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成年後見制度とは
成年後見制度とは、認知症・知的障害・精神障害などにより判断能力が不十分であるために意思決定が困難なものの判断能力を、成年後見人等が補っていく制度です。
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成年後見制度について知っておきたいポイント
成年後見人申し立ての流れ、弁護士・司法書士等が選任の場合の月額費用・報酬目安、任意後見の手続き、財産管理・契約・身上監護などの職務について紹介します。
2000年(平成12年)に禁治産・準禁治産制度(民法)が102年ぶりに改訂されて、2000年4月から介護県制度と同時期に成年後見制度がスタートしました。身寄りのない認知症や精神障害などの方が介護保険サービスや病院などを利用するときの契約のため、成年後見人および成年後見制度の理解と周知は急務となっています。しかし、この制度、問題だらけな状態でこうして普及しようとされており、実際不幸な方が多く出ています。成年後見人の申し立てを考える前に、この記事を読んで他に方法はないか十分に考えてください。
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成年後見制度ができるまでの歴史
禁治産・準禁治産制度とは
心神喪失の状態の方については、一定の者の請求により家庭裁判所が「禁治産」の宣告をすることができることとなっていました。
禁治産者は、自ら契約等の法律行為を行うことはできず、禁治産者が行った行為は取り消すことができることとされていました。
禁治産制度から後見人制度への経緯
介護保険制度がスタートしたのは2000年です。同じ2000年に成年後見制度もスタートしました。
介護保険制度では、必要なサービスを契約して受けるということが前提となります。
判断能力が低下した身寄りのない方では、そもそも契約行為が自身でできないため、その部分を社会的に支援することが必要だったことが成年後見制度導入に関係しています。
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成年後見人の具体的な職務
財産管理
成年後見制度の財産管理とは、本人に代わって財産を管理し、それを本人のために使用していくことです。
身上監護
成年後見人の身上監護とは、介護契約や施設入所契約・病院入院手続きなどの行為を本人に代わって行うこと。自らが介護するというわけでなく、適切なサービスの選択、事業者の選択、契約などを本人に代わって行います。
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法定後見制度と任意後見制度
法定後見人はすでに判断ができなくなってしまった方に対して親族が家庭裁判所に申し立てします。任意後見人は判断能力が低下する前に本人があらかじめ契約しておきます。悪徳商法などで契約してしまった場合にも、後見人等がいる場合は契約を無効とすることもできます。
法定後見制度とは
法定後見制度では、すでに判断能力が低下してしまい、成年後見人等が必要な場合に、4親等内の親族等の申し立てにより、家庭裁判所が成年後見人等を職権で選任する制度です。(ただし、4親等内の親族がいない場合には、市町村長が申し立てを行うことが例外的に認められています)
判断能力により3分類、後見類型・保佐類型・補助類型に
認知症や精神疾患の重症度により、判断能力には差があります。申し立てを受けた家庭裁判所は医師の診断等により、能力の段階に応じて類型を審判します。
判断能力を欠くことが常の場合は、成年後見人を選任する後見類型という分類となり、財産管理に関するすべての法律行為について後見人には広範な代理権と取消権が付与されます。
保佐・補助は本人による申し立ても可能となっており、保佐・補助という名のとおり、定められた一定の事項については代行できます。また、法律・契約行為については補助人・補佐人から同意を得ない場合は無効となることもあります。
同意権(取消権)とは
本人の行為に成年後見・保佐人が同意することにより法律的に効果が認められるようになります。そのため、成年後見人がいる方の場合には、成年後見人の同意なしに行われた契約は取り消すことができます。(取消権)
任意後見人制度とは
任意後見制度とは、認知症などで判断能力が不十分になったときに備えて、後見人になってくれる人と、後見人の事務内容をあらかじめ契約して決めておく制度です。任意後見人には、契約により財産管理や身上監護に関する様々な代理権を与えられます。
任意後見人契約の流れ
- 本人と任意後見人になる人が公証役場に行き、公正証書で任意後見契約をします。公正証書以外の契約は無効です。
- 任意後見契約をすると、公証人が法務局へ後見登記申請をします。現在は、後見登記を行っているのは東京法務局一庁だけです。
- 認知症・精神障害などで、本人の判断能力が不十分になったときに、家庭裁判所へ任意後見監督人を申し立て、それが選任されると任意後見が開始されます。
- 任意後見人に不正があった場合には、家庭裁判所は任意後見監督人の報告を受けて、任意後見人を解任することもできます。
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成年後見人に選任される人・第三者後見人の費用(報酬)・体制の整備
成年後見人でなく、身寄りがある場合には子や近い親戚などの親族が後見人となる場合が多く「親族後見人」といいます。
その他、任意後見人として、司法書士、弁護士、社会福祉士などの第三者後見人が登場しています。法律的な問題、身上監護の困難ケースなどではこれらの専門職を選任する傾向が強まっています。
第三者が成年後見人等に選任された場合の月額費用・報酬額のめやす
成年後見人の費用・報酬額は、後見人が指定するものではありません。申し立てを受けて、家庭裁判所の審判で月額費用・月額報酬額決定されます。
以下、東京家庭裁判所立川支部から事例をもとにおよその目安が公開されていましたので引用しますと、目安は月額2万円です。
基本報酬
(1) 成年後見人
成年後見人が,通常の後見事務を行った場合の報酬(これを「基本報酬」と呼び ます。)のめやすとなる額は,月額2万円です。 ただし,管理財産額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額)が高額な場合には,財産管理事務が複雑,困難になる場合が多いので,管理財産額が1000万 円を超え5000万円以下の場合には基本報酬額を月額3万円~4万円,管理財産額が5000万円を超える場合には基本報酬額を月額5万円~6万円とします。 なお,保佐人,補助人も同様です。
(2) 成年後見監督人
成年後見監督人が,通常の後見監督事務を行った場合の報酬(基本報酬)のめやすとなる額は,管理財産額が5000万円以下の場合には月額1万円~2万円,管理財産額が5000万円を超える場合には月額2万5000円~3万円とします。 なお,保佐監督人,補助監督人,任意後見監督人も同様です。 3 付加報酬成年後見人等の後見等事務において,身上監護等に特別困難な事情があった場合には,上記基本報酬額の50パーセントの範囲内で相当額の報酬を付加するものとします。 また,成年後見人等が,例えば,報酬付与申立事情説明書に記載されているような特別の行為をした場合には,相当額の報酬を付加することがあります(これらを「付加報酬」と呼びます。)。
引用:成年後見人等の報酬額のめやす, 東京家庭裁判所立川支部, 平成25年1月1日
市町村が主体、都道府県が援助して後見・保佐・補助業務を適正に行う人材育成・活用
法定後見人の申し立てについて、市町村長が例外的に申し立てできると前述しました。
後見人制度については市町村が育成・活用のため、研修の実施、後見業務を適正にできる人材名簿を家庭裁判所に推薦するなどの措置に努める事とされています。
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後見人に専門性なんてなく、何もしてくれない、横領も多発
例えば弁護士が後見人になるケースもありますが、法律問題の専門家だとしても後見人の仕事はなんであるかなんて知っている人は数少ないです。
困ったことに、審判をする裁判所でさえもこの制度の申し立てがあるとやっつけ仕事のような印象です。
本気で本人のためなんて考える後見人は少ないです。そりゃ赤の他人の財産を守ろうって言ったって情も義理もないですよね。
後見人によっては、毎月何もしなくても2万円もらえてラッキーくらいです。ひどい場合は横領が常習化して、毎月の報酬以外に買い物などをされて財産もどんどん使ってしまっているケースもあります。それくらいの権限が見ず知らずの後見人に与えられているのです。
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成年後見制度を利用した場合の注意点
成年後見制度は、財産をその人のために使い、その人にとって利益になるかで判断して使うということが前提になっています。そのため、成年後見制度を利用し始めてからは、後見人に権利が渡っているとはいえ、親族や相続人に財産を「贈与」することはできなくなります。また、婚姻等についての代理も基本的にはできず、養子縁組の決定ができなくなります。
成年後見制度は、財産をその人のために使うという大前提があるため、後見人の申し立てをした後には、家族であっても財産に手を出せなくなります。
また、上述しているように横領も多くあります。後見人にはいろいろな権利が与えられ、少額の買い物は領収書などの管理もいらないためです。
成年後見制度について詳しくはこちらの書籍が役立ちます
「成年後見における死後の事務―事例にみる問題点と対応策」は現行法が現場の実態に追いついていない状況にありながら、何をしなければならず、現行法では何ができるのかを具体的にしている書籍です。
事例としてどんな問題があったか、どんな対応をしたかをしることで、後見人の役割や後見制度の在り方を知るきっかけになると思います。
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