2021年(令和3年)の介護報酬改定について「特別養護老人ホーム(特養)」の基準や報酬改定の方向性のポイントについて解説します。
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特別養護老人ホームの単位数一覧 はこちら<2021年4月介護報酬改定>
2021年1月18日に、令和3年度介護報酬改定における改定事項において、具体的な基本報酬・新設の加算などの単位数が決定されました。特養の内容については以下記事にまとめています。
「特別養護老人ホーム(特養)」の2021年介護報酬改定の論点と方向性を解説します!
今回の特別養護老人ホーム(特養)の介護報酬改定のポイントはいろいろありますので、注目度が高い内容である 星★ が付いた部分を解説します。
認知症専門ケア加算等の見直し
認知症に係る取組の情報公表の推進
認知症介護基礎研修の受講の義務づけ
看取り期における本人の意思に沿ったケアの充実
★特別養護老人ホームにおける看取りへの対応の充実
退院・退所時のカンファレンスにおける福祉用具専門相談員等の参画促進
★個室ユニット型施設の設備・勤務体制の見直し 10名定員⇒15名に
特例居宅介護サービス費による地域の実情に応じたサービス提供の確保(※地密のみ)
リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の取組の一体的な推進
生活機能向上連携加算の見直し
特別養護老人ホームにおける個別機能訓練加算の見直し
施設系サービスにおける口腔衛生管理の強化
施設系サービスにおける栄養ケア・マネジメントの充実
多職種連携における管理栄養士の関与の強化
★介護の質の評価・科学的介護(CHASE介護関連データベース)
★ADL 維持等加算の見直し
★寝たきり予防・重度化防止のためのマネジメントの推進
★褥瘡マネジメント加算等の見直し
★排せつ支援加算の見直し
処遇改善加算の職場環境等要件の見直し
介護職員等特定処遇改善加算の見直し
サービス提供体制強化加算の見直し
見守り機器等を導入した場合の夜勤職員配置加算の見直し
見守り機器等を導入した場合の夜間における人員配置基準の緩和
テクノロジーの活用によるサービスの質の向上や業務効率化の推進
★介護老人福祉施設等の人員配置基準の見直し
介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)の廃止
介護保険施設におけるリスクマネジメントの強化
基準費用額の見直し
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特別養護老人ホーム(特養)について
特別養護老人ホームとは、介護保険施設の1つで、在宅での生活が困難になった要介護3、要介護4、要介護5の高齢者が入居できる公的な高齢者の住まいです。特別養護老人ホームは法律的には「介護老人福祉施設」となっている介護保険法で定められた介護保険サービスのひとつです。一般的には、特別養護老人ホームは、通称「特養(とくよう)」と呼ばれています。
民間運営の有料老人ホーム等に比べると、料金の基本設定は安くなっており、また所得に応じて「介護保険負担限度額認定証」を交付され、自己負担する金額の減額などもあります。
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2021年介護報酬改定 特別養護老人ホーム(特養)のポイント動画(2020年12月時点)
2021年介護報酬改定「特別養護老人ホーム(特養)」のポイントについてはこちらで動画にまとめています。
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人員配置基準 1ユニット10名定員から15名定員に
ユニット型特養について、現在は1ユニット利用者は10名程度以下となっていますが、1ユニット15名程度以下に緩和する方針です。
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特別養護老人ホームにおける看取りへの対応の充実(看取り介護加算)
特養では最期の時を過ごす施設としての役割が大きく、退所理由の6割は死亡による退所となっています。そのため、看取りケアの機会が多いのですが、看取り対応となってから2割以上は、3ヶ月以上看取りケアを行なった上でお亡くなりになってているというデータが出ています。
現行の看取り介護加算は、死亡する1ヶ月前から算定ができる仕組みになっていますが、1ヶ月以上手厚い介護を行なっている現実があることから、1ヶ月以上の期間の看取りケアについても評価する加算を新設する方針です。
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介護の質の評価・科学的介護(CHASE介護関連データベース)へのデータ提出の加算
特養だけではありませんが、介護保険サービス全体としてエビデンスに基づいた科学的介護を進めており、CHASEという介護関連データベースを本格始動させます。2021年からは特養でも機能訓練や重度化予防などの観点で指定された項目をデータとしてCHASEに提出し、蓄積されたデータからフィードバックを受け科学的に適切な介入についてフィードバックを受けられるように整備していく方針です。特養でも指定された項目をデータとしてCHASEに提出することを評価する加算が新設される方向性です。
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ADL 維持等加算の新設
現在、ADL維持等加算は、通所介護の加算です。通所介護では前回の報酬改定の時からアウトカム(サービス提供による効果や成果)を示すことが求められており、その一つとして利用者全体を対象にADLの評価指標であるBarthel Indexを使ってADLの状態を評価して、一定期間後にADLが改善しているかなどを確認し、一定の成果があった場合にADL維持等加算を算定できることになっています。評価指標をそのまま転用するかはわかりませんが、特養でも効果的なサービス提供をしている施設を評価するためにADL維持等加算を新設する方針です。
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褥瘡マネジメント加算等の見直し
特養の現行の褥瘡マネジメント加算は、褥瘡のリスクがある利用者の状態を評価し、計画的にケアを実施するというプロセスを評価する加算になっています。2021年の改定では、プロセスだけでなくアウトカム(成果)を評価する加算が新設される方針です。具体的には、褥瘡危険因子評価表(DESIGN)で褥瘡の状態をアセスメントし、その後褥瘡の発生がない月に算定できるという加算になる見通しです。
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排せつ支援加算の見直し
排泄支援加算についても、プロセスの評価だけでなくアウトカム(成果)を評価する加算が新設される方針です。
具体的には、排便・排尿の状態が改善していることや、オムツを使用していたがオムツなしに改善することなどの成果がある場合に加算が算定できるなどが議論されています。
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書類への押印・署名など削減
報酬面ではなく運営面についてですが、行政改革の流れや介護業界で課題になっている書類負担を軽減するために、書類への押印の削減を行うことは決定しています。
従来は、ご本人の意見を尊重する観点から、各種の計画書などについてご本人の同意を得た証拠として、以下の記事で解説しているように書面で署名や捺印をいただくということを求めていました。
2021年4月を目途に、署名や捺印以外の方法でご利用者本人の同意を得たことを確認できる手段を認める方針です。具体的に介護現場でどんな方法で同意を確認した証明になるかの具体例はありませんが、タブレット端末などに直接サインする形や、画面上で同意処理を済ませることができる機能などにより同意の確認・書類が簡素化されるかもしれません。
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