訪問マッサージの医療保険適応基準の要件である医師の同意書の内容、介護保険の訪問リハビリテーションや外来診療との併用についての考え方、施術料金と往療料などの費用は?

平成30年5月に厚生労働省社会保障審議会医療保険部会は、あん摩マッサージ指圧の施術に係る療養費、はり、きゅうの施術に係る療養費の不正対策について、医師の同意書や同意内容の在り方を改めて示しました。

医療費削減が望まれる中、訪問マッサージという事業が拡大しています。実は、訪問マッサージには温泉で受けるような自費のものと、健康保険の療養費適応のものがあります。自腹なら受けたくないけど、保険適応で負担がわずかなら受けたいという人もいます。訪問マッサージの利用について相談された医師・ケアマネが悩んでしまうところについてまとめました。

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訪問マッサージはなぜ医師の同意書で医療保険適応になるのか

訪問マッサージとは、あん摩マッサージ師の国家資格を持った人が、主治医の同意を得て、主に通院できない状態にある人に対してお家で健康保険を適用するマッサージをすることです。
高齢者や要介護者の中には、保険適応の訪問マッサージと実費のマッサージを利用している人が両方います。この仕組みが理解できず、もやもやしていました。
皆さんの中にも、「なぜ保険適応なのだろう…」、「私は全額実費で私は受けてるのに、そんなお得なのあるの!?」と思っていた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
特に、ケアマネージャーや医師の方も、「訪問マッサージを受けたい」と相談されて、医師の同意書やケアプランのことで悩んだことがあるのではないでしょうか?
訪問マッサージ業界もいろいろ競争が激しいようで、「リハビリマッサージ」とか「元気マッサージ」とか、アロマ付きとかBGM付きとかいろいろやっているんですよね。

訪問マッサージが医療保険適応になる条件の秘密

調べているうちに、訪問マッサージ事業者が、医師やお客さんに説明するときにあまり述べていないことがあることを発見してしまいました。
これを見つけて「なるほど!そういうことだったのか!!!」と思ったので掲載します。(間違いがあったらご指摘ください。)

訪問マッサージ・療養費の支給要件について健康保険法の大前提

健康保険が適用される訪問マッサージ施術の場合は、患者の自己負担分を除いた療養費を国民健康保険などの保険者に請求します。

「健康保険法」の内の「療養費の支給」に関連して厚生労働省からこれまでに様々な関係通知が出されてきました。

具体的には、この一文の解釈についてが多いようです。

訪問マッサージは医師による適当な治療手段のないものであることが要件

訪問マッサージの療養費支給は、医師の同意書等により判断されるものであり、医療上必要があって行われたと認められるマッサージが対象です。
単に疲労回復や慰安の目的のマッサージでは対象外となっています。

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訪問マッサージに「対象疾患」は無い

マッサージの適応性は一律にその診断名によることなく筋麻痺、関節拘縮等であつて、医療上マッサージを必要とすると認められる症例については必要の限度において療養費の支給対象として差し支えないこと
(S46.4.1保険発28に記載)

上記のような文章を発見しました。
いろいろな訪問マッサージで、対象疾患や「こんな疾患の方にご利用いただいています」を示して、「保険適応」と広報していますが、実際には訪問マッサージには対象疾患は無いです。
むしろ、訪問マッサージは脳梗塞や骨折などが保険適応の条件になるわけではなく、身体の障害である運動麻痺や関節拘縮に対して行われるものとなっています。

あん摩マッサージ師の訪問マッサージは介護保険?医療保険?

訪問マッサージは、介護保険ではなく、健康保険法(医療保険)の中の療養費の支給として提供することができるものです。
介護保険で提供される似たようなサービスは「訪問リハビリテーション」です。(医療保険にもあります)
訪問リハビリテーションは、医師の指示の元で、リハビリテーションを行います。訪問リハビリテーションの場合は、医師が治療方針を決めて指示を出し「こういうことをしたらこう良くなる」という根拠をもって計画を立てて行われます。

訪問マッサージの施術料金は?往療料は?

療養費の改定等について|厚生労働省 - はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給について(平成26年3月20日 保発0320第2号保険局長通知) [119KB] あん摩・マッサージ
(1)マッサージを行った場合 1局所につき 275円
(2)温罨法を併施した場合 1回につき 80円加算

注 温罨法と併せて、施術効果を促進するため、あん摩・マッサージ の業務の範囲内において人の健康に危害を及ぼすおそれのない電気光線器具を使用した場合にあっては、110円とする。

(3)変形徒手矯正術を行った場合 1肢につき 565円
(4)往療料 1,800円

注1 往療距離が片道2キロメートルを超えた場合は、片道8キロメ ートルまでについては、2キロメートル又はその端数を増すごと に、所定金額に800円を加算し、片道8キロメートルから片道1 6キロメートルまでについては、一律2,400円を加算する。

注2 片道16キロメートルを超える場合の往療料は往療を必要とす る絶対的な理由がある場合以外は認められないこと。

訪問マッサージの医師の同意書の内容とは

訪問マッサージでは、医師の同意を得てマッサージが開始されます。

医師の同意書の内容と様式(書式テンプレート)

あん摩マッサージ指圧の施術に係る療養費、はり、きゅうの施術に係る療養費の医師の同意書について、厚生労働省 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会は平成30年5月に不正対策として医師の同意書や同意内容などについて改めて在り方を示しました。

医師の同意・再同意

○ あん摩マッサージ指圧の施術に係る療養費は、筋麻痺・関節拘縮等であって、医療上マッサージを必要とする症例について支給対象とされている。

○ また、はり、きゅうの施術に係る療養費は、神経痛、リウマチ、頸腕症候群、五十肩、腰痛症、頸椎捻挫後遺症の6疾病、及び6疾病以外の疾病であって慢性的な疼痛を主症とし医師による適当な治療手段のないものが支給対象とされている。

具体的には、6疾病については医師の同意を受けて施術を受けた場合は療養費の支給対象として差し支えないとされているとともに、6疾病以外の慢性的な疼痛を主症とする疾病については、医師による適当な治療手段のないものであるかを個別に判断し支給の適否を決定することとされている。

○ このように支給対象に当たるかどうかについては、留意事項通知等で示されているが、留意事項通知等に基づき、これらの支給対象に当たるかどうかを保険者が判断するため、医師の同意・再同意は重要である。

○ また、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうの施術の対象者は高齢者が多く、地域において医師とあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師が連携を図っていくことが重要である。

○ このため、医師の同意・再同意のあり方を、次のとおり見直す。

(1)医師の同意書の様式

保険者が、施術が支給対象に当たるかどうかを判断することに資するため、医師の同意書の様式を次のとおり見直す(別紙様式2)。(あん摩マッサージ指圧療養費用)

医師の同意書の様式 あん摩マッサージ指圧療養費用

  • 患者の住所・氏名・生年月日
  • 傷病名
  • 発病年月日
  • 初回の同意か・再同意かの区分(新規)
  • 診察日(新規)
  • 症状(見直し)

従前は、筋麻痺か、関節拘縮か、その他(具体的に記載)かのみであったが、施術の種類と施術部位の根拠の確認のため、筋麻痺又は関節拘縮のある部位についても○をつけることを求めることとするとともに、筋麻痺又は関節拘縮のある部位以外に施術を必要とする場合にはその他欄に記載を求めることとする。

  • 施術の種類と施術部位
  • 往療の要否
  • 往療を必要とする理由(新規)

独歩による公共交通機関を使っての外出の可否、外出歩行が可の場合は認知症など通所して施術を受けることが困難な理由を記載するとともに、要介護度が分かる場合は要介護度を記載する。

  • 注意事項等(新規・任意)

施術に当たって注意すべき事項等があれば、任意に記載。

 

引用:あはき療養費の不正対策及び受領委任制度による指導監督の仕組みの導入, 第112回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会, 平成30年5月25日

 

訪問マッサージの医師の同意書は、何に対して同意するのか

訪問マッサージではでの医師の同意書の内容は「 片麻痺、関節拘縮、神経痛や痛風など、医師による適当な治療手段が無く、通院も難しいので医療上も訪問マッサージの必要性がある症例であると同意します 」という同意書です。
また、「関節拘縮や麻痺で身体が硬くなってしまうと二次障害が起きるので医療上訪問マッサージの必要性があることに同意する」という意味合いも含んでいます。

介護保険の訪問リハビリテーションや外来診療などとの併用は

訪問マッサージの同意についての意味合いを素直に解釈するとしたら、腰痛で整形外科にかかっていて、通院して医師が適切だと考えている治療を受けているならば、基本的には訪問マッサージとの併診はできないという解釈になります。
健康で疾患がない人が、ほぼリラクゼーション目的で訪問マッサージを利用した場合は、仮に医師から同意を得たとしても、それが保険適応として認められるかはわかりません。
介護保険で訪問リハビリテーションを利用していても医療保険の療養費の支給で訪問マッサージが受けられますが、実施する内容が被っていると本来の趣旨では微妙なラインなのかもしれないですね。

医師が医療保険適応(療養費支給)の訪問マッサージに同意する条件

通所して治療を受けることが困難な場合。医療機関への通院が可能の場合は対象外!

宮城県後期高齢者医療広域連合 - はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る同意書の交付について(お願い)
さて、当広域連合では医療機関が交付する「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る同意書」に基づいて、被保険者に対し施術に係る療養費を給付し、さらに同意書に 往療が必要と記載または同意があって往療を受ける場合は、往療料を併せて給付しております。
往療の必要性については、医療機関への通院が可能の場合「『通所して治療を受けることが困難な場合』」とは認められない旨、厚生労働省から見解が示されております。

通所して治療を受けることが困難な場合について「厚生労働省から見解」とは

療養費について 療養費の取扱い(Q&A)について|厚生労働省
はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の留意事項等について(平22.5.24 保医発 0524 4)【はり、きゅう 第6章 往療料 1】【マッサージ 第5章 往療料 1】)にある「往療料は、歩行困難等、真に安静を必要とするやむを得ない理由等により通所して治療を受けることが困難な場合に、患家の求めに応じて患家に赴き施術を行った場合に支給できること。」とは、自身の体が寝たきりまたはそれに準じた状態を指し、住家から外出することが出来ないことで通所することが難しいことであり、本人が歩ける状態である場合には真に安静を必要とするやむを得ない理由等には当たらず、医師が同意書に往療が必要であると記入した、または同意した場合であっても、当該医療機関や他の医療機関への通院の実態が確認できる場合は、通所して治療を受けることが困難な場合とは認められない。

西洋医学優位、代替医療や東洋医学で棲み分け

高齢者がどんどん増える社会で、医療費の問題は深刻になっています。
やはり、保険適応でお金を支給する場合、西洋の科学的な思考で、「何%の人がこの治療をしたらこういう治癒過程をたどったから効果的」という根拠が優先されるのは仕方ないことです。
しかし、ほとんどの地域で医師が足りないという現状で、少しずつ規制緩和が進んできています。
今まで病院に行って診断名を付けて「患者」として扱って保険適応にしてきた人たちを、だんだんに「患者」でないようにして地域での暮らしにもどしていかなければなりません。
訪問マッサージの他にも柔道整復師の接骨院・整骨院や、鍼灸師のはり治療院をはじめ、民間療法やヘルスケア事業なども含めていろいろな健康増進、自然治癒力の増進があります。
療養費含めて医療費は増大の一途ですが、自分の受けたい治療や療養方法を選んでいけるような社会が続くように、良いところを認め合い、本当に必要な人に治療やヘルスケアが届くようルールを再考し守りながら提供されていくと良いですね。

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