経済産業省の推計によると、2016年のヘルスケア産業市場規模は約25兆円、2025年には約33兆円になると推計されており、いろいろな企業でヘルスケア産業課を立ち上げ今後の課題を考えたり、生涯現役社会をキーワードにシニア・要介護者・要支援者向けサービスのビジネスモデルに注力したりしています。
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2025年には約33兆円のマーケットが見込まれるヘルスケア市場
引用:資料2 次世代ヘルスケア産業協議会の今後の方向性について(PDF形式:2,599KB), 次世代ヘルスケア産業協議会 事務局(経済産業省), 平成30年4月18日
ヘルスケア産業の定義とは
いろいろ探してみましたが、「ヘルスケア産業」の明確な定義は、見つけることができませんでした。
厚生労働省、ヘルスケア協会、経済産業省などのヘルスケアの解釈や、ヘルスケア産業政策の位置づけを見ると、ヘルスケア産業とは以下のようなものと言えそうです。(筆者の解釈であり、公式な定義ではありませんのでご注意ください)
ヘルスケア産業とは、『誰もが人生を最期まで幸せに生きることができる「健康長寿社会」を構築するため、国民の平均寿命の延伸に対応して「生涯現役」を前提とした経済社会システムの再構築や、事業性と貢献性を両立して健康維持・増進をしたり、患者や要介護者・高齢者等の安心や生活のや支援をする産業のこと』とまとめました。
ヘルスケアという言葉は、健康のケアですが、広義にはあらゆる産業が含まれるため、少しずつ細分化されて分類がわかりやすくなっていくものと思います。
ヘルスケア産業の市場規模
民間調査会社等が作成した各産業分野の市場規模集計などをもとに、現状と将来のヘルスケア産業の市場規模を推計した経済産業省次世代ヘルスケア産業協議会の資料によると、2016年約25兆円、2025年には約33兆円になると述べられています。
なお、このヘルスケア産業の市場規模推計には、今後新たに産業化が見込まれる分野は入っておらず、現在の枠組みによる産業分野を元に試算したものだそうです。
現在はヘルスケア産業としての地位までは確立していませんが、今後、健康志向住居や、健康関連アドバイスサービスなどはヘルスケア産業の1分野として取り扱われる可能性も示唆しています。
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地域包括ケアシステムの中でのヘルスケア産業
団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築に向けて国は動いています。
現在までの地域包括ケアシステムは、公的医療保険・介護保険のサービスの比率が高くなっていましたが、財政の問題と、多種多様な生活ニーズに応えるために公的保険サービス以外の民間サービス・インフォーマルサービス・地域資源なども利用しやすい仕組みづくりが進められています。
経済産業省では、ヘルスケア産業を「健康保持・増進に働きかけるもの) 」と「患者/要支援・要介護者の生活を支援するもの」という2つに分け、さらにそれらを項目ごとに分けて市場規模の推計を試算しています。
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ヘルスケア産業 (健康保持・増進に働きかけるもの) 市場規模 2025年に約12.5兆円
引用:資料2 次世代ヘルスケア産業協議会の今後の方向性について(PDF形式:2,599KB), 次世代ヘルスケア産業協議会 事務局(経済産業省), 平成30年4月18日
ヘルスケア関連産業で、健康保持・増進に働きかけるような事業を一つの市場としてみると、その市場規模は2025年には約12.5兆円と推計されています。
ヘルスケア産業としてわかりやすいところでは、健康に関連する書籍や健康器具、サプリメントや健康食品、メガネやコンタクト・補聴器、フィットネスクラブ、予防接種などが分類されています。
健康増進と言えば、運動・食事・睡眠・規則正しい生活という内容が市場の大部分を占めるかと考えてしまいます。
実際の市場規模(推計)の内訳を見てみると、「フィットネス」などの運動や「健康食品」や「医薬部外品」などの市場規模は特に大きくなっています。
それらと合わせて市場の拡大が目立つのが「健康志向旅行・ヘルスツーリズム」・「生涯学習」、「検査・健診サービス」、「エステ・リラクゼーションサービス」・「趣味やシニアの余暇開発・遊び」などの生活の充実を図るような産業です。
若い人にも関係あり、健康経営を支えるサービス
健康経営とは
健康経営とは、従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することとされています。
健康経営により、従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に企業の収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践することを目指しています。
簡単に言うと、健康経営度調査への回答や健康経営宣言に賛同して企業が健康管理を経営指標として位置付けるということです。
具体的な健康経営の取り組みについては、「全国健康保険協の健康経営宣言事業所のご紹介」など、いろいろなところで紹介されています。
従業員の家族への健診や、禁煙、ラジオ体操、血圧計の設置など、多方面から従業員の健康についてアプローチ事例があります。
健康経営優良法人への事例
自治体等において、健康経営や健康づくりに取り組む企業等の認定・表彰制度や健康経営優良法人へのインセンティブが実施されており、健康経営に取り組む企業等の「見える化」が進んでいます。事例としては、健康経営優良法人への貸し付けの際の特別融資やる貸付利率の引下げ、建設業の入札の落札の加点、表彰制度などがあります。
健康経営(従業員の健康増進)を支えるサービスの市場規模
健康経営を支えるサービスの関連産業としては、健康診断事務代行やメンタルヘルス対策などが該当します。
健康経営を支えるサービスの市場規模は、2016年 5,600億円 から 2025年 7,600億円 に拡大すると試算されています。
上記で紹介した事例のように、健康経営を支えるサービスには「健康診断のパッケージ化」(健康経営を意識して法人で従業員の健康管理につなげるためのデータ収集や提案など)や、麺経つヘルス対策として心の健康チェックや、労働衛生管理の外注・第三者評価のような形のサービスが今後注目されるかもしれません。
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ヘルスケア産業(患者/要支援・要介護者の生活を支援するもの) 市場規模 2025年に約20.6兆円
ヘルスケアとしてわかりやすい分野が要介護者や患者に対するサービスです。
食事や、外出サービス、福祉用具など、医療機関や介護サービスの延長上にあるようなサービスですが、高齢化が進む日本にとってはまだまだ広がる市場です。
要介護・要支援者向けサービスの市場については、推計のデータ処理上、介護住宅関連や介護保険の福祉用具関連サービスまで含まれていると書かれているため、2025年の市場規模が10兆円を超える額で大きくなっています。要介護・要支援者向けの介護旅行・介護ツーリズム・支援付き旅行・外出付き添いなどや、一般の福祉用具についても、QOL向上に向けてケアや要介護・要支援者の生活の質の充実などの市場は、一億層活躍社会や次世代ヘルスケア産業の枠組みなど、生涯現役社会をキーワードに存在感が出てくる市場であると考えます。
要介護者・要支援者も含め、ヘルスケア産業の多様なサービスが定着し、生活の選択肢が増えていくことと合わせて、医療保険などの第三分野の保険も補償内容が多様化して市場も広がりそうです。がん保険、先進医療保険、要介護保険、認知症保険や収入保障保険など、いろいろな保障内容・保証条件の保険商品が登場して加入者が増えており、2025年の市場規模は9兆円を超えると推計されています。
人生の選択肢や治療の選択肢、介護状態での生活サービスの選択肢が充実するにしたがって、これらの第三分野の保険の市場もバリエーションを伴いながら市場がさらに成長すると考えられます。
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