ピンピンコロリ 幸せな生き方と死に方の条件

死ぬときにはピンピンコロリが理想だと言われ、だらだら寝たきりの状態を続けてそのままダラダラと死に際を迎えよりも、死ぬ当日まで元気で次の日にいきなり心筋梗塞で亡くなるなどの方が理想的だというアンケート結果があります。高齢者や高齢者を持つ家族の多くがこのようにピンピンコロリの亡くなり方を望んでいるにも関わらず、現実では介護や医療の中でピンピンコロリでなくなるということは難しいです。ピンピンコロリという標語を通して、もし介護・医療が必要な状態になったときによる生き方と死に方の問題点を考えていきたいと思います。

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ピンピンコロリとは

ピンピンコロリとは1983年に当時平均寿命を1位であった長野県で出来た言葉で、元気に自立して生活ができる期間を表す健康寿命を長く維持し、寝たきりになる期間が少なく周りに迷惑をかけずコロリとなくなるということを意味して作られた標語のようなものです。

日本は平均寿命が長く長寿な国ですが、健康に自立した生活ができる期間である健康寿命とのギャップがあり、亡くなる前の約10年間は支援や介護を必要とする状態になっているというところに課題感を感じて、健康寿命を伸ばすことを目的に色々な取り組みがなされています。健康寿命を延伸することの取り組みの一つがピンピンコロリというキャッチコピーです。

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ピンピンコロリの反対語「ねんねんころり」

ピンピンコロリが、亡くなる間際までとても元気にピンピンと過ごしていてなくなるという意味ですが、その反対語は寝たきりになった状態で長期間過ごした後に亡くなるという意味で「ねんねんころり」と嫌味も込めた反対語ができています。

ピンピンコロリの秘訣

ピンピンコロリでなくなるために必要なことは、寿命を迎える前に寝たきりの状態にならないことです。高齢者になると老化が進み老年症候群といわれる足腰が弱ったり様々な体の機能が落ちたりする現象が生じてきます。

その結果転倒をしてしまって骨折して動けなくなってしまったり、生活習慣病が積み重なり脳梗塞や狭心症などの運動がしづらい状態になって、活動性が低下してさらに動けなくなるという悪循環に陥ってしまいます。

この状態のことをフレイルと言いますが、フレイル状態になってしまうとコロリとなくなることができずにじわじわと要支援、要介護の状態になりねんねんころりに近い寝たきり状態になってしまう可能性が上がります。ピンピンコロリを目指すならば日頃から体を鍛え規則正しい生活をして、健康寿命を長く伸ばす努力を惜しまないことが大切です。

ピンピンコロリのために高齢者でも適度な運動を

高齢者になると使われない神経や筋肉があったり、体が硬くなって筋肉を十分に使えていないことなども大きく日常生活での動きに影響します。少しずつ動けなくなるという悪循環は、健康寿命を短くしてしまいピンピンコロリから遠ざかる原因になりますので、以下のような4つの運動の種類をバランスよく取り入れてトレーニングに取り組んでいくと良いと思います。

1筋肉や関節を柔らかくする「ストレッチ」

高齢者に限らず運動の時にはまず準備体操としてストレッチを行いますが、体がカチカチで筋肉や関節の柔軟性がない状態で筋力トレーニングなどを行っても、動かせる範囲(関節可動域)での筋力しか使わないため十分な効果を得られません。また、体の動きは筋肉が伸び縮みすることで行われているので、筋肉やその周りの組織が柔らかくなっていることも筋力向上トレーニングやバランストレーニングに影響を与えます。

2力をしっかりと出すための「筋力向上トレーニング」

高齢者の筋力トレーニングは加齢に伴い萎縮してくる筋肉の増強を目指します。特に抗重力筋と言われる、背中の脊柱起立筋や、お尻の臀筋(でんきん)、太ももの大腿四頭筋、ふくらはぎの下腿三頭筋などの部位を意識して行うとより効果的です。筋力を鍛えるという目的であれば、少ない回数で良いので高い負荷をかけて筋肉を使う運動が良いです。

高齢者の場合にはどちらかと言うと軽めの負荷でもいいのでゆっくりと行うことから始めて、少しずつ負荷量を高めつつも動きとしてはゆっくりと行うことが効果を高めるコツかと思います。

3素早く色々な筋肉を適切に使うための「バランス向上トレーニング」

若い人は体の中の細い筋肉なども使いながら高いパフォーマンスを発揮して動くことができますが、高齢になると体の中でも使いやすい大きな筋肉だけを使って動くようになります。細い筋肉や神経を上手に使えないと大雑把な動きになるので例えば片足で立つ時のような繊細な体の制御に対応ができなくなります。高齢になるとこのような背景があるので躓いたりしてちょっと体のバランスが崩れると転倒してしまいます。

筋力を鍛えるだけではなく、体の使い方もトレーニングの項目の中に取り入れていくと身体機能全体として効果が期待できます。

4体内の循環を良くする「持久力向上トレーニング」

持久力のトレーニングでは、ウォーキングや軽いランニングなど体の循環を良くして全身に栄養や酸素を届けたり、老廃物を代謝したりすることが期待できます。また筋肉の中には、酸素をもらい細胞の中のミトコンドリアという組織がエネルギー(ATP)の生成をして、筋肉の収縮に充てるというサイクルが存在しています。筋肉の組織が酸素を取り込んで力を発揮すると言うサイクルのスピードが落ちてしまっているとすぐに筋肉が疲労して動けなくなると言う状態になります。

血液循環の問題だけでなく、持久力向上トレーニングは筋肉が疲れにくい体を作ることと、普段使っている筋肉が疲れた時に普段使わない筋肉の方を動員して使うことができることなどの効果もあります。

ピンピンコロリの死に方は幸せか

「病気や怪我で人の世話になることなく、ピンピンコロリであの世に逝きたい」という話はお年寄りや、若い世代からもよく聞くようになりました。

ピンピンコロリで死ぬということは、昨日まで元気に生活していた人がある日突然死ぬということです。もしかすると言い残したことがあるかもしれませんし、元気に過ごす前提で身辺整理も何もできていない状態かもしれません。人に見られたくないものや知られたくないことを隠す間もなくあの世に行くことになるかもしれないのです。

ピンピンコロリが理想だと言っている人でも、実際ころりと亡くなってしまうと、「昨日までは元気だったのに、いきなりだったわね・・・」と、結局人が死ぬときにはどんな死に方でも悲しいものではあります。どんな死に方が幸せなのかは瞬間瞬間で変わると思います。ピンピンコロリでも人生やり切って「我が人生に一片の悔いなし!」という気持ちで旅立てる人もいれば、反対に「まだやり残しているのに今死んでしまうのか・・・」と後悔しながら旅立つ人もいると思います。ピンピンコロリで死ぬことはつまり急死ですので、その死に方が幸せかははっきり言って分かりません。

介護施設や医療機関に入ると自分の死に方を選びにくくなる

ピンピンコロリが理想とされる理由として根底にある気持ちとしては、介護施設や医療機関で寝たきりだったり、栄養剤をつながれて生かされているという状態になるのが嫌だということもあります。近年、介護や医療でも尊厳の問題がピックアップされることが増えては来ましたが、介護施設も医療機関も責任問題があるので、その利用者や患者の自由を優先せず、命の安全が優先される価値観があります。食べたいものがあっても「食べちゃダメです」行きたい場所があっても「転ぶと危ないから行っちゃだめです」と、医療や介護に関わりだすと自分の責任でできないことが増えてしまうのです。

QOLという人生の質が重要視されている近年の死ぬ間際でさえ、「食べること」や「出かけること」などを、いろいろな関係者に「許してもらわなければ」自分で生き方も死に方も選べなくなるのです。医療や介護が必要な状態になると、このようにその人の生活が誰かの許しがないと営めないという状態になるので、できればピンピンコロリで医療や介護に関わらずに死にたいという気持ちも沸きやすくなると思います。

どんな生き様を示せるか、どんな死にざまが残せるか

ピンピンコロリで死ぬことが幸せかはわからないのですが、はっきりと言えることは、いつ死んでもよいようにやりたいことはやるし、人に伝えておきたいことは伝え、やりたいことが出てきたときにはいつでもできるように健康な心身を維持する努力をしておき、少しでも後悔の少ない充実した毎日を過ごしておくことが幸せな死に方に近づく方法です。そのような生き様をできることは素晴らしいことだと思いますし、多くの人から理想とされると思います。

また、いろいろな批判や否定的な意見もありますが、ピンピンコロリでなく死にゆっくりと近づく中で死にざまを残すということも後世にとってよいこともあります。支援や介護を受けて生活することも悪いことばかりではありません。公費の介護保険で要介護状態の人を養っていくことは国家の財政の問題や介護職がいくらいても足りないなどの問題はありますが、少しの期間、家族が親を介護することを通して、死を意識して心の準備をしたり、親孝行したりできる、命のバトンをつなぐ準備期間にもなっていることがあるのも事実です。

いずれにしても、ピンピンコロリを漠然と考えるだけでなく、早い段階からいつか来る「死」から逆算して生きることが大切なのではないかと思う今日この頃です。

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