高齢者とは何歳から?日本での法律上の定義、年金などの開始年齢

 

高齢化社会が進む現代日本において、「高齢者」とは何歳からを指すのか、その定義は非常に重要です。高齢者の年齢は法律や制度によって異なり、それぞれの制度が異なる年齢を基準にしています。

「高齢者って65歳以上のことでしょ!?」と一概に捉えていると、日本の高齢者を対象とした各制度を見たときには適応年齢が少しずれていることに気づきます。

本記事では、日本における高齢者の法律上の定義や、老齢厚生年金の受給開始年齢、運転免許に関する高齢者講習、後期高齢者医療制度などについて詳しく解説します。これらの情報を通じて、日本の高齢者関連の制度や法律の全体像を把握していただければ幸いです。

日本の法律での高齢者の年齢についての定義

高齢者の年齢の定義

何歳以上を高齢者と呼ぶかは、時代や地域によって異なりますが、世界保健機関(WHO)では65歳以上を高齢者と定義しています。日本でも行政上の目的により高齢者の年齢が定められています。その他にも、道路交通法の改正により、70歳以上を「高齢者」として高齢者講習の受講や高齢運転者標識の表示が義務付けられているなど、法律や考え方によって高齢社の年齢についての定義は若干の違いはありますが、一般的には65歳以上を高齢者と考えてよいでしょう。

前期高齢者と後期高齢者

日本の「高齢者の医療の確保に関する法律」(昭和57年法律第80号)では、65歳以上を高齢者と定義しています。

その中で、65歳から74歳までを前期高齢者75歳以上を後期高齢者と分類しています。この法律が制定された昭和57年には、高齢者の割合は10%未満でしたが、令和4年には30%近くまで増加しています。

2022年までの年少人口、生産年齢人口、老年人口の3区分別の人口と人口比率のグラフ

総務省の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和4年1月1日現在) 」の集計を参考にまとめると、年少人口(0歳~14歳)、生産年齢人口 (15歳~64歳)、老年人口 (65歳~)の3区分別の人口と人口比率は以下のように推移しています。

2022年までの年少人口、生産年齢人口、老年人口の3区分別の人口推移のグラフ

2022年までの年少人口、生産年齢人口、老年人口の3区分別の人口比率の推移のグラフ

2022年の人口比率や高齢化率については以下の記事で紹介しています。

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老齢年金の受給開始時期は65歳から

老齢年金の受給開始時期は65歳からと定められています。これは、年金制度改革の一環として2000年に改正された「年金制度改革法」によって決定されました。それまでの受給開始年齢は60歳でしたが、65歳に引き上げられました。これにより、定年退職後も一定期間は労働を続ける必要がある人が増えましたが、長寿化に対応した年金制度の持続可能性が高まりました。

また、老齢年金には、受給開始年齢を引き上げることができる「繰り下げ受給」の制度もあります。受給開始を最大70歳まで遅らせることができ、その場合、年金額が増額されます。繰り下げ受給を選択すると、1ヶ月繰り下げるごとに受給額が0.7%増加し、最大で42%増える計算です。これは、長寿化に伴い、将来的な年金の受給額を増やしたい人にとって有利な制度です。

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70歳以上の方は運転免許の高齢者講習が必須

道路交通法の改正により、70歳以上の方は運転免許の更新時に高齢者講習の受講が義務付けられています。この改正は、2002年に実施されました。高齢者講習では、運転技能や認知機能の確認が行われ、これにより高齢者の運転事故の防止が図られています。また、75歳以上の方にはさらに詳細な認知機能検査が追加されています。

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75歳以上の方は運転免許更新時に認知症検査や運転技能検査

70歳以上の高齢者に関しては運転免許更新の際に高齢者講習が必須になっていますが、さらに75歳以上の人で交通違反歴がある場合には運転技能検査という実際に車の運転をして適切な運転ができるかの検査に合格することと、75歳以上の人全員に対して認知機能検査が義務付けられました。この検査の結果次第で、運転免許の更新ができない場合や取り消しになる場合、安全運転サポート者等限定条件付き免許が交付される場合などがあります。

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後期高齢者医療制度は原則として75歳以上

後期高齢者医療制度は、原則として75歳以上の方を対象としています。この制度は、2008年に施行された「高齢者の医療の確保に関する法律」の改正により導入されました。後期高齢者医療制度の目的は、高齢者に対する医療費の負担を軽減し、適切な医療サービスを提供することです。75歳以上の方は、後期高齢者医療制度に加入し、一定の自己負担割合で医療サービスを受けることができます。

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まとめ

高齢者の定義は、各種法律や制度によって異なることがわかりました。一般的には65歳以上が高齢者とされる一方、運転免許の高齢者講習は70歳から、後期高齢者医療制度は75歳から適用されます。また、老齢厚生年金の受給開始時期は65歳からですが、繰り下げ受給制度を利用することで70歳まで遅らせることができ、その場合受給額が増加します。これらの制度は、高齢者が安全かつ健康的に生活できるよう支援するために設けられています。高齢化が進む中で、これらの制度を理解し、適切に利用することがますます重要となるでしょう。

 

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