2020年に介護相談員が名称変更された「介護サービス相談員」について紹介します。介護サービス相談員制度・派遣事業とは何か、仕事内容、目的、介護サービス相談員になるにはどうしたらよいか、研修内容、報酬などについて詳しく解説します。
このページの目次
介護サービス相談員制度・派遣事業とは
介護サービス相談員制度・派遣事業とは、具体的には、市区町村に登録された介護サービス相談員が、介護サービス施設・事業所に出向いて、利用者の疑問や不満、不安を受け付け、介護サービス提供事業者及び行政との橋渡しをしながら、問題の改善や介護サービスの質の向上につなげる取組のことです。
市区町村・介護サービス相談員・介護サービス事業者の関係性
市区町村 | 介護相談員を派遣し、保険者として介護サービスの充実を図る、三者会議(情報共有、意見交換の場) |
介護サービス相談員 | 利用者と介護サービス提供事業者が問題を解決するよう橋渡し役を務める |
介護サービス提供事業者 | 介護相談員と協力、意見交換を通じて、サービスの質のさらなる向上を目指す |
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介護サービス相談員制度・派遣事業の目的
介護サービス相談員制度・派遣事業は、介護保険サービスを提供する施設・事業所、食事提供サービスなどを提供する住宅型有料老人ホーム、安否確認・生活相談サービス等を提供するサービス付き高齢者向け住宅を訪ね、サービスを利用する者等の話を聞き、相談に応じる等の活動を行う者の登録を行い、申出のあった事業所等に派遣すること等により、利用者の疑問や不満、不安の解消を図るとともに、派遣を受けた事業所等における介護保険サービスをはじめとするサービスの質的な向上や利用者の自立した日常生活の実現を図ることを目的とされています。
介護保険制度の中には、都道府県国民健康保険団体連合会または市町村による苦情対応に係る対策が盛り込まれていますが、これらは何らかの問題が生じた場合の事後的な対応が中心であることから、介護サービス相談員制度・派遣事業は、苦情に至る事態を未然に防止することや、利用者の日常的な不平・不満、疑問に対応して改善の途を探ること(問題提起・提案解決型の事業)を目指すものとされています。
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介護サービス相談員とは
介護サービス相談員制度は、高齢者や障害者などの介護保険制度の利用者や、その家族等からの相談に応じ、介護保険制度に基づくサービスの選択や利用方法、または地域包括支援センター等における相談業務に従事する者に対し、相談業務に必要な知識・技能を身につけた者を認定し、その者を「介護サービス相談員」として登録する制度です。
2020年に介護相談員が名称変更され「介護サービス相談員」に
2020年4月1日に、 「介護相談員派遣等事業」 は「介護サービス相談員派 遣等事業」に、「介護相談員」 は「介護サービス相談員」 に名称変更されました。
介護サービス相談員の役割・仕事内容
介護サービス相談員は、担当する事業所等を定期又は随時に訪問します。訪問の頻度は、概ね1~2週間に1回程度を目安となります。
介護サービス相談員は、事業所等において、以下のようなことを役割として行います。
- 利用者の話を聞き、相談にのる
- 事業所等の行事に参加する
- サービスの現状把握に努める
- 事業所等の管理者や従事者と意見交換する
- 利用者に自分の連絡先を周知する
サービス提供等に関して気づいたことや提案等がある場合には、事業所等の管理者等にその旨を伝えます。
介護サービス相談員は、その活動状況について、事業運営を行う事務局に報告を行います
介護サービス相談員は、身分証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならないこととされています。
生活相談員やソーシャルワーカーと介護サービス相談員の違い
介護施設や介護保険サービス、医療機関などに努めている職種である生活相談員やソーシャルワーカーはその施設内で働く人であるのに対し、介護サービス相談員は市区町村に登録された外部の人ということになります。
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介護サービス相談員になるには
介護サービス相談員になるには都道府県や公益団体などが実施する研修に参加し、研修を修了したことを証明する文章を受け取り、市区町村に登録するとなることができます。
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介護サービス相談員の養成研修
介護サービス相談員研修は、都道府県が実施する研修またはボランティアの養成に取り組む公益団体が実施する研修です。市町村が自ら実施し、適切に事業を実施できると認
められる者に委託して実施されることもあります。また、介護サービス相談員研修の名称は、都道府県やボランティアの養成に取り組む公益団体等において、独自に定めて差し支
えないこととされています。
介護サービス相談員研修は40時間以上、介護サービス相談員補研修は12時間以上を目安として実施され、研修の実施主体の長もしくは事業の委託を受けた団体が修了を証明する文書を交付する形になります。
介護サービス相談員登録後、一定の期間を経過した者についても、介護サービス相談員の質の確保の観点から、定期的に都道府県またはボランティアの養成に取り組む公益団体において更新研修を実施するものとされています。市町村が自ら実施し、または適切に事業を実施できると認められる者に委託して実施することを妨げるものではなく、また、更新研修の名称は、都道府県又はボランティアの養成に取り組む公益団体等において、独自に定めて差し支えないとされています。
介護サービス相談員研修 | 介護サービス相談員補研修 | |
研修目的と要件 | 0.5 時間 | 0.5 時間 |
介護サービス相談員の意義と役割 ・介護サービス相談員派遣等事業の目的 ・介護保険と介護サービス相談員 |
2 時間 | 1 時間 |
介護保険制度 ・介護保険の思想とシステム ・介護保険制度の機能と介護サービス相談員活動 ・介護保険制度の理解 |
4 時間 | 2 時間 |
施設サービス・居宅サービスの理解 ・介護保険3施設、老人福祉施設の種類と性格 ・施設の居住環境とケアの質 ・個室・ユニットケアの理解 ・訪問介護等の居宅サービスの内容 ・自立支援のためのケアプランの理解 |
3.5 時間 | 2 時間 |
利用者の権利擁護と身体拘束廃止、虐待防止への対応 ・権利擁護の理解 ・成年後見制度の理解 ・身体拘束の対象となる行為 ・身体拘束廃止の取組 ・高齢者虐待防止法の定義と理解 |
4.5 時間 | 3 時間 |
高齢者の理解、認知症の正しい理解 ・高齢者の身体的・精神的特性 ・高齢になると現れる変化 ・認知症の基礎知識 ・認知症の人との向き合い方 |
3 時間 | 1.5 時間 |
コミュニケーション技法と実技演習 | 2 時間 | - |
介護サービス相談員活動の実際 ・相談活動における記録と報告のあり方 ・相談記録票、活動報告書の作成(グループワーク) ・活動報告の伝え方とポイント(ロールプレイ演習) |
6 時間 | 2 時間 |
介護保険サービスを提供する施設等への訪問実習(2 ヶ所以上) | 7 時間 | - |
地域ケア体制のヒアリング ・市町村の介護保険事業計画のヒアリング ・介護保険と介護サービス相談員 |
2 時間 | - |
訪問実習の活動発表と検討、相談活動におけるポイント | 5 時間 | - |
合計 | 40 時間 | 12 時間 |
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介護サービス相談員の報酬
8.介護サービス相談員としての活動時間、報酬額、交通費
(1)昨年度における1ヶ月平均の活動時間
-平均時間は12.0時間、2017年調査と変わらず-
昨年度における1ヶ月平均の活動時間を数値で記入してもらった結果をみると、中央値は7.0時間、平均値は12.0時間で、その回答は「3時間以下」から「20時間以上」まで幅広く分散しています(第Ⅲ-2-12表)。2017年調査(平均11.2時間)と大差ない結果です。(2)昨年度における1ヶ月平均の報酬額と交通費
-報酬額は平均16,207円、交通費は平均968円-
昨年度における1ヶ月平均の報酬額の回答は「5000~10000円未満」(25.0%)が最も多く、中央値で10,000円、平均値で16,207円となっています(第Ⅲ-2-13表)。
また、昨年度における1ヶ月平均の交通費については、「0円」が47.4%と多く、自宅から施設に通うことが想定されることから交通費がかからないケースが多くみられ、平均は968円となっています(第Ⅲ-2-14表)。報酬・交通費ともに2017年調査からそれほど大きな差はありません。第 7 回 令和 2 年度 介護サービス相談員活動調査 調査報告書、令和3年(2021 年)3月、特定非営利活動法人 地域共生政策自治体連携機構 介護サービス相談・地域づくり連絡会
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介護サービス相談員のまとめ
介護サービス相談員の派遣事業については、外部の人間が介護サービスを受ける利用者からの声を直接聞くということにより、顕在化しづらい利用者のニーズや思い、問題点を発見し、事業者や行政とのへの橋渡しをするという役割があります。介護事業者には第三者評価が義務や努力義務になるなど、運営の基準を守るだけでなく、その事業所の特色を生かして利用者のためになるサービスを提供することも進められています。
介護サービス相談員という仕事は、社会的な役割が高いもので、その仕事だけで生計を立てられるようなものではないですが、地域の介護や福祉に強い思いがある人にとってはやりがいがあり社会貢献できる制度ではないかと思います。
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