健康寿命とは 平均寿命との違い

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平均寿命を延ばす事だけでなく健康寿命を伸ばし、高齢になっても元気に日常生活を自立して生活できることが注目されています。日本は世界の中でも平均寿命が長く、 医療の水準も高いので介護や医療が必要な状態でも長く生活ができる国です。今回この記事では、WHOが定義した健康寿命の概要から、2019年の日本と世界の平均寿命・健康寿命を紹介し比較した上で、健康寿命を伸ばすために大切なことについて考えていきたいと思います。

健康寿命とは

健康寿命とは、簡単に言うと「老化や病気などで不自由な状態にならずに生活できる期間」のことです。2000年にWHO(世界保健機関)が「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義し、ただ寿命を延ばすだけでなく、いかに健康に生活できる期間を延ばすかに関心が高まっています。厚生労働省では3年ごとに健康寿命のデータを発表しています。

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健康寿命の定義

WHOの健康寿命の定義

WHO(世界保健機関)は健康寿命のことを「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義しています。

健康寿命を英語で言うと

健康寿命は、英語で「Healthy life expectancy (HALE) 」と言います。この英語の表現はWHO等でも使われています。

日本の厚生労働省の生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット では、健康寿命のことを英語で「healthy longevity」と表しています。

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日本の健康寿命 男女別

日本の男性の健康寿命は72.68歳

2021年12月20日に厚生労働省が公表した健康日本 21(第二次)推進専門委員会によると、2019年の男性の健康寿命は72.68歳、平均寿命は81.41歳となっており、8.73年は老化や病気などで不自由な状態があるということが示されています

2016年男性の健康寿命(72.14歳)
2016年男性の平均寿命(80.98歳)
  
2019年男性の健康寿命(72.68歳)
2019年男性の平均寿命(81.41歳)

 

2016年健康寿命と比べて、2019年では男性は0.54年健康寿命が延伸していました。

日本の女性の健康寿命は75.38歳

2019年の女性の健康寿命は75.38歳、平均寿命は87.45歳となっており、12.06年は老化や病気などで不自由な状態があるということが示されています

2016年女性の健康寿命(74.79歳)
2016年女性の平均寿命(87.14歳)

2019年女性の健康寿命(75.38歳)
2019年女性の平均寿命(87.45歳)

2016年健康寿命と比べて、2019年では女性は0.59年健康寿命が延伸していました

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日本と世界の健康寿命ランキング(2016年版)

健康寿命世界ランキング表(1位~30位)

2016年時点での世界の健康寿命ランキングの一部を抜粋すると、

第1位はシンガポール健康寿命76.2歳(平均寿命82.9歳)

第2位は日本で健康寿命74.8歳(平均寿命84.2歳)

第3位はスペインで健康寿命73.8歳(平均寿命83.1歳)

第4位はスウェーデンで健康寿命73.5歳(平均寿命83.3歳) となっています。

 

データ元:Life expectancy and Healthy life expectancy Data by country, Global Health Observatory data repository, WHO, Last updated: 2018-04-06

日本と世界の健康寿命・平均寿命の比較

日本では、胃ろうや人工呼吸器などを過度に使う延命治療が問題視されていますが、 2016年時点の世界の健康寿命のランキングを見てみると、どの国も健康寿命と平均寿命に9歳~10歳くらいの差があり、日本が特別不健康な期間が長く生存しているというわけではなさそうな結果となっています。医療福祉が進んでおりモデルとなっている北欧諸国等も同等に不健康な期間を経て亡くなる状態であり、世界的にも健康寿命を延ばしていくことは課題となっていることが示唆されます。

平均寿命と健康寿命の差が抱える課題・問題

日本は平均寿命と健康寿命の差が9.4年あります。日本では健康寿命が短く老後の介護負担が大きいという話も耳にすることがあると思いますが、健康でない期間が9.4年という数字は世界的に見ても特別高いわけではありません。日本の人口分布として、若者が少なく高齢者が多い状態、高齢者に対する福祉や医療が過剰になっていること、核家族化や地域の希薄化で高齢者が孤独になったりフレイルが進みやすい状態になっているなどの改題・問題が重なり、日本の平均寿命の問題は重大な問題として取り扱われているのです。

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注目される健康寿命の延伸の取り組み

健康寿命を延ばすための運動

健康寿命を伸ばすために運動が大切だということは想像はできると思いますが、高齢になっても運動が必要なわけには主に2つあります。1つは運動を行うことで生活習慣病起こすリスクが下がるからです。 もう1つは、 活動の低下や意欲の低下の原因となる転倒や骨折を防ぐことができるためです。
これらの2つの要因を考える時、健康寿命を伸ばすために効果的な運動としては、有酸素運動筋肉に負荷をかけるトレーニングです。
どちらも気軽な運動から始めると良いと思います。
有酸素運動は、軽い負荷の運動を20分以上、週3回程度以上行うというのが理想的で、例としては、ウォーキングや水泳などがあります。
筋肉に負荷をかけるトレーニングは、 自分の体重や重りなどを使って行うトレーニングで、例としてはスクワットや立った姿勢での踵上げ運動などがあります。

健康寿命を延ばすための食事・栄養

健康寿命を伸ばすためには食事と栄養も大切です。 食事や栄養を考える時、食事の摂りすぎの場合(肥満)と、栄養が少なすぎる場合(低栄養)があります。高齢になって食事を摂りすぎていると、足の関節に負担がかかり痛みなどで動くのが苦痛になることや、 脳血管障害や心臓病のリスクが上がるなどの留意点があります。
現在高齢者の分野で特に問題になっているのは低栄養で、 閉じこもりや一人でのご飯などで食が進まなかったり、口の機能が弱って食べることができない場合などが問題視されています

健康寿命を延伸するために「フレイル(虚弱状態)」を防ぐ

ここまで紹介した、加齢に伴う運動不足や食欲の低下・低栄養などが重なり、そのまま生活を続けていると、要介護の状態に陥る可能性が高いと言われています。

加齢に伴って、心身の活力が低下して、生活に支障をきたしたり、その後要介護になる可能性が高まった状態のことを「フレイル(虚弱状態)」と呼びます。

厚生労働省としても、研究の結果、老化に伴って生じる老年症候群と合わせ、 不適切な運動と食事、そして社会的孤立などが重なると要介護状態になりやすいということがわかってきており、この「フレイル」の状態に気付き、適切に対応していくことが健康寿命を延伸することにつながるという方針のもといろいろな政策が進められています。

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健康寿命の算出方法

健康寿命の算出方法は、生存期間を健康な期間と不健康な期間に分けて、一人一人の健康な期間の平均を求めると平均寿命が指標となります。 ただし、この情報を正確に得るためには100年もの期間追跡観察してデータを集めることが必要になるため、生命表や質問などを用いて人口等と調整をするなど複雑な計算が行われています。

計算方法や研究については厚生労働科学研究 健康寿命のページ(藤田医科大学医学部衛生学講座教授の橋本修二先生をグループ代表とする)にて詳しくまとめられており、勉強になります。

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健康寿命に関連する記事

健康とは

健康の定義としては世界保健機構(以下:WHO)の憲章では「健康とは、完全な 肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。 到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである」と定義されています。

詳しくは以下の記事で紹介しています。

高齢化率とは

2013年に日本の高齢化率は25%を超えました。2050年の高齢化率(65歳以上/日本の総人口の割合)は40%近くになるともいわれます。詳しくは以下の記事で紹介しています。

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