介護業界にある良くない「忖度」と優しい「配慮」

数年前に世間で忖度という言葉をよく耳にする時期がありました。相手の気持ちになって考えたり、お互い様という風土が強い介護業界では、良くも悪くも口には出さずに察することで忖度してしまっているということもあります。

相手に配慮しながらコミュニケーションや連携をすることは大切ですが、行き過ぎた忖度は業界全体に歪みを生じさせる可能性もあるので注意が必要だと思います。

忖度とは

忖度とは、「そんたく」と読み、他人の心をおしはかること、おしはかって相手に配慮することという意味です。

つまり簡単にいうと、「あの人はこんな風に思うだろうな」と想像をして、自分でできる気遣いや手回しをすることです。

配慮するという言葉と似ているので良いことのようにも見えますが、忖度という言葉を使う場合には特別扱いをするようなニュアンスが含まれます。

介護での利用者への忖度

介護事業所や介護施設でも、地位の高い人や、地域を代表するような居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当している利用者など、特別扱いすることなどが発生してしまうこともあります。

法人内政治での上司や経営者への忖度

介護事業を営む法人では、高齢社会を支える慈善事業のような側面もありますが、利潤を確保することも重要です。特に中間管理職のような立場では、介護サービスを提供することで得られる収益も求められますし、経営者の意向を聞き入れて気に入ってもらえるように成果を出すということも必要になります。直接的に数字を求めるようなことや不正を指示するようなことは言わなかったとしても、それが不正なくして実現することはできないものであることも。

その場合、事業所の管理者のような立場の人は、不正するように指示されているわけではなかったとしても、必達数字、成果を出すために現実的には不正以外に方法がないという状態で忖度が働くこともあるようです。

この場合、上司や経営者は管理者に不正をするように指示をしたり組織的に不正を働こうとしたわけではないという言い逃れをするのですが、見る人が見れば組織的な不正であることも分かってしまうのではないかと思います。

介護事業者同士・ケアマネジャーへの忖度

介護事業所では、ケアマネジャーとサービス事業所で書類のやり取りをしたり、ケアプランを共有したりといったことが行われます。本来はどちらが地位が高いなどといった上下関係はないのですが、どちらかの事業所が書類を作っていなかった場合などに後から日付を遡ってつくり、「その不正を隠してあげた方が良いのではないか」という暗黙の了解の中で忖度が生まれます。

忖度を生む言葉「うまいことやっといてね」

ケアマネジャーや事業者の中には、こういうことになったから「うまいことやっといてね」というような言い方をする人もいて、その「うまいことやってくれる事業者」でないと取引しない、利用者を紹介しないと圧をかけられているような気持ちになり、不正隠し、辻褄合わせの連鎖が起きることもあります。「うまいことやっといて」や「よろしく頼むよ」のような「言ってる意味わかるよね?」というふくみや圧をこめた言葉遣いはしないようにしたいですね。

特定の職員への忖度

仕事をしていると、発言力や影響力が強く自然とリーダーのような人やお局のような人ができてきてしまう事業所もあります。このような時に発言力影響力が強い特定の職員に対して悪く思われないように忖度の気持ちが働いてしまうということもあり得ます。

クリーンな介護業界のために

介護や福祉の業界では、チームでケアに取り組んだりするため、お互いさまでフォローし合うと言う風習があります。

ルールを守った中での支え合い助け合いであれば全く問題はなく良いことなのですが、中には相手の業務上のミスや、発言力の強い人に対して、気持ちを推し量りすぎて、正当ではない方法でフォローや気遣いをしてしまうということが起きやすいです。

忖度しない人は信用できる人だと思います。みんな平等で対等な立場で、あの人を敵に回すと怖いからと忖度の気持ちが起きたり、不正な行いを許容するなどはなく、良いことしているという実感を持って働いていけると良いですね。