リンパマッサージに役立つ、リンパ管・静脈血管と組織液の話

リンパマッサージに役立つ、リンパ管・静脈血管と組織液の話
広告

リンパ節・リンパ管、静脈血管と組織液の関係性について知り、浮腫みについて考えてみましょう。これを知ればリンパマッサージや静脈マッサージなどにも効果的になります。高齢者や女性にとって割と身近な身体の変化として「浮腫」があります。

リンパとリンパ球とは

リンパとは

リンパは血管から組織に漏れ出た血液の成分(組織液)が、リンパ管で吸収されたものです。リンパ管の中を流れる液体は「リンパ液」と呼ばれ、最終的には鎖骨のあたりで静脈に合流して血液に戻っていきます。心臓のようなポンプを持たない点が血液との大きな違いで、主に筋肉の動きによってゆっくりと流れているのが特徴です。

リンパ球とは

リンパ球(Lymphocyte)は、白血球の一種で免疫能を担当する血液細胞で、リンパ節に多く存在します。
リンパ球には、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)、B細胞(Bリンパ球)、T細胞(Tリンパ球)の3種類あります。それぞれ役割が異なり、NK細胞はウイルス感染細胞やがん細胞を攻撃し、B細胞は抗体を作り、T細胞は感染細胞を直接攻撃したり免疫全体を調整したりと、体を守る免疫システムの中心的な存在です。

広告

リンパ管・静脈と組織液、リンパ管・リンパ節の関係

浮腫と組織液、リンパ管と細静脈

毛細血管まで運ばれてきた血液は、細胞に栄養供給して、老廃物を溶かして「組織液」になります。
血管と細胞は直接つながっているわけではなく、細胞が組織液やコラーゲンに浸っているような状態で存在しています。

組織液では、水にスムーズに溶かせた成分(組織液の8~9割)は、静脈に吸収されて戻っていきます
残りの1~2割の組織液(タンパク質、ウイルス等の異物、細胞の残骸等を含む)が毛細リンパ管に吸収されていきます

つまり、ウイルスなどの異物が組織液に浮いていたとしても、心臓まで直接戻っていく毛細血管の静脈血管の壁では基本的には吸収しない仕組みになっています。

リンパ管にはタンパク質、ウイルス等の異物、細胞の残骸等が吸収されますが、リンパ管の適所に「リンパ節」があり、そこにはリンパ球などの免疫細胞があり免疫機能を司っています。リンパ節は、首・脇の下・足の付け根(鼠径部)などに多く集まっていて、リンパ液をろ過しながら、異物や病原体をここでチェック・処理する「関所」のような役割を持っています。風邪をひいたときに首のリンパ節が腫れるのは、ここで免疫が働いているサインです。

この「組織液の8〜9割は静脈へ、1〜2割はリンパ管へ」という流れのバランスが、むくみを理解するうえでとても大切なポイントになります。組織液と血管・リンパ管の水分バランスの仕組みについては浮腫とは むくみの種類と原因ごとの症状、評価スケールでも詳しく解説しています。

広告

リンパ流の低下が原因の「リンパ浮腫」のメカニズム

血行障害やリンパ流の停滞により組織の代謝が低下すると、その付近の集合リンパ管の壁にある平滑筋細胞の活性が低下します。
平滑筋は少しずつリンパ液を運ぶ機能がありますが、組織の代謝が落ちるとその機能も弱まり、リンパの還流が低下します。
この時にリンパ管に炎症が起きたりして、さらにリンパ管の壁が厚くなって通り道が狭くなることや封鎖(閉塞)してしまうこともあります。
この状態だと、組織間にある組織液は吸収されずに残ってしまいます。この状態がリンパ浮腫です。

リンパ浮腫は、特に乳がんや子宮がん・卵巣がんなどの手術でリンパ節を切除(郭清)した後や、放射線治療の後に、腕や脚に生じることがよく知られています。リンパ節という「関所」がなくなったり機能が落ちたりすることで、その先のリンパ液の流れ道が滞ってしまうためです。一度発症すると完全に治すことが難しく、慢性化すると皮膚が硬く厚くなる象皮症と呼ばれる状態に進行することもあるため、早期からのケアと継続的な管理が重要になります。

広告

リンパマッサージにはどんな効果がある?

リンパ管・リンパ節の仕組みについて紹介しましたが、血行障害やリンパ流の停滞により組織の代謝が低下すると、その付近の集合リンパ管の壁にある平滑筋細胞の活性が低下し、本来運ばれるべき老廃物やタンパク質、異物などが滞ってしまう状態になります。適切なリンパマッサージにより体の老廃物や余分な水分の排出を促すと、体の末端の代謝が改善し、老廃物も流れていきますし、むくみの解消が期待できます。

リンパ管・静脈と組織液の話で紹介しましたが、組織液の多くは静脈に吸収されるのでむくみという点でいうと静脈還流の影響も大きいです。むくみの原因はリンパだけが原因ではありませんが、リンパマッサージという名前がついていますが、リンパマッサージでは、リンパ管やリンパ節だけをピンポイントで刺激することは困難ですので、静脈血管や細胞への還流にも刺激を与えるだけではない効果が期待できます。

効果的なリンパマッサージの考え方

リンパの流れの仕組みを踏まえると、リンパマッサージを効果的に行うためのポイントが見えてきます。

  • 体の中心に近い部分から始める 足先からゴシゴシ揉みたくなりますが、まず鼠径部(足の付け根)や脇の下など、体の中心に近いリンパ節周辺の流れをよくしてから末端に向かうと、リンパ液が流れ込むスペースができて効果的だといわれます
  • 強く揉まず、やさしくさする程度に リンパ管は皮膚のすぐ下の浅い部分を通っているため、強い力で揉むより、皮膚を軽くさする・なでるくらいの優しい圧の方が適しているとされます
  • 末端から中枢へ、流す方向を意識する 手足の先から心臓に向かう方向(末端から中枢)に向けて、リンパ液・静脈血を戻していくイメージで行います
  • 入浴後など体が温まっているときに 血流・リンパの流れがよくなっているタイミングで行うと、より流れを促しやすくなります

ただし、リンパ浮腫の治療として行う「医療リンパドレナージ」は専門的な技術であり、自己流のマッサージでかえって悪化させてしまうこともあります。がんの術後のリンパ浮腫などがある場合は、必ず医師や専門のセラピストの指導のもとで行ってください。また、強くさすることは皮膚を傷つけたり、炎症や血栓があるときには逆効果になることもあるため、体調や持病に応じて慎重に行うことが大切です。むくみが片足だけ急に強くなった、痛みや熱感がある、といった場合は深部静脈血栓症などの可能性もあるので、マッサージの前に医療職に相談しましょう。

むくみに対する挙上・圧迫・運動療法など、リンパマッサージ以外の対策方法については浮腫(むくみ)の対策方法とリスク管理 観察・評価・治療のまとめもあわせてご覧ください。筋肉を動かすこと(筋ポンプ作用)も、リンパと静脈の流れを促すうえでマッサージと同じくらい重要です。

広告

むくみ・浮腫とは

長時間にわたって座り続けていたり、循環器系の疾患があったりすると、組織液がリンパ管に吸収されにくい状態になります。
組織液の吸収が滞ると、体内の老廃物等がスムーズに回収されないまま皮下の組織間に滞ってしまいます。これが「むくみ」です。座りっぱなしによる足のむくみはこの典型例です。むくみの種類や仕組みについて詳しくはこちらの記事で紹介しています。

広告

研究がすすみ、免疫の鍵として注目されるリンパ

小学校の理科では、動脈と静脈があるということを学び、リンパの話は出てきません。
近年、リンパに免疫の大きな役割があるということが話題になり、「NK細胞を増やす!」や、「リンパの流れをよくすると健康になる!」といった健康法がいろいろ提唱されだしました。

こうした健康法のすべてに十分な科学的根拠があるわけではありませんが、リンパが免疫や老廃物の回収という大切な役割を担っていることは確かです。リンパの流れは筋肉の動きに支えられているので、結局のところ、適度に体を動かすこと・長時間同じ姿勢を避けることが、リンパにとっても静脈にとっても一番自然な「流れをよくする方法」と言えるかもしれませんね。

今回は浅く広くになりましたが、リンパ・静脈・浮腫のイメージが湧きましたら嬉しく思います。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします
あなたへのおすすめ