五臓六腑(ごぞうろっぷ) 漢方薬 の考え方

 

漢方薬には全身(五臓六腑)をエネルギーが巡るという東洋医学的な考えで患者の主観的な症状に対して処方されます。
漢方の考え方は、科学的で客観的な検査・診断から処方される西洋医学・西洋薬とは根本的な違いがあります。患者様はさまざまな薬を服用されており、特に高齢者では漢方を処方されている方も多くいます。今回は、漢方の考え方について薬剤師視点で書きたいと思います。

漢方薬と西洋薬 自覚症状と客観的判断

患者様の多くは、西洋薬を服用してますが、人には体質の違いや症状の特異性がある場合もあり、西洋薬では効果がない方、またはじんましんやアレルギー反応が出やすい方もいらっしゃいます。漢方薬は、そういう患者様に使われます。高齢の患者は、腎臓や肝臓の機能の低下により副作用が生じやすい事から医師が、漢方を処方する事も多いです。
血液検査やカメラなどの客観的な結果から判断していき、起こっている症状を対処していく西洋医学的考え方は、比較的馴染んでいるため皆様もよく知ってると思います。漢方薬で用いられる東洋医学的な考え方は、西洋医学とは根本的に違います。漢方薬は、客観的判断よりも患者様の自覚症状をもとに病気を判断していきます。
医療を勉強するときに漢方は、あまり時間をかけないことが多いので、苦手な方も多いのでは無いでしょうか?

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五臓六腑の基本概念について

人間の身体は複数の臓器から構成されており、腹部に存在する臓器を一般に臓腑といいます。臓腑の実質臓器が五臓(肝・心・脾・肺・腎)で、管腔臓器が六腑(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)です。
一般に「六腑」はエネルギーを集め、「五臓」はそれを貯蔵する器官とされています。ただし、現代解剖学には三焦に相当する臓器はありません。また、それ以外の臓腑についても、その静止機能は西洋医学よりも少し広い概念を持っています。

肝の働き 東洋医学の五臓六腑

肝の働きは、精神活動の安定、栄養素の代謝と解毒、血液の貯蔵と全身への栄養供給、骨格や運動や平衡感覚のコントロールをつかさどるとされています。肝が異常になると神経過敏、いらいら、じんましん、黄疸、月経異常、貧血、頭痛、肩こり、めまい、筋肉の痙攣などが起こります。

心の働き 東洋医学の五臓六腑

心の働きは、意識の維持、覚醒、睡眠リズムの調節、血液の循環、熱の産生、汗の分泌、体温の調節をつかさどります。異常になると焦燥感、興奮、集中力低下、不眠、浅い眠り、夢が多い、動悸、息切れ、徐脈、顔面紅潮、熱感 などが起こります。CMでよくやっている動悸、息切れの『救心』の心がこの心になります。

脾の働き 東洋医学の五臓六腑

脾の働きは、食物の消化・吸収、血液を滑らかにし、筋肉の形成と維持をつかさどっています。脾とは脾臓ではなく、消化吸収機能を担当する臓です。五臓の中には膵臓が入っていませんが、消化酵素を分泌すると言う意味では脾に含まれると考えられてます。
異常になると食欲低下、消化不良、悪心・嘔吐、胃もたれ、腹部膨満感、腹痛、下痢、皮下出血、四肢のだるさ、筋萎縮、抑うつなどが起こります。

肺の働き 東洋医学の五臓六腑

肺の働きは、呼吸による空気の摂取、全身の気の流れ、気の一部から血と水を生成する、皮膚の機能の調整をつかさどります。肺が異常になると咳、喀痰、喘鳴、鼻汁、呼吸困難、息切れ、息苦しい感じ
、気道粘膜の乾燥、発汗異常、かゆみ、かぜをひきやすいなどの症状が起こります。

腎の働き 東洋医学の五臓六腑

腎の働きは、成長、発育、生殖能、骨、歯牙の形成・維持、泌尿、水分代謝の調節、呼吸の維持、思考力、判断力、集中力の維持をつかさどります。腎はへその下に位置するとされてます。力仕事をするときに下腹部に力を入れたりするのは腎の働きと考えられてます。また気を貯める場所であるため下っ腹に力(気)を入れて声や元気を出すと言われるのも腎から来てます。
腎が異常になると、性欲低下、不妊、骨の退化、腰痛、歯がもろくなる、浮腫、夜間尿、目や皮膚の乾燥、息切れ、健忘、白内障、耳鳴りなど起こります。

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東洋医学は体全体(五臓六腑)のバランスをとって行く

人の健康は、この五臓六腑のバランスがとれた調和の上に成り立っているとするのが東洋医学の基本的な考え方になってます。
東洋医学は西洋医学と違い、局所的な症状の治癒を目指すのではなく、体全体(五臓六腑)のバランスをとって行くことにより病気を治療していくのです。

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