介護職員等ベースアップ等支援加算の算定要件(令和4年度介護報酬改定)

令和4年度介護報酬改定で新設される「介護職員等ベースアップ等支援加算」について、算定要件や加算率、介護職員処遇改善支援補助金との違いなどについて紹介します。

介護職員の処遇改善には、「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」という2種類があり、両方算定している事業所も増えていますが、令和4年度介護報酬改定では3つ目の処遇改善加算と言われる「介護職員等ベースアップ等支援加算」が新設されると公表されました。これは介護職員処遇改善支援補助金を継承するような内容となっています。

2021年11月19日に閣議決定した「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に基づき、介護職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を3%程度(月額9,000円)引き上げるための補助金制度(介護職員処遇改善支援補助金)が2022年2月から実施されます。介護・障害福祉職員の処遇改善については「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を踏まえ、2022年10月以降について臨時の報酬改定(令和4年度介護報酬改定)を行い、収入を3%程度(月額平均9,000円相当)引き上げるための措置を講じること示されています。

令和4年度介護報酬改定について,第208回社会保障審議会介護給付費分科会資料 [令和4年2月28日(月)]

介護職員処遇改善支援補助金と介護職員等ベースアップ等支援加算の違い

介護職員処遇改善支援補助金と介護職員等ベースアップ等支援加算には、以下のような違いがあります。また、支給額を計算する際のサービス種別ごとの加算率も介護職員処遇改善支援補助金と介護職員等ベースアップ等支援加算では異なっています。

対象期間 支給方式
介護職員処遇改善支援補助金 2022年2月~9月 補助金
介護職員等ベースアップ等支援加算 2022年10月〜 介護報酬

介護職員等ベースアップ等支援加算の加算額

介護職員等ベースアップ等支援加算では、対象介護事業所の介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均9,000円の賃金引上げに相当する額とされています。対象サービスごとに介護職員数(常勤換算)に応じて必要な加算率を設定し、各事業所の介護報酬にその加算率を乗じて単位数を算出します。

対象の介護保険サービスと加算率

介護サービス種類ごとに、以下の加算率を介護報酬に乗じる形で、単位数を算出し、加算額が決まります。

サービス種別 加算率
・訪問介護
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
2.4%
・(介護予防)訪問入浴介護  1.1%
・通所介護
・地域密着型通所介護
1.1%
・(介護予防)通所リハビリテーション 1.0%
・(介護予防)特定施設入居者生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護
1.5%
・(介護予防)認知症対応型通所介護 2.3%
・(介護予防)小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護
1.7%
・(介護予防)認知症対応型共同生活介護  2.3%
・介護老人福祉施設
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・(介護予防)短期入所生活介護
1.6%
・介護老人保健施設
・(介護予防)短期入所療養介護(老健)
0.8%
・介護療養型医療施設
・(介護予防)短期入所療養介護(病院等)
0.5%
・介護医療院
・(介護予防)短期入所療養介護(医療院)
0.5%

介護職員等ベースアップ等支援加算の対象外

以下の事業に関しては、介護職員等ベースアップ等支援加算はないと示されています。

  • (介護予防)訪問看護
  • (介護予防)訪問リハビリテーション
  • (介護予防)福祉用具貸与
  • 特定(介護予防)福祉用具販売
  • (介護予防)居宅療養管理指導
  • 居宅介護支援(居宅ケアマネ)
  • 介護予防支援(地域包括支援センター)

介護職員等ベースアップ等支援加算の取得要件

  • 処遇改善加算(Ⅰ)〜(Ⅲ)のいずれかを取得している事業所(現行の処遇改善加算の対象サービス事業所)
  • 賃上げ効果を継続できるように、加算額の2/3は介護職員等のベースアップ等(「基本給」又は「決まって毎月支払われる手当」の引上げ)に使用することが要件とされています。

介護職員等ベースアップ等支援加算分の給与引き上げ対象の職種

介護職員の他、事業所の判断により、他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用が認められています。

申請方法

各事業所から都道府県等に、介護職員・その他職員の月額の賃金改善額を記載した計画書を提出します。賃金改善の計画書には、月額の賃金改善額の総額(対象とする職員全体の額)の記載が必要です。(職員個々人の賃金改善額の記載は求めない)

報告方法

各事業所において、都道府県等に賃金改善期間経過後、計画の実績報告書を提出します。月額の賃金改善額の総額(対象とする職員全体の額)の記載が必要です。(職員個々人の賃金改善額の記載は求めない)

介護職員等ベースアップ等支援加算の問題点

介護職員処遇改善支援補助金を継承する形で介護報酬に組み込まれる介護職員等ベースアップ等支援加算ですが、現在公表されている加算率・計算方法だと、加算による収入は事業所・各月の売上により異なるため、介護職員等ベースアップ等支援加算を算定しているすべての事業所で必ず9,000円の賃上げが行えるとは限りません。事業者は、経営的に無理のない範囲で賃金改善の計画を立てることとなることが想定されます。月に9,000円の賃上げという言葉が先行してしまっていますが、計算上この加算の算定で得た収入により9,000円の賃上げを行うことが難しい事業所も出てきます。今までの処遇改善加算と合わせると3つ目の処遇改善加算となり、複雑な構造となっているため、「中抜きしている」や「ピンハネされた」など、働く人と事業者との間にトラブルが起きないかが問題点となりそうです。