医療機関や調剤薬局で「オンライン資格確認」が導入され、顔認証付きカードリーダーでマイナンバーカードと本人の顔をシステムで確認し、保険証の資格確認などが行えるようになっています。2023年4月からオンライン資格確認は原則義務付けられ、現在は医療機関などに顔認証機能付きカードリーダーを無料提供したり、導入にかかる費用に補助金を出すなど、普及が進められています。準備に時間を要するため、医療機関・薬局等に2022年9月頃までに申し込みをするよう促されています。2023年4月からは、全国の医療機関や薬局でマイナンバーカードを保険証として利用することができるようなるという計画です。オンライン資格確認の仕組みや導入手順、メリット・デメリット、補助金などについて徹底解説します。
このページの目次
オンライン資格確認とは
オンライン資格確認とは、医療機関や薬局の窓口で、患者の直近の資格情報(加入している医療保険や自己負担限度額など)を、マイナンバーカードのICチップや健康保険証の記号番号により、オンラインで確認できることです。メディアなどでは「マイナンバーカードを保険証として利用できる」「医療機関や調剤薬局でマイナンバーカードで本人確認をする検診結果や薬剤情報を閲覧できるようになり、よりよい医療を受けられる環境が整う」など、一般市民側のメリットが取り上げられることが多いですが、医療機関や調剤薬局などの過誤請求や事務負担を削減することが期待されています。
オンライン資格確認とは、マイナンバーカードの健康保険証として利用することととほぼ同じ意味です。オンライン資格確認についての全体像を掴むには、厚生労働省が作成したこちらの資料がわかりやすいかと思います。
窓口での案内チラシ
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オンライン資格確認はいつから義務化?
オンライン資格確認は、2023年4月から原則として義務付けられます。現在紙レセプトで請求が認められている医療機関・薬局については例外とされています。医療機関や薬局では、2023年4月までに顔認証機能付きカードリーダーを設置し、オンライン資格確認のシステムを整備する必要があります。
一方で、患者側としては、マイナンバーカードを健康保険証として使うことについては任意であり、今まで通りの保険証を窓口で提示して資格確認を行うということも可能いう話でした。
しかし、2024年に入ってからは、デジタル庁が躍起になってマイナ保険証の利用促進や、健康保険証の新規作成の中止を強引に取り決めして利用促進の補助金を出すなど急に進められている状況です。
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オンライン資格確認のメリット
健康保険証照会がすぐに終わる、医療機関や薬局の受付の業務の削減「マイナ受付」
オンライン資格確認システムの導入により、医療機関や薬局の受付の業務が便利になります。保険証の代わりにマイナンバーカードを使う「マイナ受付」に対応する施設になります。これまでは保険証を提示しても本当に有効な保険証であるか分からないなど課題がありましたが、オンライン資格確認を導入することで即座に資格情報確認ができるようになります。
マイナポータルで自分の特定健診結果や薬剤・医療情報・医療費通知を閲覧できる
マイナンバーカードを保険証として利用する登録を行うと「マイナポータル」で自分の特定健診結果や薬剤情報、医療情報、医療費通知などを閲覧できるようになります。
医療情報連携・データに基づいた診療が可能に
医療機関側のメリットとしては、患者本人が同意すれば、特定健診・薬剤・診療情報を閲覧することが可能になります。閲覧イメージは以下のようなものと示されています。これらの情報は今までは診療情報提供書や紹介状などで別途情報を作成されないとどんな既往歴・投薬歴があったかなどの連携ができませんでしたが、患者の同意のもとで閲覧できるようになります。
特定健診情報とは
特定健診情報は40歳から74歳までの方を対象に、メタボリックシンドロームに着目して行われる検診結果の情報です。
薬剤情報とは
薬剤情報とは医療機関で投与された薬や薬局等で受け取った薬の情報です。
診療情報とは
診療情報とは医療機関を受診した際に受けた診療行為の情報です。(受診者情報、医療機関名、受診歴、診療年月日、診療行為名など)
オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係「医療機関等向けポータルサイト」 特定健診・薬剤・診療情報紹介サイトから2022年9月17日に引用
診療報酬・調剤報酬で加算できる「電子的保健医療情報化活用加算」
電子的保健医療情報化活用加算は、レセプトオンライン請求を行ったうえで、オンライン資格確認等システムを通じて患者の薬剤情報又は特定健診情報等を取得した上で診療等を実施することで初診7点、再診4点(月1回)、調剤管理料3点(月1回)が算定できます。
オンライン資格確認等システムの運用を開始している医療機関・薬局であれば、実際に患者が個人番号カードを持参しない等、診療情報等の取得が困難な場合でも加算(初診3点 、調剤管理料1点(3月に1回)※令和6年3月末まで)できます。
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オンライン資格確認のデメリット
補助金もあるが、導入するには費用負担もある
現在は補助金も投入され機器の導入は無料となっており、メリット多いオンライン資格確認ですが、機器導入意外にかかる費用の一部は医療機関・薬局が負担しなければなりません。また、システム利用料などのランニングコストが必要になります。
導入や補助金の手続き、オペレーション変更に手間がかかる
各種機器の導入設定、システムの改修動作・確認、ネットワークの設定・疎通確認などのシステム構築の工数、補助金を受けるための手続き、事務の
マイナンバーカードの普及率が不透明、従来の保険証カードの利用と両方に対応しないとならない
マイナンバーカードの利用をしている人は全国民の約42%です。マイナンバーカードを利用している人の中でも健康保険証として登録している人はその中の10%程度しかいません。マイナンバーカードを保険証として利用する手続きが済んでいても、顔認証やマイナンバーカードを使うということに対して不信感があったり不慣れな患者もおり、サポートをする必要性などが出てきます。
今までは保険証を提示してもらい資格確認を行っていましたが、その方法は今後も有効である中で、一部の人はマイナンバーカードと顔認証で資格確認が行われるという状況になります。顔認証とカードリーダーのシステムトラブルやエラーなどで、かえって事務の負担が増えるという可能性もあります。
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オンライン資格確認導入の手順
SETP1 顔認証付きカードリーダー申し込み ※2022年9月頃までに申し込みを!
医療機関等向けオンライン資格確認ポータルサイトで、顔認証付きカードリーダーの選定申し込みを行います。
顔認証付きカードリーダーの配送までに4か月ほどかかると示されているため、2022年9月頃までに申し込みを完了することが推奨されています。
STEP2 システムベンダーへ発注
システムベンダーに見積もりを依頼します。見積もり依頼項目は以下のように示されています。
- 各種機器の導入設定費用
- システムの改修動作・確認費用
- ネットワークの設定・疎通確認費用
システムベンダーを選定し発注をします。
STEP3 導入・運用の準備、運用開始
導入準備
- ポータルサイトでオンライン資格確認利用申請
- 機器の受取、システムベンダーによる設定
- システムベンダーによる運用テスト
- ポータルサイトで運用開始日を入力・登録
運用準備
- オンライン資格確認の導入に合わせた受付業務などの変更点を確認
- 患者向け掲示の準備(個人情報保護の利用目的の例示など)
STEP4 補助金申請
- 補助金申請に必要な書類の受領(納品書など)
- ポータルサイトで補助金の申請
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オンライン資格確認の補助金
「顔認証付きカードリーダー」は医療機関・薬局に無料提供される
医療情報化支援基金による医療機関・薬局への補助の見直しにより、顔認証付きカードリーダーは、医療機関・薬局に無償提供されます。(病院3台まで、診療所や大型チェーン薬局等1台)
顔認証付きカードリーダー本体以外の費用の補助金対象
(1)マイナンバーカードの読取・資格確認等のソフトウェア・機器の導入
(2)ネットワーク環境の整備
(3)レセプトコンピュータ、電子カルテシステム等の既存システムの改修等
オンライン資格確認の医療機関・薬局への補助金はいつまで
顔認証付きカードリーダーを申し込み:2022年6月7日〜2022年12月31日まで(申込期限は医療機関等はより早期に申し込みや契約が必要)
システム事業者との契約を結ぶ:2023年2月28日まで
オンライン資格確認の医療機関・薬局への補助金はいくらまで?
病院の場合には、補助金額は顔認証付きカードリーダーを導入する台数により異なりますが、およそ事業額400万円を上限にその1/2に当たる約200万円を補助するという形になっています。
診療所の場合には、429,000円を上限に実費補助となっています。
オンライン資格確認関係補助金の申請に必要な書類
(1)領収書(写)、(2)領収書内訳書(写)、(3)オンライン資格確認等事業完了報告書)に加えて、システム事業者から受領した書類の中で契約日が記載された書類の提出が必要です。(例:契約書、受注書、注文請書 等)
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詳しくは、オンライン資格確認ポータルサイトで
こちらが、オンライン資格確認・医療情報化支援基金関係「医療機関等向けポータルサイト」です。
詳細や実際の手続き・申請などについてはポータルサイトでご確認ください。
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まとめ
病院にかかる時には受付で保険証を提示して受付の人が保険証の情報をコピーを取ったりして、あとで診療報酬を請求するレセプトの段階で実際にその保険証の情報が正しいのかを確認するという状態ですが、オンライン資格確認の導入で事務の面ではメリットが大きそうです。
一方で、機器の扱いに不慣れな事務スタッフなどにとっては、今までと同じカード型の保険証も使える状態で、上乗せしてオンライン資格確認の業務を覚えて患者さんにサポートしなくてはならなくなるため課題はありそうです。
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