排泄予測支援機器とは 介護保険適用となる排泄予想デバイスを解説
 

排泄予測支援機器・排泄予想デバイスを知っていますか?

2022年の4月から「排泄予測支援機器」が介護保険の特定福祉用具販売の対象品目に加わります。介護保険の特定福祉用具販売で購入する場合の対象・注意点、使用方法、効果、課題や今後の展望について紹介します。

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排泄予測支援機器・排泄予想デバイスとは

排泄予測支援機器とは「膀胱内の状態を感知し、尿量を推定するものであって、排尿の機会を居宅要介護者等又はその介護を行う者に通知するもの」と定義する方向で厚生労働省内で議論が進んでいます。「排泄予測デバイス DFree」が特に注目されています。

排泄予測支援機器・排泄予想デバイスを介護保険の特定福祉用具販売で購入する場合の対象

排泄予測支援機器は、自立排泄に悩みを抱える要介護者を対象に、膀胱内の尿の溜まり具合を超音波で測定して可視化するとともに、排尿タイミングをお知らせすることで自立排泄をサポートする機器です。介護保険の特定福祉用具販売は、要介護の認定を受けた方が対象となります。

介護保険の特定福祉用具販売で購入する時のルール・注意点

特定福祉用具は都道府県の指定を受けている事業者で購入する必要があります。指定を受けていない場合には介護保険の対象とならないため、全額自己負担となります。また、10万円を超えた額については、全額自己負担となります。また、購入できるのは同一年度内で1品目あたり原則1回までとなっています。その他の特定福祉用具販売のルールについては以下の記事でご確認ください。

利用対象者

①排泄タイミングが不明確で、自立排泄が困難な者 →排泄機能が残存しているにもかかわらず、尿意や認知機能の低下等により排泄のタイミングが不明確な者。

②トイレまでの移動が難しく、自立排泄が困難な者 →ADL動作の低下等により、自力ではトイレに着くまで時間がかかる、自力でトイレに行けない等により、トイレでの排尿自立が困難となっている者。

適用が困難な者(案)

  • 座位が困難な方、トイレへの誘導が困難である
  • 計測が困難な者

体型

  • 下腹部の脂肪が厚い者
  • 下腹部の⽪膚が極度に弛んでいる者
  • 下腹部に⼤きな⼿術痕のある者
  • その他、肌の⾚み・かぶれが強い者

姿勢

  • 常時前傾姿勢で座る者 ・常時側臥位で就寝する者

その他

  • 認知症等による機器の装着拒否や取り外しがある場合

※⽇中、活動する者(歩行等)であっても、常時、上記の姿勢でない限りは超音波による計測は可能。

排泄介助・トイレ誘導を行う介助者の負担軽減効果

⽇常生活の中でアラートを発する機器を持つことや都度のトイレ誘導の⼿間はあるものの、無駄なトイレ誘導の負担が軽減される可能性があります。

排泄予測支援機器の使用方法

  • 本人が装着した機器で尿量を把握し、事前に設定した尿量を感知して排泄のタイミングを知らせることで、適時にトイレに移動し排泄できます。
  • 介助者(家族)が尿量を感知した通知により、排泄の声かけやトイレ誘導を行い、本人の排泄を促します。

排泄予測支援機器の効果エビデンス 失禁数、失禁率及びQOLについての実証

排泄予測支援機器を介護保険適用の特定福祉用具販売に位置づけるために行われた実証実験では、以下のような実験が行われ非装着時と装着時のQOLの比較で、全ての事例においてQOL向上が見られました。

実証によって得られたエビデンスデータについては、認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)におけるものであるため、得られた効果に懸念を示す意見もある一方、在宅の利用環境を想定し、実証で明らかになった結果(効果、利用者像、使用方法)等として適切とする意見が多数でした。

失禁数、失禁率及びQOLについての実証

【対象】
・認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)の利用者14名(2名除外:計測不備、途中使用中止)
・失禁を有し、トイレ誘導が可能でありトイレ誘導を実施している、要介護者
※うち2名が排泄疾患の既往あり(過活動膀胱)。
※被験者の除外基準:適応のない者、記録・計測に支障のある被験者等

【方法】
・7⽇間、トイレ誘導が可能な⽇中(朝⾷前7時前後から⼣⾷後19時前後)に本機器を装着。
・装着中は、職員が本機器の通知によるトイレ誘導を実施。装着前と装着中との排泄記録(トイレ排尿・失禁等)を比較する検証を行った。
・実証にあたっては、介護者に対し、本機器の使用方法について、15分程度の説明を行った。
・装着前後に、尿失禁症状・QOL評価質問票(ICIQ-SF)を職員が回答し、本人または家族の視点からQOLがどのように変化したかを点数式で記入した。

【記録・計測した排泄記録データ】
・1⽇あたりのトイレでの排尿数、失禁数、誤報率

【結果】
・12名について、1⽇あたり平均失禁回数が32.0%改善
1.45回/⽇→0.99回/⽇(▲0.46回)
・12名について、平均失禁率が32.5%改善
25.0%→16.9%(▲8.1%)
・非装着時と装着時の失禁数の比較:失禁数に有意な減少が
見られた(P<0.01Wilcoxon符号付順位和検定)
・通知の平均誤報率は、3.8%
・非装着時と装着時のQOLの比較:全ての事例においてQOL向上が見られた。
・本検証において、排尿の通知によりトイレ誘導を必要とする対象像について有効性が示された。

排泄予測支援機器の特定福祉用具販売の種目追加の課題

介護保険の対象となり実際の使用に当たっての利用者向け説明書を充実は必要です。また、今後実用化され介護保険適用で普及や進むにあたっては、更なる補完が必要と考えられています。

  • 居宅における利用者や住宅環境を念頭においた具体的な使用方法、本人の負担軽減効果、適用が困難な者
  •  福祉用具販売事業所(福祉用具専門相談員)に対する情報提供、技術支援、サービス提供体制(特に対象者の判断方法、リスクアセスメントの対応、ヒヤリハット情報の収集・提供 等)
  •  身体状況の変化によって利用を中止すべき状態等の注意喚起、使用停止の判断をする者

福祉用具専門相談員・ケアマネジャー等の連携、十分な説明が大切

排泄予測支援機器が新規種目となることから、給付対象とする際には、在宅でこのような機器を適切かつ安全な使用を継続 できるようにするため、福祉用具販売事業者(福祉用具専門相談員)や介助者などが選択・使用等についての判断に必要な事項を分かりやすく明示すること、福祉用具販売事業者等においても情報収集の上、関係者等との連携を推進する必要があります。排尿の問題はいろいろあり、ウロバッグで採尿している場合や、自己導尿をしなければならないケースなどがありますが、排泄を予測するという画期的な機器ですので、条件にマッチする方にとってはQOL向上や介助量軽減に大きく寄与すると思います。

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