「関節可動域(ROM)」とは何か、肩や肘、股関節・膝関節、足関節など、介護・看護・リハビリテーションの分野でよく使われる部位の関節可動域の評価測定を紹介します。関節可動域(ROM)の測定方法では、姿勢、運動方向ごとに基準線、移動線が定められておりこの角度を求めますが、基準値や参考可動域も示されています。
このページの目次
関節可動域とは
関節可動域とは、各関節を動かくごとができる範囲のことです。関節可動域のことを、英語では「Range of Motion」と呼ばれるため、業界的な略語として「ROM」という言葉が使われています。ROMは、一般的にはアールオーエムという読み方をします。
関節可動域は各関節の機能が正常に発揮できる状態での正常値である参考関節可動域角度が示されていますが、関節周囲を構成している靱帯・関節包・腱・筋肉などに問題があり強固になると、関節可動域に制限を生じます。
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関節可動域(ROM)の測定方法
高齢者の場合と若者では参考可動域は同一とは言い難いですが、各部位・各関節の一般的な関節可動域の測定方法と参考地を紹介します。
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肩甲帯 shoulder girdle
屈曲・伸展
基本軸 両側の肩峰を結ぶ線
移動軸 頭頂と肩峰を結ぶ線
運動方向 | 参考可動域角度 |
屈曲(flextion) | 20° |
伸展(extension) | 20° |
挙上・引き下げ(下制)
基本軸 両側の肩峰を結ぶ線
移動軸 肩峰と肋骨上縁を結ぶ線
注意点 背面から測定する
運動方向 | 参考可動域角度 |
挙上(elevation) | 20° |
引き下げ(下制) | 10° |
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肩 shoulder
前方挙上(屈曲)・後方挙上(伸展)
基本軸 肩峰を通る床への垂直線
移動軸 上腕骨
注意点 前腕は中間位とする。体幹が動かないように固定する。脊柱が前後屈しないように注意する。
運動方向 | 参考可動域角度 |
前方挙上(forward flextion) | 180° |
後方挙上(backward extension) | 50° |
外転(側方挙上)・内転
基本軸 肩峰を通る床への垂直線
移動軸 上腕骨
注意点 体幹の側屈が起こらないように90°以上になったら前腕を回外することを原則とする。
運動方向 | 参考可動域角度 |
外転(abduction) | 180° |
内転(adduction) | 0° |
外旋・内旋
基本軸 肘を通る前額面への垂直線
移動軸 尺骨
注意点 上腕を体幹に接して、肘関節を前方90°に屈曲した肢位で行う。前腕は中間位とする。
運動方向 | 参考可動域角度 |
外旋(external rotation) | 60° |
内旋(internal rotation) | 80° |
水平屈曲・水平伸展
基本軸 肩峰を通る矢状面への垂直線
移動軸 上腕骨
注意点 肩関節を90°外転位とする。
運動方向 | 参考可動域角度 |
水平屈曲(horizontal flexion) | 135° |
水平伸展(horizontal extension) | 30° |
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肘関節 elbow
屈曲・伸展
基本軸 上腕骨
移動軸 橈骨
注意点 前腕は回外位とする。
運動方向 | 参考可動域角度 |
屈曲(flextion) | 145° |
伸展(extension) | 5° |
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前腕 forearm
回内・回外
基本軸 上腕骨
移動軸 手指を伸展した手掌面
注意点 方の回旋が入らないように肘を90°に屈曲する。
運動方向 | 参考可動域角度 |
回内(pronation) | 90° |
回外(supination) | 90° |
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股関節 hip
屈曲・伸展
基本軸 体幹と平行な線
移動軸 大腿骨(大転子と大腿骨外顆の中心を結ぶ線)
注意点 骨盤と脊柱を十分に固定する。屈曲は背臥位・膝屈曲位で測定を行う。伸展は腹臥位・膝伸展位で行う。
運動方向 | 参考可動域角度 |
屈曲(flextion) | 125° |
伸展(extension) | 15° |
外転・内転
基本軸 両側の上前腸骨棘を結ぶ線への垂直線
移動軸 大腿中央線(上前腸骨棘より膝蓋骨中心を結ぶ線)
注意点 背臥位で骨盤を固定する。下肢は外旋しないようにする。内転の場合は、反対側の下肢を屈曲挙上してその下を通して内転させる。
運動方向 | 参考可動域角度 |
外転(abduction) | 45° |
内転(adduction) | 20° |
外旋・内旋
基本軸 膝蓋骨より下した垂直線
移動軸 下腿中央線(膝蓋骨中心より足関節内外果中央を結ぶ線
注意点 背臥位で、股関節と膝関節を90°屈曲位にして行う。骨盤の代償を少なくする。
運動方向 | 参考可動域角度 |
外旋(external rotation) | 45° |
内旋(internal rotation) | 45° |
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膝関節 knee
屈曲・伸展
基本軸 大腿骨
移動軸 腓骨(腓骨頭と外果を結ぶ線)
注意点 屈曲は股関節を屈曲位で行う。
運動方向 | 参考可動域角度 |
屈曲(flextion) | 130° |
伸展(extension) | 0° |
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足関節 ankle
屈曲(底屈)・伸展(背屈)
基本軸 腓骨への垂直線
移動軸 題中足骨
注意点 膝関節を屈曲位で行う。
運動方向 | 参考可動域角度 |
屈曲(flextion) | 45° |
伸展(extension) | 20° |
外がえし・内がえし
基本軸 前額面における下腿軸への垂直線
移動軸 足底面
注意点 膝関節を屈曲位で行う。
運動方向 | 参考可動域角度 |
外がえし(feversion) | 20° |
内がえし(inversion) | 30° |
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頸部 cervical spines
屈曲(前屈)・伸展(後屈)
基本軸 肩峰を通る床への垂直線
移動軸 外耳孔と頭頂を結ぶ線
注意点 頭部体幹の側面で行う。原則として腰掛座位とする
運動方向 | 参考可動域角度 |
屈曲(flextion) | 60° |
伸展(extension) | 50° |
胸腰部 thoracic and lumbar spines
屈曲(前屈)・伸展(後屈)
基本軸 仙骨後面
移動軸 第1胸椎棘突起と第5腰椎棘突起を結ぶ線
注意点 体幹側面より行う。立位、腰掛け座位または側臥位で行う。股関節の運動が入らないように行う。
運動方向 | 参考可動域角度 |
屈曲(flextion) | 45° |
伸展(extension) | 30° |
手指・足趾にも測定方法はある
今回の記事では省略いたしましたが、作業療法士や手の動きのリハビリなどにかかわる場合には、手指の関節可動域の測定方法や参考可動域も定められおり、詳しく測定しておくこともあります。例えば、長期臥床の場合や、片麻痺などの方の評価の際には手指の可動域制限が発生しているか確認し、リハビリの前後で可動域が改善したか、可動域改善により活動や巧緻動作が向上したかなどの効果測定が行われます。
関節可動域が正常値でない場合、動作や姿勢に影響が出る
関節可動域は関節を構成している靱帯・関節包・腱・筋肉などにより狭い状態になることがあります。関節可動域を束知恵する際には、測定する運動方向に制限が出る場合にはどんな目的の動作ができない原因になるのかを考えながら、可動域の最終域での引っ掛かり具合(エンドフィール)を確かめつつ調べていきます。関節可動域制限により姿勢が崩れていたり、姿勢や歩行状態に影響が出ている場合には、関節可動域訓練(ROM-ex)を行い、関節の動かせる範囲を広げていき動作や姿勢の改善を目指してリハビリテーションや看護が提供されます。
関節可動域の測定を何のためにやるのか、どんな測定方法であるのかを覚えて置き、リハビリの効果測定や、動作分析の際の関連性の考察などにお役立てください。
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