高齢者・要介護者に多い骨折・関節症・整形外科疾患の対応方法

 

変形性膝関節症のX脚(外反変形)とO脚(内反変形)の違い、関節リウマチ、脊柱管狭窄症、大腿骨頸部骨折などの原因・対応方法・注意点について紹介します。

変形性膝関節症(膝OA)

変形性膝関節症(膝OA)は、膝の関節の軟骨がすり減って関節炎や変形を生じた結果、痛みを生じる疾患です。
診療情報提供書など医療的な情報には、略語・隠語として膝OAと表記されます。

変形性膝関節症の原因

変形性膝関節症の原因は、加齢による膝関節の変形が主となりますが、肥満、外傷、骨粗しょう症、筋力低下などによる負担増により発症しやすくなります。

X脚(外反変形)とO脚(内反変形)

X脚(外反変形)とO脚(内反変形)
変形性膝関節症のX脚(外反変形)はどちらかというと男性に多く、膝から下が外側に変形した形になり、主に膝の外側の痛みを生じます。O脚(内反変形)は女性に多く、膝から下が内側に曲がった変形になり、痛みは膝の内側に生じやすいです。

関節リウマチ(RA)

関節リウマチ(RA)は、現段階では原因不明の自己免疫疾患として扱われています。サイトカインと言われる細胞同士のコミュニケーションツールが免疫、炎症に関係する情報を扱っていますが、これらが過剰な状態となり、関節付近の滑膜や破骨細胞、白血球などを活性化してしまい慢性的な関節炎症を生じる疾患です。診療情報提供書など医療的な情報では、関節リウマチを略語・隠語としてRAと表記されます。

脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症は、背骨(脊柱)の中を通る神経の通り道である脊柱管が狭くなり、神経が圧迫されてしびれ・痛み、運動機能障害などを生じる疾患です。

脊柱管狭窄症の原因

脊柱管狭窄症の主原因は加齢変化と言われます。もともと脊柱管の狭い人もいますし、背骨のカーブの変形やや椎間関節の損傷などの方に多く出現します。また、腰椎のずれを生じる変形すべり症は女性に多く見られます。

脊柱管狭窄症の対応

脊柱管狭窄症は、日常生活に支障をきたす重度の場合には手術が選択されていますが、私見では手術後の経過が良好という例は少なく感じます。
軽度~中度で歩行できる方の場合には、間欠性跛行という症状がみれらます。これは、歩いているうちに足の痛みやしびれが増えてきてしまうが、少し休めばまた歩けるという症状です。
胸を張って歩くと、脊柱管が余計に狭くなってしまうため、前かがみの姿勢をとっている方が多いです。適度な休憩、杖や歩行器の使用、薬物療法などで対応していきます。

骨粗鬆症

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は閉経後の女性に多くみられます。カルシウムは20代くらいまでは摂取して体にため込まれますが、その後は吸収されても骨に沈着しづらいと言われます。
女性は出産により、体内のカルシウムが少なくなりやすく、運動不足や日光浴不足で骨の形成が阻害されてしまいがちです。すると、骨の中は密度が薄い状態となります。この状態を骨密度が低下した状態といいます。骨粗鬆症について詳しくは、「骨粗鬆症 骨密度が低下する原因を知り予防と治療を」もご覧ください。

脊髄損傷(脊損)

脊髄損傷は、脊髄という背骨の中を通る神経の大本が傷ついた状態です。頭部や頸部に強い衝撃が加わり首から下の機能を失う「頸椎損傷」と言います。胸椎・腰椎などの事故で、これらの場所の精髄を損傷することもあります。
脊髄を損傷すると、運動機能、感覚、痛みなどに障害が出ます。

脊髄損傷の対応

脊髄損傷は損傷した部位で分けたり、機能の残存具合で分けて考えたりします。
脊損と聞くと、もう立てない・歩けないという首から下完全麻痺というイメージが定着していますが、実際介護・医療の現場にいると、不完全麻痺という病態も多くいらっしゃいます。
この場合、筋力の一部が欠損していたり、感覚障害が一部あったりします。また、自分で体を動かすのはちょっと難しくても、体の麻痺指令る部分ががちがちに硬くなったり、ぴくぴくしたりという痙性(過緊張)状態になることもあります。
痛みの状態、その方が動かせる機能、痙性や感覚障害など不快感や痛みなどに合わせていきます。

後縦靭帯骨化症

後縦靭帯は、脊髄の後ろ側でクッションのような役割をしています。ここが石灰化して(硬くなって)脊柱管を圧迫したり、衝撃で脊髄を傷つけたりします。

大腿骨頸部骨折・大腿骨転子部骨折、高齢者に多い骨折

高齢者に多い骨折です。以下の図で、大腿骨大転子と股関節(骨盤と足がつながっているところ)の間での骨折を指します。
頸部骨折の場合は手術で関節の構成要素である大腿骨頭を形成したり(人工骨頭置換術)、折れた部分を人工のインプラントに変えたり(髄内釘固定・ラグスクリューによるネイル固定)などの手術があり、手術方法によってどこまで動かしてよいかなどの制限がある場合もあります。(必ず確認!)
骨標本 骨の名前

最近は大腿骨頸部骨折・転子部骨折で手術なしのケースも

大腿骨を骨折すると、基本的には手術で固定するのですが、高齢で体力が足りない場合や、認知症や脳血管障害による不動状態などにより、手術を行わずに過ごす選択をする場合もあります。
その場合、大腿骨の骨頭という部分は血流が乏しいため治癒しにくく、放置すると大腿骨には偽関節という状態になったりします。
手術を行わなかった場合、全く歩けないかというとそうではなく、安静にしているうちに骨がくっついて荷重できることもあります。
ただし、手術をしなかった場合はそれだけでリスキーな状態なので、少しでも歩く希望がある場合には手術してほしいと希望した方が将来的によいことが多いと思います。(医師の意見も聞きながら)

腰椎圧迫骨折

尻もちなどで腰椎を圧迫してしまい、椎体(背骨)を骨折する外傷です。コルセット固定などをして痛みがなくなったら徐々に動けます。

腰椎圧迫骨折は骨粗鬆症との関連もあり、いつの間にか骨折などとして近年注意喚起されています。

上腕骨骨折

上腕骨骨折では、肩のあたりを打ったり、勢いよく肘をついたりして、二の腕の骨を骨折します。手術で固定することもあります。
骨折の治療中に肩甲骨の動きが悪くなったり、手の動きが出にくくなったりすることがあるため注意して観察し、適度に全身的に動いていただきます。
上腕骨骨折レントゲン

橈骨遠位端骨折(コレス骨折)

橈骨遠位端骨折(コレス骨折)は、転んでしまい、床や地面に勢いよく手をついてしまし、その反動で手首を骨折するという外傷です。

高齢者に多い骨折、体や動きに障害が出る病気は覚えておこう!

転倒予防や身体介護などを考えるとき、疾患に関しての医学知識があるとより充実した内容にできます。

高齢者に多い骨折は、転倒が原因になることが多いです。転倒リスクについては、「Timed Up and Go Test(TUGテスト)の測定方法 転倒リスク評価」などで転倒リスクを定期的にチェックして気を付けていきましょう。

高齢者の情報を見ていると、ここで紹介した整形外科的な疾患名をちらほら見ると思います。
是非覚えて置き、病気・怪我の名前を見たらどんな状態で、どんなケアが良いかと想像と判断ができるようにしていきたいですね!

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