認知症の方の暴言や暴力に対して介護職員の接し方や対処法

 

私は、介護職員歴10年程の介護福祉士です。介護職員を何年もしていると、読者の皆さんもそうではないかと思いますが、認知症の方の暴言や暴力に関する場面に遭遇することがありますね。私は実際に腕を抓るなどに留まらず、杖で前頭部を殴られて受診した事もあります。

今思えば、認知症の理解が足らず認知症の人のせいにしてしまっていた事が恥ずかしいです。
今回は、認知症の方の暴言や暴力について一度立ち止まって考えて頂きたいと思います。暴言や暴力のみならず、認知症の理解から認知症の方に対する接し方を変えることに繋がるからです。

認知症の方に比較的見やすい症状ではあるが、行動心理症状

認知症には、大きく分けると中核症状と周辺症状(行動心理症状)があります。中核症状は脳の変性が直接的に起因して発現する症状で、行動心理症状は中核症状に環境や心理的な要因が加わって発現する症状ですね。わざわざサイトを訪問して記事を読んで下さっている程の介護に関わる方であれば、何度も見聞きしてきた言葉だと思います。

短期記憶障害・見当識障害・失認・失行・失語・実行機能障害・幻視・幻聴・パーキンソン症状・間欠性跛行・常同行動などこれら以外にも、認知症も原因となる症状はありますが、暴言と暴力は認知症の中核症状ではありません。

何故暴言や暴力が出たのか、その原因

暴言や暴力が出やすい状況は大前提に前頭前野に萎縮・変性が認められるかどうか内外の環境が整備されているかどうか介護職の認知症の方に対する意識で大きく左右されます。

前頭前野に萎縮・変性

前頭前野は規律社会性や衝動などに責任を負っている部位になっており、萎縮・変性が及ぶと感情の噴出が抑えにくく、もしくは抑えられなくなる結果、暴言や暴力に繋がりやすいというのが理由です。

周囲の環境の状態と本人の気持ち

内外の環境と介護職の認知症の方に対する意識は、本人の中で不快な感情を植え付けるには十分な理由であり、暴言や暴力に繋げる動機にもなり得ます。

介護職の認知症の方に対する意識

介護職の認知症の方に対する意識は支援の中で、態度・仕草・言葉の内容や声のトーンに現れます。認知症の方はこれらを敏感に受け取っています。
そして不快な感情として処理された場合は、積み重ねると特定の介護職の場合に拒否が見られるなどの現象になって現れてきます。

認知症だからどんなことを考えていても分からないだろうと思っていると、ご本人は不快な感情は蓄積し、どんどん暴言や暴力に繋がりやすい状況を自ら招いているのです。

認知症で記憶障害があっても不快な感情は想起されやすい

短期記憶障害があるのに?なんで不快な感情やその相手のことは覚えてるの??

と思われたかも知れません。短期記憶を処理する海馬のすぐそばに、扁桃体という部位があります。人はこの扁桃体で快と不快を処理しています。

扁桃体が海馬のすぐそばにあるので、何があったかは分からないけれども、この人は不快な感情を想起させるという状況になるのです。

環境整備と暴言や暴力の引き金 妄想だけど妄想でない

内外の環境は、例えばバタバタしているなどで不安や焦燥を感じた時に、不適切な関わりが重なるなどして、暴言や暴力の引き金になります。環境整備だけで完全に暴言や暴力を防げるとは言いません。しかし、環境整備で防げる暴言や暴力があるのも事実ですから、暴言や暴力を事後の対処ではなく未然に防ぎたいのであれば、引き金になり得る要因は除去しておきましょう。

不適切な関わりや不安や焦燥を感じさせる環境では、認知症の方にとっていらぬ妄想を抱かしてしまうかもしれません。わからないという不安といら立ちの中発生している不快な感情そのものは妄想ではなく事実です。

ちなみに私が杖で殴られたケースでは、不適切な関り(暴言や暴力の引き金)とは私が認知症の人を引き留めたからです。

性格に起因することもあるが、本人の中では防衛反応の結果の暴力や暴言も

上に書いている事の共通点について、お気付きになりましたか?
本人の中で本能若しくは、防衛反応の結果が暴力や暴言になっているという事です。勿論本人の性格に起因するケースもゼロではありませんが、比較すると防衛反応の方が余程多くの割合を占めるのが経験上の所見です。

枠を外す 常識や自分の考えの外に答えを求める考え方

長々と認知症に関することや脳に関して等についてお話ししてきたのは、この枠を外すという事をより理解しやすい状況下でお伝えしたかったからです。
内容だけ一人歩きしてしまうとただの精神論で終わってしまいかねないので。

枠を外すとは、常識や自分の考えの外に答えを求める考え方です。
目の前で起こった事象を異なる人が見た時にAさんとBさんの感じ方が異なることがありますね。これは常識とか自分の考え方のフィルターを通して物事を判断しているからです。
ですがこれでは押し付けになってしまうこともあるのと、答えを出せないことがあります。そこで、常識や自分の考え方の外に答えを求めることで、暴言や暴力に限らず行動心理症状を防ぐ手立てを求めやすくするのです。

支援の姿勢 信頼関係やメッセージをよく観察

認知症の方とのコミュニケーションでは、目線を合わせているか・自分は目の前の要介護者と信頼関係を築けているか、それ以前に受容されているか・体調不良ではないか・声のトーン等は適切か・相手から言葉以外で発せられているメッセージはないのか等をよく観察します。

上に書いている「枠を外す」ことと、この支援の姿勢を合わせると暴言や暴力が決して認知症の方が周りを攻撃したいから発したのではない。ということに気づくと思います。
何度も書きますが、暴言や暴力は防衛反応の結果であることの方が圧倒的に多いです。ですから、上記の考え方を理解して是非とも環境を整備して下さい。

認知症の方の暴言・暴力を施設・事業所・家族が無理しすぎないための対処法

1人でも暴言や暴力で後ろ指を指される認知症の方が減るのを願っています。ただし、介護のプロだからと言い、施設や事業所内で認知症ケアの技術だけですべての認知症対応を行うことは困難です。どんなに注意深く観察したり、枠を外しておおらかに考えて接しても暴力や暴言が収まらないことも当然あります。暴力や暴言は介護職員の不適切なかかわりが引き金になることはありますが、一方的に暴言や暴力を受けて介護職員が我慢するという構図は望ましくありません。もちろん、怪我をすれば傷害案件になることもありますし、怪我をすれば労災扱いですのでしっかりと上司に報告をしましょう。

認知症の周辺症状と抑肝散などの内服薬

抑肝散(ヨクカンサン)は、ツムラでは54番(黄色のイメージの漢方)になります。抑肝散はイライラ・不眠に効く漢方として高齢の患者様にはしばしば使われていると思います。
1日に1~3回服用されている方や寝る前に服用してる方もいます。服用のタイミングに関しては、漢方なので、食前や食間のパターンが多い ですが、食後でもそこまで大きく効果・副作用共に大差は無いです。

重度認知症患者デイケアでのリハビリと認知症疾患医療センターへの入院や治療

重度認知症の方が生活を送ることは本人、家族、ご近所などにいろいろな困難を伴います。認知症で要介護になり、一般的なデイサービスなどに通うだけでなく、専門的な支援方法や適切なリハビリ機関を紹介してくれる、「認知症ケアの最後の砦」となる機関があります。

重度認知症患者デイケアは医療保険適用のリハビリ施設です。重度認知症でいわゆる困難ケースと言われる方の相談は認知症疾患医療センターが受け持ちます。

具体的には「認知症高齢者の日常生活度」が ランクM(著しい精神症状や周辺症状あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする状態)に該当する方が対象とされます。

認知症カフェ

認知症カフェとは、認知症の人、家族、医療職、介護職、地域の人などが誰でも気軽に参加でき、お茶やお菓子を囲んで歓談や相談ができる場です。

認知症カフェの目的は、認知症の人やその家族が地域の人、医療職、介護職、認知症サポーターなどの専門職と情報を共有し、お互いを理解し合い、認知症の人の介護者の負担軽減や認知症についての正しい知識の普及、実体の共有を図ることにより、認知症の人や家族を支える地域のつながりを深めていきます。

 

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