厚生労働省老健局は、2019年4月1日に『平成29年度 「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査」の結果及び高齢者虐待の状況等を踏まえた対応の強化について(通知)』を発表しました。高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(いわゆる高齢者虐待防止法)に基づく対応状況等に関する調査結果報告になります。
このページの目次
高齢者虐待とは
高齢者虐待とは、高齢者に対する深刻な人権侵害のことです。
高齢者への虐待や介護の放棄などは昔から行われてきましたが、 介護保険制度が確立されてから高齢者虐待の問題が顕在化し始め、早期発見や対策が求められています。
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平成29年度までの虐待の相談・通報件数と虐待と判断した件数
この調査によると、介護施設従事者等による虐待については、相談・通報件数は1,898件、虐待判断件数は510件、養護者による虐待については、相談・通報件数は30,040件、虐待判断件数は17,078件となっており、いずれも過去最多となっています。
養介護施設従事者等による虐待の相談・通報件数と虐待と判断した件数
養介護施設従事者等とは、介護老人福祉施設など養介護施設または居宅サービス事業など養介護事業の業務に従事する者のことを指し、いわゆる介護の仕事をしている人が市町村等に虐待についての相談や通報をされた件数と、虐待と判断した件数を表しており、毎年虐待の相談件数、虐待と判断した件数ともに上昇が見られます。
平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | |
相談・通報件数 | 1,640 | 1,723 | 1,898 |
虐待判断件数 | 408 | 452 | 510 |
養護者(家族)による虐待の相談・通報件数と虐待と判断した件数
養護者とは、高齢者の世話をしている家族、親族、同居人などのことを指し、家で介護をしている身近な人による虐待についての相談や通報をされた件数と、虐待と判断した件数を表しており、毎年虐待の相談件数、虐待と判断した件数ともに上昇が見られます。
平成27年度 | 平成28年度 | 平成29年度 | |
相談・通報件数 | 26,688 | 27,940 | 30,040 |
虐待判断件数 | 15,976 | 16,384 | 17,078 |
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高齢者虐待に関する体制整備の課題
本通知と過去の調査の中で、高齢者虐待の通報等に係る受付方法について、「FAX」「電子メール」は6割程度、「インターネット」は2割程度に留まっており、また、受付可能時間帯についても「夜間」「土日祝日」は4~5割程度に留まっていることが明らかになったところです。
状況が切迫していて直ちに対応が必要となる虐待事案が発見される可能性があることを踏まえ、市町村に対し、電話・メール・インターネット・SNSでの相談・通報受付、夜間・土日祝日等閉庁時間の対応、警察・医療機関等との連絡・連携協力体制等の構築に向けた働きかけなどの必要性について言及されています。また、困難事例等については市町村単独では対応が難しい場合があることから、都道府県におかれましては、弁護士・社会福祉士等の専門職を配置した相談窓口を設置し、市町村等の対応について、専門的見地から適切な助言・支援を求める旨も述べられています。
養護者による高齢者虐待の主な発生要因として「介護疲れ、介護ストレス」が挙げられており、これらの要因を軽減させるための取組として養護者のレスパイトケア等が効果的であると考えられます。ただし、レスパイトケアの重要性は把握しつつも、介護サービスの利用がない場合などには介入が難しく状況の把握も難しいという現実があります。
介護職員による虐待行為については知識や技術の不足、ストレス発散などでは片づけられない課題を内包しており、今後も広い視野での対策の必要性を感じます。
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身体拘束や高齢者虐待を見逃さない、行政や医療介護業界全体の意識
近年、高齢者虐待防止や、身体拘束の防止など、介護保険の保険者である行政や医療福祉業界全体で重要視しており、特に施設の場合には事前通告なしで抜き打ちでのチェックも可能となりました。
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高齢者虐待事例への対応の基本的な流れとポイント
高齢者虐待事例への対応には、地域で身近に高齢者を支える関係機関が相談や介護支援などを中心として行う対応(一次対応)と、専門性の高いアプローチが必要となる特定の問題領
域を扱う専門機関による対応(二次対応)があります。具体的な対応方法については東京都が作成した「高齢者虐待事例への対応の基本的な流れとポイント(事例対応マニュアル)」が参考になります。
高齢者虐待防止・養護者支援法に規定される早期発見努力義務
高齢者虐待防止・養護者支援法 高齢者虐待の早期発見等(第5条)
養介護施設、病院、保健所その他高齢者の福祉に業務上関係のある団体及び養介護施設従事者等、医師、保健師、弁護士その他高齢者の福祉に職務上関係のある者は、高齢者虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、高齢者虐待の早期発見に努めなければならない。
養護者による高齢者虐待に係る通報等(第7条)
1 養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危機が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。
2 前項に定めるほか、養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかにこれを市町村に通報するよう努めなければならない。
※虐待を受けたと「思われる」とは、「一般人であれば虐待があったと考えることに合理性がある」という趣旨と解する秘密保持の義務(第8条)
市町村が前条第1項若しくは第2項の規定による通報又は次条第1項に規定する届出を受けた場合においては、当該通報又は届出を受けた市町村の職員は、その職務上知り得た事項であって当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。
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虐待の事実確認は区市町村の役割
高齢者虐待についての相談・通報受理後の事実確認は、高齢者虐待防止・養護者支援法第9条で区市町村の役割と明記されています。現地調査や、関係機関、周囲の関係者などからの情報収集を行い、複数の職種が連携して多面的に状況を確認します。なお、高齢者虐待・養護者支援法の成立により、高齢者の安否の確認ができず、高齢者の生命や身体の重大な危険が強く懸念される場合には、区市町村の権限として立入調査を実施することが可能となっています。場合によっては市町村は警察とも連携して虐待の事実確認を進めていきます。
もし高齢者虐待の疑いがある場合には一次対応として、確認可能ならば本人や家族、該当者などの状況を客観的に確認をすることと、地域包括支援センターもしくは介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談・連絡することが大切です。
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