看護や介護福祉の現場で、患者さんや利用者さんとの信頼関係を築くことは、質の高いケアを提供する上で欠かせません。その鍵となるのが「ラポールの形成」です。ラポールとは何か、どのように形成されるのか、その重要性を具体例や実践的なテクニックを交えながら解説します。信頼と安心感を築くことで、ケアの効果を最大化し、トラブルのリスクも軽減できるヒントが満載です。
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ラポールの形成の意味
ラポール(rapport)とは、フランス語で「橋を架ける」という意味を持ち、人と人の間に信頼関係や安心感を築くことを指します。看護や介護福祉の現場では、患者さんや利用者さんと良好な関係を築くために欠かせない要素として知られています。ラポールが形成されると、相手が安心して自分の気持ちを伝えられる環境が生まれ、心身のケアがより効果的に行われるようになります。
ラポールという概念を提唱したのは誰か
ラポールという概念は、心理学者のカール・ロジャーズ(Carl Rogers)がその重要性を提唱したことで広まりました。彼の来談者中心療法(クライエント中心療法)において、セラピストとクライエントの間にラポールを築くことが成功の鍵とされていました。これが医療や福祉の分野にも応用され、信頼関係の構築が重要視されるようになったのです。また、催眠療法の父とされるミルトン・エリクソンもラポールを効果的な治療関係の土台として扱い、相手との信頼感を高める技法を開発しました。
ラポールの形成が重要視される背景
現代の看護や介護福祉では、患者さんや利用者さんが自分の意志を尊重され、安心してケアを受けられることが求められます。多くの人が身体的な苦痛だけでなく、精神的な不安や孤独感を抱えています。ラポールを形成することで、これらの不安を軽減し、心地よいケア環境を提供することが可能になります。近年、看護や介護福祉の現場では、患者や利用者の個別性を重視する「パーソンセンタードケア」の考え方が浸透しています。その中で、信頼関係を構築するためのラポール形成は不可欠な要素とされています。
例えば、認知症の方は特に信頼関係の有無がケアの質に影響します。ある施設では、新しいスタッフが入所者とラポールを築くために、毎日同じ時間に話しかけるなどの努力を続けた結果、不安行動が減少し、穏やかな日々を取り戻した事例があります。
また、医療・看護・介護でも、事故が起きてしまったときや、不手際がったときなど、近年は非常に訴訟されるリスクが高まっており、そのようなトラブルをできるだけ防ぐためにラポール形成が重要視されているという面もあります。
ラポールの形成で信頼関係・安心感が湧き、良好な関係が築ける
ラポールが形成されると、患者さんや利用者さんが「この人に任せても大丈夫」と感じ、心を開きやすくなります。例えば、初めて訪問看護を受ける患者さんが看護師とラポールを築けた場合、自分の症状や生活の悩みを積極的に話すようになり、ケアの質が向上します。
また、安心感が高まることで、ケアに対する協力も得やすくなります。これにより、治療やリハビリの効果も向上し、結果的に患者さんや利用者さんの生活の質が向上します。
ラポールの形成ができているとクレームや訴訟リスクも抑えられる
信頼関係が築かれていると、相手が小さな不満や懸念を率直に伝えやすくなり、早期に問題を解決できるようになります。これがクレームや訴訟リスクの抑制につながります。
ある介護施設では、利用者さんの家族がスタッフに日々の不安を相談できる環境を整えたところ、スタッフへの感謝が増え、トラブルの件数が減少しました。ラポールが形成されていることで、相手の信頼を失うリスクを大幅に低減できるのです。
信頼関係がしっかりと築かれていると、患者さんや家族とのトラブルが減り、クレームや訴訟のリスクも大幅に抑えられます。
例えば、介護の現場で転倒事故が発生した場合でも、日頃からラポールを築いていると、利用者の家族が「いつも丁寧に見てくれているのは知っています。今回は仕方がなかった」と受け入れるケースがあります。ラポールは信頼によるトラブル防止策としての役割も果たします。
ラポールの形成で意識したいテクニック4選!
相手の姿勢や身振りなどの行動を模倣する「ミラーリング」
相手の行動や姿勢を自然に模倣することで、無意識のうちに親近感を感じてもらう方法です。例えば、車椅子に座る利用者さんと話す際、自分も椅子に座ることで目線を合わせ、安心感を生むことができます。
相手の言語や非言語に配慮しながら話し方や呼吸のペース、視線などを合わせる「ペーシング」
相手の話すスピードやトーンに合わせることで、会話がスムーズになり、相手が「理解されている」と感じやすくなります。例えば、ゆっくり話す高齢者には同じペースで返答することで、落ち着いた対話を促せます。
相手を肯定・尊重する「傾聴」
相手の話を遮らず、受け入れる姿勢を示すことが重要です。うなずきや「あいづち」を使うだけでも、相手は「しっかり聞いてもらえている」と感じ、心を開きやすくなります。
相手の価値観の傾向を理解し、そのタイプに合わせてアプローチする
相手が何を重視しているのかを理解し、その価値観に合った言葉や態度で対応することが効果的です。例えば、「安全第一」を重視する利用者さんには、「安全面に配慮しています」と伝えることで安心感を与えられます。もちろん、ただ単に「安全面に配慮している」と口に出しただけで、実際は安全面には全く配慮されていないような状況の場合には逆効果です。適当に嘘を並べている、小馬鹿にしていると思われてしまいますので、相手にそう感じてもらうにはどうするとよいか、その人の価値は上っ面の言葉だけでなくリアルなことなのだという根底的な部分を意識することは大切です。
まとめ
ラポールの形成は、看護や介護福祉の現場で信頼関係を築き、安心感を提供するために欠かせない要素です。信頼関係が構築されることで、ケアの質が向上するだけでなく、クレームや訴訟リスクの軽減にもつながります。ミラーリングやペーシング、傾聴といった具体的なテクニックを活用し、相手に寄り添ったケアを提供することが重要です。ラポールを通じて、利用者さんや患者さんとのより良い関係を築きましょう。
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