子育てケアマネ制度とは?想定される支援内容と必要性

子育てを取り巻く課題が深刻化する中、「子育てケアマネ制度」という新たな支援構想が注目されています。しかし、今私たちに本当に求められているのは、過剰な手助けや制度拡大によって子育てを囲い込むことではないはずです。むしろ、余計なPRや箱モノ行政を削減し、社会保障全体のレベルを適正化すべきときが来ています。介護も、子育ても、「自分たちの望む子育て」「できる限り自立を支える」という原点に立ち返らなければなりません。

今回、子育て世代に光を当てた議論が起こったこと自体は歓迎すべきことです。政治に関心を持つきっかけになり、賛成意見も批判意見も出たことは健全な社会の証と言えるでしょう。しかし、今国がやるべきことは、「子育てケアマネ制度」を作り上げることではありません。
必要なのは、税金の無駄遣いを止め、個人と家族に自由と可処分所得を取り戻すことです。

お金では解決できないことも確かにありますが、大抵の問題は、十分な可処分所得によって自分たちの望む子育てを自由に選び取ることで解決できます。それこそが、本当に次世代に希望を繋ぐ「子育て支援」になるのではないでしょうか。

この記事では、子育てケアマネ制度の概要、想定される支援内容、そして賛否それぞれの意見とともに、本当に必要な支援のあり方について考えていきます。

子育てケアマネ制度とは

「子育てケアマネ制度」とは、妊娠期から出産・育児に至るまで、専門の支援者が家庭に寄り添い、必要な助言や情報提供を行う仕組みです。​家庭ごとに適した支援につなぎ、既存の制度を「使いこなせる」よう支援することで、困りきってから相談するのではなく、困らないように先回りすることを目的としています。​

この制度の背景には、核家族化や離婚・再婚、結婚前の妊娠の増加など、子育てを取り巻く環境の変化があります。​また、日本では妊娠・出産に保険適用されず、個人の責任にされている現状があり、年間70万人も子どもが生まれない少子化の国でありながら、毎年12万件ほどの中絶があるという問題も指摘されています。

このような問題を解決するために、子育てケアマネが先回りして支援できる仕組み・制度化が必要であると主張されています。

子育てケアマネの提案の中で、このような考え方は福祉が充実しているフィンランドの先進事例をもとにしているということが述べられていますが、フィンランドでは実は少子化が深刻な問題になっており、2024年の合計特殊出生率は1.25と最低水準になってしまっています。このような施策が少子化の防止に効果が出ているとは言い難いです。

また、子育てをするからには、「自分たちの望む子育て」をしたいものです。そのためには、余計な制度や仕組みに税金を使われるのではなく、自分たちで使えるお金が増えることが一番ありがたいことだという意見が多いです。取られた税金がまわりまわって子育てケアマネに使われるのならば、そのまま税金を安くしてほしいという意見がネット中にあふれました。

子育てケアマネ制度の目的

子育てケアマネ制度の目的として、この介護の主張としては異動の多い公務員ではなく家庭に寄り添い伴走する「子育てケアマネ」がすべての子ども(家庭)につくことで、子ども・子育て支援の基礎構造改革になり、育児不安や産後うつ、虐待や療育、自殺防止などの対策、少子化防止に寄与するということが述べられています。具体的には述べられていませんが、海外の先進的事例としておそらくフィンランドの福祉「ネウボラ」の仕組みを日本でも取り入れて妊産婦とその家族の、健康だけでなく福祉的・経済的な状況も把握し、必要な支援を行う行政施設につなぐ目的があると考えられます。

日本でも、子育て世代包括支援センター(母子健康包括支援センター)は各自治体に整備され、十分に知られているとは言えませんが子育て支援の機能は持っています。正直、この子育て世代包括支援センターの連絡窓口を分かりやすくすれば、子育てケアマネと同じようなことは実現できると感じます。また、地域では民生委員(児童委員)がかなり近い役割をしています。このような人たちはほとんど報酬がなく社会貢献している状況なので見直されることで子育てケアマネに近い機能になり得ます。

子育てケアマネの話題の発端

今回の子育てケアマネの話題の発端となるのは、2025年4月15日に公益財団法人あすのば/みらい子育て全国ネットワーク/認定NPO法人フローレンス/子どもと家族のための政策提言プロジェクトが主催で行われた「日本死ね!!!から10年 子育てが楽しい日本にするための緊急集会 ~ECEC(保育&幼児教育)を義務に、ケアマネを子育てにも!こども未来戦略緊急集会〜「子育てケアマネ」と「保育」を全員に」 という会合です。この内容は YouTube でも公開されているのでご確認ください。

主催をしている団体には、こども家庭庁の委員も含まれているので、実態としてはこども家庭庁と相性が良いベッタリな団体の集まりです。この会議には著名な国会議員も多数参加し、3年以内に子育てケアマネ制度を実現したいなどと意欲的な姿勢を見せたことで話題になっています。この活動全てが悪いわけではなく、共感する部分もあります。行動を起こしていることは素晴らしいことです。

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「子育てケアマネなんて要らない!」の声に説明したい。私が子育てケアマネを推す理由

みらい子育て全国ネットワーク -miraco- は公式noteで『「子育てケアマネなんて要らない!」の声に説明したい。私が子育てケアマネを推す理由』という記事を公開しています。

主張を要約するとこのようになっていますが、詳細はnoteの記事をご確認ください。

子育て支援において「子育てケアマネはいらない」という声もありますが、現金給付(年少扶養控除の復活)と「子育てケアマネ」の導入は両立できると考えています。人は本当に困ったときほど助けを求めにくく、妊娠・出産・育児期の孤立を防ぐため、介護保険のケアマネジャーのように支援をつなぐ存在が必要だと考えています。

実際、東京都の一部自治体では、妊娠期から親に伴走する「アーリーパートナーシップ制度」が導入され、産後うつや虐待リスクの低下といった成果が出ています。また、フィンランドの「ネウボラ」制度の成功例にも学び、単なる現金支援だけでなく、子育ての孤立を防ぐ「つながりのインフラ」として全国展開を目指すべきだとしています。

「子育てケアマネ」は将来的に社会コスト削減にもつながる施策であり、現金給付と支援体制の両輪で、子育てを社会全体で支える仕組みをつくっていきたいと考えています。

参考:みらい子育て全国ネットワーク -miraco- 公式note『「子育てケアマネなんて要らない!」の声に説明したい。私が子育てケアマネを推す理由』(2025年4月24日公開) 

 

フィンランドの「ネウボラ」制度の成功例ということがこのnoteでも書かれていますが、フィンランドでは少子化は加速しており、2010年頃は出生率は1.8くらいだったものが、2020年代には1.2に低下しており、少子化対策として効果があったとは言い難いです。

noteで説明されているのは、フィンランドでは、1944年の自治体への設置義務化以降、虐待死が減少(10万人当たり5.3人 →0.36人)し、現在では、ほぼいなくなったということです。本文でも述べられていますが、このネウボラ的な施策が虐待死を減少させた主要因なのかもわからないです。

参考:PassBlue「Finland Offers More Perks to Stop Its Declining Birth Rate. Women Shrug It Off」, January 27, 2025

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子育てケアマネに想定される支援内容

子育てケアマネが提供する支援内容として想定されるのは以下のようなことです。

  • 妊娠期からの継続的な相談支援
  • 育児に関する情報提供
  • 家庭ごとの課題に応じた支援機関へのつなぎ
  • 経済的、身体的、メンタルや夫婦関係の悩み相談
  • 必要な専門支援への早期介入​

これらの支援を通じて、子育て家庭が孤立せず、安心して育児に取り組める環境を整えることが必要という主張です。

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賛成意見とそのメリット

子育てケアマネ制度に賛成する意見として以下のようなものがあります。

  • 妊娠期からの継続的な支援により、育児不安や孤立感を軽減できる。
  • 専門家による早期介入で、虐待や育児放棄などのリスクを未然に防げる。
  • 既存の制度を効果的に活用できるよう、家庭ごとのニーズに応じた支援が可能になる。​

ただし、デメリットで紹介することと裏表の関係であり、子育てケアマネに期待されている既存の制度は割とシンプルで多くの人が利用可能であることや、個人の経済状況や悩みなどを制度的に把握されることへの抵抗なども加味すると、必要な時に相談できれば支障ないという意見も多数です。

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反対意見とそのデメリット

子育てケアマネ制度には、以下のような反対意見やデメリットも指摘されています。

  • 全家庭を対象とすることで、支援が「薄く広く」なり、特に支援が必要な家庭への対応が手薄になる可能性がある。
  • 制度の導入に伴う人材確保や予算の問題が懸念される。
  • 既存の支援制度との重複や、行政の過剰な介入と受け取られる恐れがある。

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財源と制度設計の課題

子育てケアマネ制度の導入には、多額の財源が必要となります。​全家庭を対象とする場合、膨大な人件費や運営費がかかり、財源の確保が大きな課題となります。​また、制度の設計においては、既存の支援制度との整合性や、支援の質の確保、プライバシーの保護など、多くの課題が存在します。​財源があったとしても、今子育て世代で最優先で必要なのは、相談をする相手ではなく、自分たちで自由に使える可処分所得です。お金があれば、仕事を休んだり、子どもを預けたり、カウンセリングを受けたりすることもできますが、そもそもお金がないことで、節約生活を強いられ、子育ての不安が大きくなっているのです。国としては賃上げを訴えていますが、給料が上がっても給料から天引きされる社会保険料や税金の負担が大きく、可処分所得は一向に増えない状態です。

仮にこのような子育てケアマネを全世帯につけるというような事業が行われれば、子育てケアマネの事業を受諾した団体に多額の金銭や権限が渡るだけでなく、そこに関わる事業者にも事務費や紹介料などがまた多額にかかり、普通の子育て世代はただ自由に使えるお金が欲しいだけなのに、取り上げられた税金で余計な事業に使われるという状況になります。

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本当に必要なのは「子育てケアマネ」ではない

「子育てケアマネ制度」が提案されていますが、ここまで述べてきたようにその裏側には重大な問題があります。子育て世代にも政策を回し、若者に政治に関心を持ってもらうという点ではよいことですが、全世代が子育て世代に本当に必要なことは何なのかこれを機に考えないと、また余計な利権ができて、費用対効果の悪い社会保障が生まれるだけです。

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子育てケアマネは利権になる、情報をわかりやすくすればよいだけ

第一に、これは本当に子育て支援のためなのか? 実態は、特定の子育て関連団体への委託ビジネスや、民間サービスへの斡旋拡大を狙う施策にしか見えません。新たな伴走支援を掲げながら、国民の税金を使って新たな利権構造を作ろうとしているように見えます。プライバシーは守るでしょうが、経済状況に合わせてあれ使いましょうこれ使いましょうと言われるわけです。既存の制度にアクセスできないように隠しているのは国の方ですし、利用しにくくしている部分を正せば、今の世代は普通にネットで見つけていけます。もしこの既存の制度を利用することができないことが課題なのであれば、義務教育や高等教育でしっかりと日本の制度について学ばせるカリキュラムを入れれば良いです。今の日本ではわざと税や社会保障の仕組み、国の制度のことなどを教えないようにしている状況です。

また、子育てケアマネをつけることで、日本語は読み書きできない人や、海外の人にもあらゆる制度を利用させるための仕組みなのではないかとすら感じてしまいます。

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介護保険を見習う必要はない、「自分たちの望む子育て」を遠ざける利権団体の都合がよい仕組み

介護保険ではすでに、ケアマネジャーが手取り足取り高齢者にサービス利用を促し、過剰なケアが当たり前になっていますが、これを子育てにも当てはめる必要はないです。むしろ、この過ちを、今度は子育て領域で繰り返すことのないよう、シンプルにすべきです。

本来、介護でも子育てでも、まず個人や家族ができる努力を尊重し、その上で本当に必要な支援だけを絞り込んで提供すべきですが、「誰にでもケアマネ」「困る前に先回り」という発想は、自己責任と自立心を削ぐだけでなく、支援の必要な本当に困っている家庭へのリソース配分を希薄にします。

しかも、莫大な予算を新制度に投じる一方で、子育て世代の可処分所得は増えません。すべてに手厚い支援ではなく、シンプルに税金を下げ、自由に使えるお金を増やすほうが、よほど「自分たちの望む子育て」ができる社会に近づくのではないでしょうか。現金があれば、保育、教育、医療、相談など必要なサービスを自分で選択できます。無駄な制度に頼らずに済みます。

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まとめ

過剰な手助けや制度拡大で子育てを囲い込むのではなく、余計なPRや箱モノを削減し、社会保障全体のレベルを適正化すべきときがきているのです。介護も、子育ても、「できる限り自立を支える」という原点に立ち返らなければなりません。

子育て世代をピックアップした主張は、政治に関心を持たせるという意味では価値のあることです。賛成意見が出たことも、批判意見が出たことも良いことだと思います。

今、国がやるべきことは、「子育てケアマネ制度」を作ることよりも、20年間にもおよぶ子育てを安心して歩める金銭的ゆとりを作ることです。
必要なのは、税金の無駄遣いを止め、個人と家族に、自由と可処分所得を取り戻すことです。もちろん、子育てケアマネの目的としてある、国の制度を使いやすくすること、現代に合った形の支援策を整備することも重要です。フィンランドのようにバランスが取れていれば良いですが、自分たちで自由に使えるお金ではなく、国家から与えられた福祉サービスをみんなが使うという形になると、社会主義や共産主義のような体制になりかねません。いつも福祉の良い例としてあげられるフィンランドは、色々な特典をつけて少子化を止めようとしていますが、少子化に歯止めがきかない状態になっていますし、ヨーロッパ全体も少子化傾向なので、正直何が正解か分かりません。

お金では解決できないこともありますが、大抵のことはお金で解決できます。

既存の制度でも隠さずわかりやすく、制度を利用するために専門家が補助しないと使えない制度なども多すぎます。効率の悪い制度は増やさないでむしろ減らし、「自分たちの望む子育て」ができるだけの金銭的・精神的余裕が持てるようにする、それが本当に次世代に希望を繋ぐ「子育て支援」になります。

 

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