リハビリ・機能訓練の運動強度とは?メッツ・目標心拍数・カルボーネン法の計算式まとめ

リハビリ・機能訓練の運動強度とは?メッツ・目標心拍数・カルボーネン法の計算式まとめ
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機能訓練やリハビリテーション、介護予防の運動で「この運動はどのくらいの強さなのか」「この方に適切な運動強度はどれくらいか」を数値で把握するために使われるのが運動強度の指標です。

運動をいつ中止すべきかという中止基準についてはリハビリ・運動の中止基準(アンダーソン・土肥の基準・日本リハビリテーション医学会ガイドライン)で解説しています。本記事では運動強度そのものの考え方と、目標心拍数の求め方を整理します。

リハビリ・機能訓練の中止基準を知る意義

機能訓練指導員・理学療法士・作業療法士など、高齢者の運動・リハビリに関わる人にとって、リスク管理は業務の一つです。運動強度が高すぎれば心臓・血圧・呼吸への負担が大きくなり、低すぎれば訓練効果が得られません。適切な運動強度の目安として「目標心拍数」を活用することで、個人に合ったリハビリ・機能訓練の設計ができます。

バイタルサインの正常値や意味についてはバイタルサイン(脈拍・SpO2・血圧・意識・呼吸・体温)の正常値もあわせてご確認ください。

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運動強度とメッツ(METs)とは

運動強度を表す指標の一つがメッツ(METs・Metabolic Equivalents)です。安静座位を1METとしたときに、ある運動がその何倍のエネルギーを使うかを表した数値です。

運動・活動の例メッツ(MET)の目安
安静座位1.0
ゆっくり歩行(3km/h程度)2.8
普通歩行(4km/h程度)3.0〜3.5
速歩(6km/h程度)5.0
軽いストレッチ2.3
階段昇降3.5〜5.0(負荷による)
自転車エルゴメーター(軽い負荷)3.5〜5.0
軽いレジスタンストレーニング3.0〜5.0

高齢者・要介護者の日常的なリハビリ・機能訓練は、一般的に2〜4METs程度の軽〜中強度の運動が中心になります。高負荷のマシントレーニングや速歩は5MET以上になることがあり、基礎疾患のある方には注意が必要です。

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最大心拍数の求め方

最大心拍数とは、最大努力で運動したときに達する1分間の心拍数の限界値で、年齢が上がるにつれて低下します。

最大心拍数の求め方

<正式版> 最大心拍数 = 208 − 0.7 × 年齢
<簡易版> 最大心拍数 = 220 − 年齢

簡易版の「220−年齢」は覚えやすく現場でよく使われますが、高齢者では正式版(208−0.7×年齢)の方が実際の値に近いとされています。β遮断薬などの服薬により心拍数の反応が変化している場合は、この計算式の適用には注意が必要です。

例として年齢ごとの最大心拍数の目安は以下のとおりです。

年齢最大心拍数の目安(220−年齢)
60歳160拍/分
70歳150拍/分
80歳140拍/分
90歳130拍/分
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カルボーネン法 目標心拍数の求め方

カルボーネン法は、安静時心拍数と最大心拍数から、目的に合った目標心拍数を求める方法です。リハビリ・機能訓練・ダイエット・持久力強化など、目的に応じて運動強度(目標%)を変えることで効率的なトレーニング設計が可能になります。

目標心拍数の求め方(カルボーネン法)

目標心拍数 =(最大心拍数 − 安静時心拍数)× 運動強度 + 安静時心拍数

計算例 80歳・安静時脈拍65拍・目標40%で運動する場合

最大心拍数 = 220 − 80 = 140拍/分
目標心拍数 =(140 − 65)× 0.4 + 65 = 95拍/分

この方の場合、脈拍が95拍/分前後になるような運動強度が40%の目安となります。

目標運動強度の目安(%)

対象目標強度(%)の目安
高齢者・体力の弱い方・リハビリ初期35〜55%
一般的な有酸素運動(健康維持・ダイエット)50〜70%
持久力強化・スポーツトレーニング70〜85%

高齢者・要介護者に対しては35〜55%程度の低〜中強度を目安とし、体力・疾患・服薬状況に応じて個別に調整します。

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運動負荷によりリスクがある方への対策

運動負荷により体調の悪化等のリスクがある方もいます。通所介護施設などでは医師の指示なしで機能訓練として提供しても通常問題ないのですが、高リスク者や内容・治療方針に疑問がある場合には、専門職として医師と事前に運動負荷量や中止基準について相談し、指示をもらっておくことが大切です。

  • 運動負荷の軽減(強度・時間・頻度・回数の調整。低負荷高頻度、休憩を多くとる)
  • 体調の良い時間帯を選択し、安全基準を重視しながら主治医と適宜対応を決める
  • 体位変換(座位・立位など)による状態変化に注意する
  • リラクゼーションに留める(呼吸困難軽減・緩和ケアなど)
  • 意欲が高すぎる場合のやり過ぎ(過負荷)に注意する
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全身状態の適切な観察

  • 診療情報提供書・基本的情報・フェイスシートの情報を詳細に確認。特に既往歴・現病歴・禁忌事項・服薬など
  • 看護記録・今日までの経過・今までの運動歴・リハビリテーション経過を詳細に確認する
  • 病状やバイタルの経時的推移を把握し、主治医・看護師・ケアマネジャーとの情報交換を綿密に行う
  • 訓練中のモニタリングを経時的に実施し、観察を徹底する
  • 急変時の迅速な対応(事前にキーパーソンと本人に急変時の対応方法や連絡先を確認しておく)

機能訓練指導員の医師指示については介護分野の機能訓練指導員のリハビリに医師の指示書は必要か、急変対応については急変の原因と対応方法もご参照ください。

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まとめ

運動強度の指標として「メッツ」と「目標心拍数(カルボーネン法)」を組み合わせることで、個人の体力・疾患・目的に合わせた訓練設計ができます。高齢者・要介護者には35〜55%程度の低〜中強度が目安です。

中止基準(アンダーソン・土肥の基準・日本リハビリテーション医学会ガイドライン)についてはリハビリ・運動の中止基準で詳しく解説しています。高齢者に適した運動の内容・時間・頻度については高齢者に適切な運動方法もあわせてご参照ください。

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