後期高齢者医療制度は、日本の75歳以上の高齢者を対象とした医療保険制度です。この制度は、高齢者が医療費の負担を軽減し、必要な医療サービスを安心して受けられるように設けられています。本記事では、後期高齢者医療制度の基本的な概要から対象者の範囲、メリット、具体的な医療費の自己負担割合、保険料などについて具体例を交えながら、問題点や廃止案が出る理由なども含めてわかりやすく説明します。これを読むことで、制度の詳細をしっかりと理解し、適切に活用できるようになります。
このページの目次
後期高齢者医療制度とは
後期高齢者医療制度は、日本の75歳以上の高齢者を対象とした医療保険制度です。この制度は、高齢者が医療費の負担を軽減し、必要な医療サービスを受けられるように設けられています。特定の障害を持つ65歳以上の方も対象となる場合があります。
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後期高齢者医療制度の対象
対象者は75歳以上のすべての人、または一定の障害が認定された65歳以上の人です。自動的に加入となり、手続きは不要です。
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後期高齢者医療制度のメリット
後期高齢者医療制度は、後期高齢者にとってはメリットの多い制度です。後述しますが、社会全体で見ると高齢者への医療の自己負担を軽減することで余計な医療を手軽に受けてしまったり、若者世代の負担が大きくなりすぎていることなどのデメリットや批判的ない面もあります。
医療費の軽減
高齢者が医療を受ける際の自己負担が軽減されます。
安心して医療を受けられる
経済的な不安を減らし、必要な医療を安心して受けられるようになります。
高額医療費の支援
高額な医療費がかかった場合でも、一定額以上の支払いは補助されます。
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後期高齢者医療での医療費の自己負担割合
後期高齢者医療制度における医療費の自己負担割合は以下の通りです。
- 一般的な所得の方: 医療費の10%
- 現役並み所得の方: 医療費の20%
- 低所得の方: 医療費の10%もしくは一部減額。
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令和6年度および令和7年度の後期高齢者医療制度における保険料
令和6年度と令和7年度における被保険者一人当たりの平均保険料額やその他の詳細は以下の通りです。後期高齢者医療制度はいつまで払い続けるのかという疑問がある方もいるかと思いますが、生きている間は保険料を支払って医療や介護などを保険適用で受けることができる仕組みなので、状況によって減免はありますが、原則は保険料を死ぬまで払い続けることになります。
※「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について 保険局高齢者医療課(令和6年4月1日 ) 」を参考に作成
項目 | 令和6年度 | 令和7年度 |
---|---|---|
平均保険料額(月額) | 7,082円 | 7,192円 |
平均保険料額(年額) | 84,988円 | 86,306円 |
被保険者均等割額(年額) | 50,389円 | 50,389円 |
被保険者均等割額(月額) | 4,199円 | 4,199円 |
所得割率 | 10.21% | 10.21% |
令和6年度の後期高齢者医療制度における保険料
被保険者一人当たりの平均保険料額は、全国平均で月額7,082円となる見込みです。これは、令和4・5年度の6,575円から507円(7.7%)増加しています。被保険者均等割額は、年額50,389円(月額4,199円)です。所得割率は10.21%です。
平均保険料額は年額で84,988円(月額7,082円)となります。
令和7年度の後期高齢者医療制度における保険料
被保険者一人当たりの平均保険料額は、全国平均で月額7,192円となる見込みです。これは、令和6年度の7,082円から110円(1.6%)増加しています。被保険者均等割額は令和6年度と同じで、年額50,389円(月額4,199円)です。所得割率も令和6年度と同じく10.21%です。
平均保険料額は年額で86,306円(月額7,192円)となります。
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現役世代が支払っている健康保険料・国民健康保険料、自己負担割合
75歳以上のすべての人、または一定の障害が認定された65歳以上の人は自動的に後期高齢者医療制度に切り替わるということをお伝えしましたが、それ以下の年齢の人は健康保険や国民健康保険に加入して保険料を納めて、決められた自己負担割合で医療を利用する形になります。若い人ほど医療を利用することは少ないにもかかわらず、後期高齢者医療制度と比較すると負担が大きいことがわかります。
項目 | 健康保険(会社員) | 国民健康保険(自営業など) 65歳~74歳の期間 |
---|---|---|
加入者 | 会社員 | 自営業者、フリーランスなど |
保険料の計算方法 | 標準報酬月額に基づく | 収入や世帯構成に基づく |
保険料例 | 標準報酬月額34万円の場合:33,932円/月(407,184円/年) | 収入や自治体によるが、例えば年間20万円前後 |
保険料の負担 | 会社と折半 | 全額自己負担 |
自己負担割合 | 30% | 30% |
扶養の扱い | 扶養家族がいても保険料は変わらない | 扶養の概念なし。各人が個別に保険料を支払う |
現役世代の場合には会社員など勤めている人は健康保険に加入し、自営業などの人は国民健康保険に加入して保険料を納めています。例えば会社員の場合、標準報酬月額という一定の期間の月収に応じて保険料が決まる仕組みになっています。全国的にも規模の大きい協会けんぽの場合、東京都で標準報酬月額が34万円で、介護保険第2号被保険者に該当しない場合(40歳未満)の健康保険料は、月額33,932円(年間407,184円)となっています。なお、会社員などが加入している健康保険の場合には、この金額を会社と折半で支払っています。
現役世代の場合には自己負担割合は30%なので、後期高齢者医療制度を利用している人の何倍も健康保険の保険料を支払って、実際に医療を受ける場合にも多くの自己負担で医療を受けているという現状です。
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後期高齢者医療制度の問題点や廃止案の意見も
後期高齢者医療制度は高齢者の医療費負担を軽減し、安心して医療を受けられるようにする一方で、いくつかの問題点も指摘されています。その一つが、高齢者の医療費の自己負担が少ないため、必要以上の受診や診療が増加しているという点です。
具体的には、自己負担が軽減されることで、ちょっとした体調不良や不安を感じただけでも医療機関を受診するケースが増えています。これは、高齢者自身が過剰な医療を受けることになり、実際には必要のない検査や治療が行われることも少なくありません。医療機関も、高齢者が多く訪れることで、その需要に応える形で診療や検査を多く提供する傾向があります。
このような状況が続くと、医療費全体の増加につながり、その負担は現役世代にしわ寄せがいきます。後期高齢者医療制度の保険料や高額医療費の補助は、現役世代が支払う保険料や税金から賄われています。そのため、高齢者の医療費が増えれば増えるほど、現役世代、特に若者の経済的負担が大きくなるという構図が生まれているのです。
さらに、社会保障費全体の増加も問題視されています。高齢者の医療費負担軽減策により、医療制度や社会保障制度全体が持続可能性を失うリスクがあると指摘されています。現役世代が将来にわたって安定した社会保障を享受できるようにするためには、高齢者の医療利用を適正化し、医療費の抑制を図ることが重要であり、後期高齢者医療制度の廃止案や現役並みにすべきという意見もみられます。
このように、後期高齢者医療制度には高齢者の安心を支える重要な役割がありますが、その反面、医療の過剰利用や世代間の負担の不均衡という課題も抱えています。これらの問題を解決するためには、高齢者の医療利用の適正化や、持続可能な社会保障制度の構築が求められています。
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