かつての日本人は、姿勢や言葉遣い、食事作法や文字に至るまで、美しさと品格を重んじ、自らを高める努力を惜しみませんでした。しかし、現代では「多様性」や「自由」の名のもとに、そうした理想や努力が軽視され、むしろ頑張る人が損をするような価値観や制度が広がっています。本記事では、なぜ「努力する人」よりも「弱者」とされる人が得をするようになったのか、その背景と現代社会の問題点を掘り下げていきます。
このページの目次
美しさや品格を重んじたかつての日本人
かつての日本人は、見た目の美しさや立ち居振る舞いに品格を求め、自らを律しながら生きていました。背筋を伸ばした姿勢、整った身なり、美しい文字や正しい箸使いなどは、単なる形式ではなく、人としての内面のあり方を表すものとされてきました。そうした美意識は、努力を重ねることで培われるものであり、誰もが「よりよく在ろう」とすることを美徳と感じていた時代があったのです。そして後世にもその美しく立派なあり方を残し、発展してほしいという思いがなんとなくあったと感じられます。
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教育や価値観の変化がもたらした自由主義のゆがみ
現在の日本では、「個人の自由」や「価値観を押し付けてはいけない」といった教育や思想が強調されるようになり、その結果として共通の理想像や美しさの基準が曖昧になってきています。この国でこれからも、将来の世代も豊かな生活を続けていけるようにと考えて主張することすら、
「やるだけ無駄」
「馬鹿なことするな」
「努力はダサい」
「美しさを求めることは時代遅れ」
「変な価値観を広めるな」
このような風潮さえ存在し、人の頑張りを笑ったり、崩れた生活態度も「多様性」として許容される場面が増えました。
たとえば、美しく文字を書いたり、上品に食事をとったりする行為すら、「それができない人の気持ちを考えていない」として差別的に捉えられることさえあります。本来ならば尊敬されるべき所作や能力が、かえって批判の対象になるような逆転現象が起きているのです。
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ファスト日本人、インスタント文化
現代の日本社会では「速さ」と「手軽さ」が重視されるあまり、人間の在り方そのものがファスト化しているように見受けられます。ファストフードのように、時間をかけた丁寧な作法や訓練よりも、すぐに結果が出ること、効率よく成果が得られることが称賛される風潮があります。SNSでは映える情報だけが価値を持ち、深い思索や努力の過程はスキップされがちです。
こうして育ったインスタント人類は、忍耐や継続の力よりも、短期間での承認や報酬を求める傾向が強くなっています。その影響で、日本人が長く培ってきた職人魂や礼節といった精神的な土台が軽視されるようになりました。
ある意味では、日本人にそのような余裕がなくなったという見方もできます。美術や芸術に割く経済的余裕がない、心にゆとりを持って過ごせる時間がない、身近に便利なファストファッションやファストフードがありゆっくりと選んだり食事をしたりする魅力がわからない、InstagramやTikTokなどのショート動画やスマホアプリなど受動的に簡単に消費できるコンテンツで溢れている―。
速く、楽に、見栄えよく――その先に、本当に誇れる日本人像があるのか、今一度問い直す必要があります。
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努力する人よりも弱者が得をする社会制度の矛盾
このような価値観の転換は、政治や制度にも深く影響を与えています。というよりも、政治主導で努力や美しさを尊く思うことに嫌悪感を感じさせる方向に進めているように感じます。現代の日本では「弱者支援」という名のもとに、困っている人や頑張ることを放棄した人々に対して多くの補助金や支援策が用意されています。もちろん、すべての支援が悪いわけではありません。助けが必要な場面も確かにあります。
しかし問題は、限られた財源の中で、本来なら社会を支える側である努力を続ける人々や、真面目に働き続けている人々に対しての優遇がほとんどないという現状です。結果として、支援を受けている人々のほうが、頑張って働いている人々よりも豊かな生活をしているケースも見受けられるようになっています。弱者をどんどん作り出し、支援している団体に補助金を出して、より弱者を豊かにしつつ弱者を支援している団体も潤う仕組みになっていることも問題です。
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自立しようとする人が報われない社会の危うさ
たとえば、シングルマザーや高齢者、生活保護受給者などに対しては、補助金や支援制度が多く存在し、それらを活用することで比較的安定した生活を維持することが可能です。一方で、正社員として長時間働き、納税もしながら暮らしている人が、支援の対象にならず、かえって税負担だけが増えていくという事態が起きています。
さらには、「努力しても意味がない」「スキルを磨いてもお金にならない」「働いたら負け」という空気が蔓延し、補助金をもらう方が賢いという意識すら一部では広がっています。真面目に自立を目指し、日本人らしい美意識を持って生活している人々が、周囲から冷ややかに見られ、時には「意識高い系」と揶揄されることもあります。
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本当に大切にすべき価値とは何か
社会にとって本当に必要なのは、支援のバランスと、美しさや努力を肯定する文化の再生です。助けが必要な人を支える制度は必要ですが、それと同時に、努力する人が正当に評価され、報われる社会でなければなりません。
個人の自由や多様性は重要な価値ですが、それが過度に強調されることで、日本人が長く守ってきた品格や努力の美徳が失われていくのであれば、そこには再考の余地があります。
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強く美しくあろうとする人を称える社会へ
すべての人が楽をしているわけではないことは、言うまでもありません。しかし、頑張る人が貧しい思いをし、保護される人の方が得をするという構造が常態化してしまうと、日本社会そのものの活力が損なわれます。
今こそ、かつてのように努力することや美しく生きることを肯定し、それを周囲が支えるような社会を取り戻すべき時ではないでしょうか。自分たちが良ければそれで良いという価値観から、みんなで高い位置を目指そうという気持ちで国のトップなども取り組む。頑張っている人を引き下ろしたり、底上げばかりに支援をするのではなく、自らを高めようとする人が称賛される社会。
日本らしい未来を築く第一歩だといえるでしょう。
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