
厚生労働省は2026年1月14日に、「介護保険最新情報 Vol.1461(介護事業所等及び介護施設等に対するサービス継続支援事業に関する交付要綱及び実施要綱等について)」という事務連絡で補正予算として組み込んだ介護事業所・介護施設向けの補助金について各都道府県に通知しました。
本事業は、感染症や災害、物価高騰などの影響下でも、介護サービスを休止せず継続できるよう、必要な経費を国と都道府県が補助するものです。令和7年度となっているので今年度中、つまり2026年3月までに各都道府県から申請手続きについてのお知らせなどがあると思います。
令和7年度末に向けた新たな補助金となる本事業について、対象となる経費や補助上限額、申請の注意点を解説します。
このページの目次
事業の目的
令和7年度介護保険事業費補助金(サービス継続支援事業)は、以下の事態において介護サービスを継続するために要した「かかり増し経費」や「備え」を支援することを目的としています。
- 感染症の流行(新型コロナ、インフルエンザ等)
- 自然災害の発生(地震、風水害等)
- 気候変動の影響(猛暑、寒波等)
- 物価高騰(特に施設における食材料費)
支援の対象と補助内容(2つの柱)
この事業は大きく「在宅・通所系」と「施設・居住系」の2つに分かれています。
① 介護事業所等に対する支援(訪問・通所・居宅介護支援など)
在宅サービスを提供する事業所等が、災害や気候変動、感染症発生時にサービスを継続するために必要な経費が補助対象です。
主な補助対象経費
- 衛生用品 感染対策のためのマスク、手袋、消毒液、ガウンなどの購入費。
- 災害・気候変動対策備品 災害用備蓄(水・食料)、ポータブル発電機、猛暑対策のスポットクーラー、寒波対策の暖房機器など。
- サービス継続経費 災害時の送迎・訪問継続にかかる燃料費、有料道路代など。
- 人件費 応援職員の旅費・宿泊費、緊急時の割増賃金など。
②介護施設等に対する支援(特養・老健・グループホームなど)
入所者の生活を支える施設等に対し、特に影響の大きい「食材料費」の高騰対策や、災害時の備えを重点的に支援。
主な補助対象経費
- 食材料費等 物価高騰に伴う食材費の増加分への支援。
- 災害・感染症対策 衛生用品、災害用備蓄(水・食料)、発電機など。
補助上限額(基準単価)の目安
補助額は、設定された「基準単価」と「実支出額」を比較し、低い方の額が交付されます。
| サービス種別 | 区分・条件 | 補助額 |
|---|---|---|
| 訪問介護事業所 | 集合住宅併設型(同一建物減算の算定がある事業所) | 20万円 |
| 上記以外であって、1月あたり延べ訪問回数200回以下 | 30万円 | |
| 上記以外であって、1月あたり延べ訪問回数201回以上2,000回以下 | 40万円 | |
| 上記以外であって、1月あたり延べ訪問回数2,001回以上 | 50万円 | |
| 訪問入浴介護事業所 | ― | 20万円 |
| 訪問看護事業所 | ― | 20万円 |
| 訪問リハビリテーション事業所 | ― | 20万円 |
| 通所介護事業所 | 1月あたり延べ利用者数300人以下 | 20万円 |
| 1月あたり延べ利用者数301人以上600人以下 | 30万円 | |
| 1月あたり延べ利用者数601人以上 | 40万円 | |
| 通所リハビリテーション事業所 | ― | 20万円 |
| 特定施設入居者生活介護
(養護老人ホーム、軽費老人ホームを除く) |
― | 20万円 |
| 福祉用具貸与事業所 | ― | 20万円 |
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所 | ― | 20万円 |
| 夜間対応型訪問介護事業所 | ― | 20万円 |
| 地域密着型通所介護事業所 | ― | 20万円 |
| 認知症対応型通所介護事業所 | ― | 20万円 |
| 小規模多機能型居宅介護事業所 | ― | 20万円 |
| 認知症対応型共同生活介護事業所 | ― | 20万円 |
| 地域密着型特定施設入居者生活介護
(養護老人ホーム、軽費老人ホームを除く) |
― | 20万円 |
| 看護小規模多機能型居宅介護事業所 | ― | 20万円 |
| 居宅介護支援事業所 | ― | 20万円 |
| 介護老人福祉施設 | ― | 6千円×定員 |
| 介護老人保健施設 | ― | 6千円×定員 |
| 介護医療院 | ― | 6千円×定員 |
| 地域密着型介護老人福祉施設 | ― | 6千円×定員 |
| 短期入所生活介護事業所 | ― | 6千円×定員 |
| 養護老人ホーム | ― | 6千円×定員 |
| 軽費老人ホーム | ― | 6千円×定員 |
在宅・通所系事業所
事業所の規模やサービス種別に応じて設定されています。
基本額
- 1事業所あたり 20万円
規模による加算
- 訪問介護等は、訪問回数に応じて 30万円~50万円
- 通所介護等は、利用者数に応じて 30万円~40万円
- 事業所規模は、令和7年4月サービス提供分から9月サービス提供分までの平均により判断
- 災害備蓄等の特例として、上記とは別枠で設定される場合あり(例:30万円程度)
施設・居住系事業所
定員数に応じた単価設定となっています。
計算式
- 定員1人あたり 約2.4万円
- 介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、地域密着型介護老人福祉施設、短期入所生活介護事業所、養護老人ホーム及び軽費老人ホームの定員数は、令和7年4月1日時点の定員により判断
- 内訳目安 食材料費支援 定員1名あたり1.8万円 + 災害備蓄等 定員1名あたり0.6万円
- (例)定員50名の特養の場合:2.4万円 × 50名 = 120万円 が上限目安
申請スケジュールと手続き
令和7年度内(2025年4月1日~2026年3月31日)に発生・支出した経費が対象となります。すでに支出済みのものも遡って請求可能です。申請窓口は各都道府県(または政令指定都市・中核市)となります。
2026年1月15日の資料の中では具体的な申請スケジュールについては示されておらず、各都道府県(または政令指定都市・中核市)が実施主体となるため、追って年度内に各自治体から申請についての詳細が示されるものと考えられます。
まとめ
日常的に使用する消耗品ではなく、「感染対策として追加購入したもの」や「災害備蓄用」であることが求められます。購入目的を明確にしておきましょう。要綱には明記されてはいませんが、令和7年度予算事業であるため、原則として2025年4月1日以降の経費が対象となるものと考えられます。2025年4月以降の領収書を見直し、対象になりそうな経費(衛生用品、備蓄品、スポットクーラー等)をピックアップしておきましょう。申請様式や細かな対象品目は都道府県ごとに異なるローカルルールが存在します。
介護事業者としては年度末で忙しい中、「令和7年度 介護従事者全般に月1万円、半年分の賃上げ措置」の申請も同じ時期に重なります。
管轄自治体のWebサイトをこまめにチェックしてください。
