ケアマネジメントとは、本人の尊厳を尊重し、住み慣れた地域でできるだけ暮らし続けられるよう、生活全般を支える体制を整え、自立支援を実現することです。

介護保険制度が始まったのと同時に、要介護者等に対して、個々の解決すべき課題(ニーズ)を明らかにし、利用者本位の介護サービスが適切に提供されるように導入されたのがケアマネジャー(介護支援専門員)によるケアマネジメントです。介護保険制度では、ケアマネジャー(介護支援専門員)が利用者の望む生活を把握し、その生活の実現に向けて、日常生活の課題と、保健・医療・福祉のサービスが総合的・一体的・効率的になされるサービス体系を確立することとされています。
介護支援におけるケアマネジメントにおいては、要介護者やその家族がもつ生活課題(ニーズ)各種サービス社会資源を結び付けて在宅生活を支援する仕組みです。

ケアマネジメントという言葉は、介護に限ったことでなく、児童分野や障がい者支援分野でも利用されている手法です。

フォーマルサービスとは

フォーマルサービスとは、保険・医療・福祉などの各種サービスのことです。医療保険・介護保険制度で位置づけられた給付サービスだけでなく、例えば、おむつなどの排泄用品を支給する自治体ごとのサービスなども公的という意味ではフォーマルサービスになります。このことを知らずにすべて購入していたとしたら利用者に不利益になります。

インフォーマルサポートとは

インフォーマルサポートとは、要介護者を地域社会で支援していくために必要とされる、家族や近隣、ボランティア活動等によるサポートのことで、地域資源と言われます。
要介護者の生活を支えるのは、介護保険制度で提供されるサービスだけでは足りません。それぞれの地域の自治体なども市民をサポートする各種制度を作っています。同じように、家族・ボランティア・市町村などで実施する一般福祉サービス、近隣の支援・地域の活動など、公的ではないですが要介護者の生活を援助する活動をインフォーマルサポートと言います。ケアプランには、これらのインフォーマルサポートも取り入れて、それぞれの役割を明確化して、その人のケアのガイドラインとして共有されることが有意義です。一般企業や店舗のサービスなど、たとえ営利目的ではあったとしても利用者の生活の助けになり、経済的に見合った形でその方の望む生活を支えるものが提供されるならば、利用者の周辺地域にある資源と考え、インフォーマルサポートとして取り入れてケアプランに明文化し当人たちにもニーズの解決に向けた役割を担ってもらうとよりよい支援となります

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介護保険制度でのケアマネジメントプロセス

ケアマネジメントは、ケアマネジャー(介護支援専門員)が中心となって行っていきます。

  1. 生活全般の解決すべき課題(ニーズ)を明らかにする課題分析(アセスメント)
  2. 課題分析(アセスメント)で明らかにされたニーズを解決するための総合的な居宅サービス計画(ケアプラン)
  3. ケアプランの原案を利用者・家族・各サービス担当者で集まりサービス担当者会議を開き検討
  4. 居宅サービス計画(ケアプラン)を作成し、利用者や家族に文書による同意を得て交付
  5. ケアプランに組み込まれたサービス事業者からサービスを提供
  6. 計画に沿ってサービスが実施されているかモニタリング
  7. 各サービスがケアプランに基づいて適切であるか評価し、ニーズが変化したり、新たなニーズが生じていないか評価と課題分析

2021年6月に厚生労働省と日本総研が共同で、「適切なケアマネジメント手法の手引き」を公開しました。

適切なケアマネジメント手法の概要及び活用については、Youtubeの動画教材も公開されています。

適切なケアマネジメント手法の手引きを使用する意義としては、支援内容やアセスメント項目の「抜け漏れ」を防ぐこと、他の職種との協働や役割分担を進めやすくすること、ケアプランの見直しをしやすくなどを挙げています。

「適切なケアマネジメント手法」の手引き

手引きでは、適切なケアマネジメントでは、「基本ケア」と「疾患別ケア」で構成されると紹介されています。

「基本ケア」は、本人の生活の継続を支援する基盤となる支援内容であり、高齢者の機能と生理を踏まえたケアです。本人が有する疾患に関係なく、在宅のケアマネジメントやその前提となる多職種との情報共有において必要な視点、必要性が想定される支援内容を整理しています。

「疾患別ケア」は、疾患に特有な検討の視点あるいは可能性が想定される支援内容を整理しています。疾患によっては、期別(退院後3ヵ月、退院後4ヵ月目以降など)の視点を盛り込んでいます。こうした疾患では、時期によって本人の状況やその時に必要な支援内容、さらには医療との連携における留意点が大きく変わることから、タイミングを見計らった支援内容の見直しが求められます。

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居宅サービス計画作成の方法

総合的な援助の方針 目標設定

居宅サービス計画書では、要介護者の目標を設定します。この目標とは、要介護者が最終的に到達するべき方向性や状況、困っていることに対する望ましい解決の方向性を提示するものです。
そのために、ケアマネジャーは「要介護者や家族の介護に対する意向」を明らかにし、どのような立場で支援していくか「総合的な援助の方針」をまとめます。
この総合的な援助の方針は、居宅サービス計画で位置づけられたサービス事業者やインフォーマルサポートを担う人たちに共通した支援目標となり、チームアプローチでの理念であり、チームで実際の支援を行うときの真偽の判断材料となります

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ケアプランの生活課題(ニーズ)とは

生活課題(ニーズ)は、「望む生活のために必要なこと」「生活する上で解決すべき課題」という内容です。
課題分析(アセスメント)の結果をもとに、要介護者が生活するうえで困っていることを導き出します。
生活課題を導き出すためには、その方の身体面、精神や心理面、社会環境面、健康面、個人的な事柄などが関連しあっていることを整理していくことが必要です。近年、人の全体像をとらえるときの整理方法にICF(国際生活機能分類)を採用することが増えてきました。


ケアマネジメントを行うときに活用が推奨され始めたICFは、人の生活機能と障害について、「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」の3つの次元、および、関連する「健康状態」、「環境要因」、「個体要因」の各構成要素が双方向的な関連をもつ相互作用モデルです。

例えば、同じような足の怪我をした人が2人いて、そのまま寝たきりになってしまう人と、それでも元気に外出しながら暮らしている人がいるように、その人の生活環境、家族の支援、近所とのお付き合い、個人的な性格などいろいろな要素が絡み合ってその人現在のライフスタイル(状況)ができているという考え方です。怪我などの健康状態そのものの治療も大切ですが、その他のどの要素が不足して生活のボリュームが落ちているのかは、生活機能全体に視野を広げることで見えてきます。

 

援助目標(長期目標・短期目標)の設定

ケアマネジメントを進め、生活課題(ニーズ)を明らかにして、そのニーズを解決するためにどのように援助していくのかという具体的な目標を設定します。
ケアプランでの目標の設定に当たっては、優先度に応じてサービスの種別、事業者とその内容、利用回数、利用時間などを調整します。目標設定は、それぞれの事業者が支援を行っていく指針となるため、事業者から妥当な目標について意見をもらうことが望ましいです。援助の目標は、最終的には本人が同意することで決定します。

長期目標

ケアプランの最終目標は、最終的に目指す目標や結果を設定します。

短期目標

ケアプランの短期目標は、一定の期間までに達成することが望ましい目標や結果を設定します。

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ケアプランはニーズを明文化してみんなで役割分担

私は、その方の生活のボリュームがアップ(充実)するために必要なことが生活課題(ニーズ)としての優先順位が高くなるケースが多いと考えています。(もともと細々と密かに暮らしたいという人は少し違ったものになりますが)
そのために、生活課題は「本人がそのニーズを再認識して、その気になって自ら動き出す!」というものが理想であると思います。
ケアマネジメントは奥が深いですが、そのプロセスでICFなどを用いて全体を見てしっかり行っていくと、利用者が元気になっていきます。介護業界でも自立支援や科学的に介入効果を示すことが強く求められる時代になってきました。ケアマネジャーが一人一人に向き合ってニーズと解決手段を創意工夫することが、人工知能がはじき出すケアプランや介護支援よりいろいろな面で良いということを示すために介護支援専門員の間でも熱心な啓発活動が行われています。
疾患や加齢など避けられない問題はあります。それらをどのように避け、補い、代償し、小さくなってしまった生活を今より大きな充実感で満たされる生活に近づけていけるかは介護支援専門員によるニーズの抽出と、役割を担う人たちがそのニーズや援助の方針に力を合わせていけるかが大きいです。本人が自ら動き出すために、動き出すためのドキュメンタリーの演出をみんなで行って、みんなで充実感が味わえるといいですね!

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