介護保険施設や介護保険サービス事業者に関わっていると「行政が実地指導に来る」ということをとてもネガティブに捉えています。雇用保険の事業者が言う「行政」とは、介護保険の保険者である市町村や都道府県の介護保険を担当する部署のことを指しています。
介護保険のサービスは、介護保険法で定められた運営の基準に沿って提供されるものであり、その法律に沿って行政機関が管轄して監督や指導を行うという仕組みになっています。
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地方自治体は行政でもあるが立法でもある
日本の社会は三権分立という仕組みを取り入れており、立法と行政と司法がそれぞれ分かれて独立し、権力を分散して民主主義を実現するという形式になっています。法律を作る立方と、法に沿って実行をする行政、立法や行政が適正かどうか判断する司法がバランスをとって社会の秩序を作っています。
このような観点で見てみると、市町村などの地方自治体は法律や条例に沿って市民の生活を守るための手続きなどを行なっている行政機関ですが、都道府県や市町村としての条例や政策を打ち出していくという点では立法機関でもあります。もちろん本当の立法というのは市議会の方なので市役所で働いているからといって立法機関というわけではありませんが、 市議会にも近い立場で実態を議会に報告したりするのは市の職員の役割でもあるので重要なつなぎ役です。
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介護サービスは国の言いなりから地域の実態に合ったものに
介護保険の制度においては、最近までは国が介護保険法や介護報酬という仕組みを作り、そのルールに沿っているかを市町村が監督・指導をすると言う一面ばかりが目立っていました。 ここ最近になり、例えば要支援の認定を受けた利用者は市町村の独自の自立支援サービスを受けられるようにするなど、地域ごとの特性に合わせた政策のもと、条例が作られ、介護サービスの運営を公募するという立法機関としての一面も強まってきました。そんななかで、国が目指す地域包括支援システムで重要視される「地域連携」ですが、地域の事業者などが連携することと合わせて、地域の事業者と自治体が一体となってお互いが同じ目線を意識しながら課題に取り組んでいくことも重要だと思うのです。
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限られた資源で効率的に地域の高齢者を支えるために
これからの介護は、地域の特性に合わせた多種多様なサービスが展開されていくことが予想されます。地方分権と言うと大げさかもしれませんが、介護や高齢者のサービスについても市町村などの自治体は国が作ったルールに沿ってやっているかを見張って重箱の隅をつつくような指導をするだけの役割ではなくなります。
地域の高齢者や要介護状態の方々の実態や、 サービスを提供する事業者の実態などを把握しながら、ニーズを吸い上げて新たなルールを作ったり、良い取り組みを広めたり、対話と試行錯誤を民間と一緒に行なっていくチームになっていくことが理想的ではないかと思います。
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数年に一度やってくる実地指導の悪魔から良い相談役へ
介護事業者側は「行政が来ると実地指導で細かいところを指摘されて、下手すると介護報酬を返還するよう言われたり、行政処分で事業所の指定取消にされてしまうなど、恐ろしいやつだらだ」と多くが思っています。ほとんど関わることが無く、実地指導という機会にしか市町村の方と顔を合わせてサービス内容について話すことがないので、よそもののような気持ちなのです。私が介護事業者として都道府県や市町村とかかわってきた中では、実地指導以外にも相談すれば応えてくれる方も結構多いという印象で、ルールの中で目的を果たすためにどのような進め方をしたらよいかなどを丁寧に指導してもらい、今があると思っています。何でもかんでも質問や電話をすることは失礼ですが、介護保険事業や日常生活支援総合事業を公共事業のように行っているのですから、保険者である地方自治体に相談や指導を自ら申し出て、適正でより良い運営を目指すことは決して悪いことではないと私は思います。
2022年4月からの実地指導は指針が変わる
介護保険法に基づく介護保険施設及び事業者に対する指導監督については、「介護保険施設等の指導監督について」(平成 18 年 10 月 23 日老発第 1023001号当職通知)を参考に都道府県または市町村により行われてきましたが、社会保障審議会介護保険部会「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」における意見等を踏まえ、実地指導における標準化・効率化に資する取り組み等を推進する観点から、2022年3月31日に、新たに、「介護保険施設等指導指針」を定め、厚生労働省から公表されました。実地指導の全体像が見えると、心配も少し減るのではないでしょうか?
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保険者として適正なサービスに適正な給付をするために指導や監査は仕方ない
今までは与えられたルールで採点係のような形で行政機関としての一面が強いのが市町村の介護保険担当でしたが、実地指導の標準項目が定められるなど簡素化されてきまし、高圧的な態度で実地指導に望んできたことを反省しているという文章が発表されるなど、明らかに状況は変わってきています。(もちろん、保険給付の事業を行っている以上、悪質なルール違反は今まで通り行政処分は行われます)
介護保険の制度についても、要支援や地域密着型のサービスは市町村の管轄になり、 与えられたルールで点検係をしているだけではなく、市町村の職員として地域住民とよいまちづくりをしていくと言う気持ちを表明している市町村も増えています。最初のうちはなかなか噛み合わないかもしれませんが、市町村などの自治体の方を敵視しすぎず、連絡や相談をしながら、実態に即した安心した事業展開をしていけるようになるといいですね。
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