2020年8月に新型コロナウイルス感染症対策分科会から、政府に対して今後の感染状況の変化に対応した対策の実施にあたり、具体的な6つのモニタリング指標や目安を4段階のステージで分類して示されました。
①病床のひっ迫具合(病床全体、うち重症者用病床)、②療養者数、③PCR陽性率、④新規報告数、⑤直近一週間と先週一週間の比較、⑥感染経路不明割合についての具体的な基準指標について紹介します。
モニタリング指標は、ステージの移行を検知し、対策を強化するための目安となるものです。一つひとつの指標をもって機械的に判断するのではなく、国や地方公共団体においてこれらの指標を総合的に判断して、感染の状況に応じ積極的かつ機動的に対策を講じていくことが求められています。
「病床のひっ迫具合」の指標の総合的な判断にあたっては、直近の感染スピード等を勘案する必要があり、その速度が速く、この指標を満たした場合には少なくとも対策が必要となります。こうしたことも踏まえて、目安に満たない段階から、早めの対応を行うことが望ましいとされています。一方で、継続的な感染の拡大が見られない時など、その速度の状況によっては病床の占有率のみで判断せず、特に総合的に判断することが望ましいとされています。
このページの目次
社会経済と感染対策の両立のための目標と基本戦略
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新型コロナ感染 4段階のステージの基準
ステージⅠ 感染散発 |
感染者の散発的発生及び医療提供体制に特段の支障がない段階 |
ステージⅡ 感染漸増 |
感染者の漸増及び医療提供体制への負荷が蓄積する段階
3密環境などリスクの高い場所でクラスターが度々発生することで、感染者が漸増し、重症者が徐々に増加してくる。このため、保健所などの公衆衛生体制の負荷も増大するとともに、新型コロナウイルス感染症に対する医療以外の一般医療も並行して実施する中で、医療提供体制への負荷が蓄積しつつある。 |
ステージⅢの指標 感染急増 |
感染者の急増及び医療提供体制における大きな支障の発生を避けるための対応が必要な段階
ステージⅡと比べてクラスターが広範に多発する等、感染者が急増し、新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制への負荷がさらに高まり、一般医療にも大きな支障が発生することを避けるための対応が必要な状況。 |
ステージⅣの指標 感染爆発 |
爆発的な感染拡大及び深刻な医療提供体制の機能不全を避けるための対応が必要な段階
病院間クラスター連鎖などの大規模かつ深刻なクラスター連鎖が発生し、爆発的な感染拡大により、高齢者や高リスク者が大量に感染し、多くの重症者及び死亡者が発生し始め、公衆衛生体制及び医療提供体制が機能不全に陥いることを避けるための対応が必要な状況。 |
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新型コロナ感染 ステージのモニタリング指標
医療提供体制等の負荷(病床のひっ迫具合)の指標
病床全体 | うち重症者用病床 | 療養者数 | |
ステージⅢの指標 感染急増 |
・最大確保病床の占有率 20%以上 ・現時点の確保病床数の占有率 25%以上 |
・最大確保病床の占有率 20%以上 ・現時点の確保病床数の占有率 25%以上 |
人口10万人当たりの全療養者数 15人以上 |
ステージⅣの指標 感染爆発 |
・最大確保病床の占有率 50%以上 | ・最大確保病床の占有率 50%以上 | 人口10万人当たりの全療養者数 25人以上 |
※最大確保病床とは、都道府県がピーク時に向けて確保しようとしている病床数をいう。
現時点の確保病床数とは、現時点において都道府県が医療機関と調整を行い、確保している病床数であり、直近に追加確保できる見込みがある場合はその病床分も追加して確認する。
※全療養者:入院者、自宅・宿泊療養者等を合わせた数
監視体制・感染の状況の指標
PCR陽性率 | 新規報告数 | 直近一週間と 先週一週間の比較 |
感染経路不明割合 | |
ステージⅢの指標 | 10% | 1週間に10万人たり15人以上 | 直近一週間が 先週一週間より多い。 |
50% |
ステージⅣの指標 | 10% | 1週間に10万人たり25人以上 | 直近一週間が 先週一週間より多い。 |
50% |
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47都道府県のコロナ感染 最新の6分野のモニタリング指標
新型コロナウイルス感染症の状況について、日本での4段階のステージの基準とモニタリング指標について紹介しました。
- 病床のひっ迫具合(病床全体、うち重症者用病床)
- 療養者数
- PCR陽性率
- 新規報告数
- 直近一週間と先週一週間の比較
- 感染経路不明割合
現時点での日本全国47都道府県での感染状況やモニタリング指標を確認するには、日本経済新聞の「47都道府県のコロナ感染 6指標で見る」がわかりやすいです。
現在の47都道府県の状況を見る
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大都市圏での医療提供体制をモニタリングする参考指標
都市部と地方部では医療提供体制をはじめ様々な環境が異なるため、地域の実情に応じて判断することが必要であり、以下のような参考指標が示されています。
大都市圏での医療提供体制の負荷を見るための指標
- 救急搬送困難事例
監視体制を見るための指標
- 発症から診断までの日数
補助指標
- ECMO装着数
- 人工呼吸器装着数(ECMOを除く)
- 60歳以上新規報告数
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緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の違い
新型コロナウイルス対策の改正特別措置法に2月13日から施行されています。(新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正した形)
新型コロナウイルス感染症が、全国的かつ急速なまん延により国民生活および国民経済に甚大な影響を及ぼす状態、あるいはそのおそれがあるとして緊急事態宣言を発出せざるを得ない状況に陥るのを防ぐため、緊急事態宣言の前段階、または緊急事態宣言の解除後であるものの未だおそれが継続している段階において、「まん延防止等重点措置」として、政府対策本部長が期間及び区域等を定めて公示し、当該期間・区域内において、都道府県知事の判断により、営業時間の変更その他必要な措置として政令で定める措置を実施できることとされました。
新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づいた「緊急事態宣言」下での営業時間短縮要請などに応じなかった場合の罰則が規定されましたが、同時に「まん延防止等重点措置」という新たな制度も創設されており、まん延防止等重点措置では都道府県内の特定の区域を想定しており、対象となるエリアや業態は都道府県知事が指定して対策を行います。
「まん延防止等重点措置」は、ステージⅢが適用の目安、「緊急事態宣言」はステージⅣが適用の目安となっています。
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