平成30年1月26日(金)に開催された 第158回社会保障審議会介護給付費分科会資料にて、平成30年度介護報酬改定(2018年4月からの適用となる新たな報酬体系)の基本単位数や加算等の算定要件の具体的内容が公表されました。
この記事は、厚生労働省が公表している社会保障審議会(介護給付費分科会) の資料である参考資料1 平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について(PDF:2,076KB)から訪問介護の改定引用した記事です。

読みどころ

生活機能向上連携加算の見直し

生活機能向上連携加算改定の概要

生活機能向上連携加算について、自立支援・重度化防止に資する介護を推進するため、見直しを行う

生活機能向上連携加算の単位数

生活機能向上連携加算(Ⅰ) 100単位/月(新設)
生活機能向上連携加算(Ⅱ) 200単位/月

生活機能向上連携加算(Ⅰ) (Ⅱ) の算定要件等

○生活機能向上連携加算(Ⅱ)

現行の訪問リハビリテーション・通所リハビリテーションの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が利用者宅を訪問して行う場合に加えて、リハビリテーションを実施している医療提供施設(原則として許可病床数200 床未満のものに限る。)の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師が訪問して行う場合

○生活機能向上連携加算(Ⅰ)

  • 訪問リハビリテーション若しくは通所リハビリテーションを実施している事業所又はリハビリテーションを実施している医療提供施設(原則として許可病床数200 床未満のものに限る。)の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師からの助言(アセスメント・カンファレンス)を受けることができる体制を構築し、助言を受けた上で、サービス提供責任者が生活機能の向上を目的とした訪問介護計画を作成(変更)すること
  • 当該理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・医師は、通所リハビリテーション等のサービス提供の場において、又はICTを活用した動画等により、利用者の状態を把握した上で、助言を行うことを定期的に行うこと
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「自立生活支援のための見守り的援助」の明確化

自立生活支援のための見守り的援助の明確化の概要

訪問介護の自立支援の機能を高める観点から、身体介護と生活援助の内容を規定している通知(老計第10号(訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について))について、身体介護として行われる「自立生活支援のための見守り的援助」を明確化する。【通知改正】
※「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(平成12年3月17日厚生労働省老健局老人福祉計画課長通知)(いわゆる「老計10号」)

訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について 身体介護(抜粋)

1-6 自立生活支援のための見守り的援助(自立支援、ADL向上の観点から安全を確保しつつ常時介助できる状態で行う見守り等)

  • 利用者と一緒に手助けしながら行う調理(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)
  • 入浴、更衣等の見守り(必要に応じて行う介助、転倒予防のための声かけ、気分の確認などを含む)
  • ベッドの出入り時など自立を促すための声かけ(声かけや見守り中心で必要な時だけ介助)
  • 移動時、転倒しないように側について歩く(介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る)
  • 車イスでの移動介助を行って店に行き、本人が自ら品物を選べるよう援助
  • 洗濯物をいっしょに干したりたたんだりすることにより自立支援を促すとともに、転倒予防等のための見守り・声かけを行う。
  • 認知症の高齢者の方といっしょに冷蔵庫のなかの整理等を行うことにより、生活歴の喚起を促す。

自立生活支援のための見守り的援助の明確化の内容

生活援助のうち、訪問介護員等が代行するのではなく、安全を確保しつつ常時介助できる状態で見守りながら行うものであって、日常生活動作向上の観点から、利用者の自立支援に資するものは身体介護に該当するが、身体介護として明記されていないものがあり、取扱いが明確でないため、明確化する。
具体的には、利用者と一緒に手助けしながら行う掃除(安全確認の声かけ、疲労の確認を含む)その他利用者の自立支援に資するものとして身体介護に該当するものについて、身体介護に該当することを明確にする

身体介護と生活援助の報酬

身体介護と生活援助の報酬改定の概要

自立支援・重度化防止に資する訪問介護を推進・評価する観点から、訪問介護事業所の経営実態を踏まえた上で、身体介護に重点を置くなど、身体介護・生活援助の報酬にメリハリをつける。

身体介護と生活援助の報酬改定の基本単位数

身体介護中心型の単位

2018年3月まで 2018年4月から
20分未満 165単位 165単位
20分以上30分未満 245単位 248単位
30分以上1時間未満 388単位 394単位
1時間以上1時間30分未満 564単位 575単位
以降30分を増すごとに算定 80単位 83単位
生活援助加算※ 67単位 66単位

生活援助中心型

2018年3月まで 2018年4月から
20分以上45分未満 183単位 181単位
45分以上 225単位 223単位

通院等乗降介助

2018年3月まで 2018年4月から
97単位 98単位

※ 引き続き生活援助を行った場合の加算(20分から起算して25分ごとに加算、70分以上を限度)

生活援助中心型の担い手の拡大

生活援助中心型の担い手の拡大の概要

  • 訪問介護事業所における更なる人材確保の必要性を踏まえ、介護福祉士等は身体介護を中心に担うこととし、生活援助中心型については、人材の裾野を広げて担い手を確保しつつ、質を確保するため、現在の訪問介護員の要件である130時間以上の研修は求めないが、生活援助中心型のサービスに必要な知識等に対応した研修を修了した者が担うこととする
  • このため、新たに生活援助中心型のサービスに従事する者に必要な知識等に対応した研修課程を創設することとする。その際、研修のカリキュラムについては、初任者研修のカリキュラムも参考に、観察の視点や認知症高齢者に関する知識の習得を重点とする。(カリキュラムの具体的な内容は今年度中に決定する予定)【省令改正、告示改正、通知改正】
  • また、訪問介護事業所ごとに訪問介護員を常勤換算方法で2.5以上置くこととされているが、上記の新しい研修修了者もこれに含めることとする。
  • この場合、生活援助中心型サービスは介護福祉士等が提供する場合と新研修修了者が提供する場合とが生じるが、両者の報酬は同様とする。
  • なお、この場合、訪問介護事業所には多様な人材が入ることとなるが、引き続き、利用者の状態等に応じて、身体介護、生活援助を総合的に提供していくこととする。

同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬

同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬

同一建物等居住者にサービス提供する場合の報酬について以下の見直しを行う。
訪問介護のサービス提供については、以下に該当する場合に10%減算とされているが、建物の範囲等を見直し、いずれの場合も有料老人ホーム等(※)以外の建物も対象とする。
ⅰ 事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物(有料老人ホーム等(※)に限る)に居住する者
ⅱ 上記以外の範囲に所在する建物(有料老人ホーム等(※)に限る)に居住する者(当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり20 人以上の場合)
イ またⅰについて、事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物のうち、当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり50 人以上の場合は、減算幅を見直す。
※ 養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅
ウ 上記ア又はイによる減算を受けている者と、当該減算を受けていない者との公平性の観点から、上記ア又はイによる減算を受けている者の区分支給限度基準額を計算する際には、減算前の単位数を用いることとする。

同一建物等居住者にサービス提供する場合の単位数・算定要件等

  1. 事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物に居住する者(②に該当する場合を除く。) →10%減算
  2. 上記の建物のうち、当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり50人以上の場合 →15%減算
  3. 上記①以外の範囲に所在する建物に居住する者(当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり20人以上の場合) →10%減算

訪問回数の多い利用者への対応

訪問回数の多いケアプランについては、利用者の自立支援・重度化防止や地域資源の有効活用等の観点から、市町村が確認し、必要に応じて是正を促していくことが適当であり、ケアマネジャーが、統計的に見て通常のケアプランよりかけ離れた回数(※)の訪問介護(生活援助中心型)を位置付ける場合には、市町村にケアプランを届け出ることとする。【省令改正】
(※)「全国平均利用回数+2標準偏差」を基準として平成30年4月に国が定め、6ヶ月の周知期間を設けて10月から施行する。
地域ケア会議の機能として、届け出られたケアプランの検証を位置付け、市町村は地域ケア会議の開催等により、届け出られたケアプランの検証を行うこととする。また市町村は、必要に応じ、ケアマネジャーに対し、利用者の自立支援・重度化防止や地域資源の有効活用等の観点から、サービス内容の是正を促す。【省令改正】

ケアプランの適正化に向けた対策の強化
引用:参考資料1 平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について(PDF:2,076KB), 第158回社会保障審議会介護給付費分科会資料, pp09, 2018.01.26

サービス提供責任者の役割や任用要件等の明確化

サービス提供責任者の役割や任用要件等見直し

  • サービス提供責任者のうち、初任者研修課程修了者及び旧2級課程修了者は任用要件から廃止する。ただし、現に従事している者については1年間の経過措置を設ける。【告示改正】
  • また、初任者研修課程修了者又は旧2級課程修了者であるサービス提供責任者を配置している場合に係る減算についても、上記に合わせて、平成30年度は現に従事している者に限定し、平成31年度以降は廃止する。
  • 訪問介護の現場での利用者の口腔に関する問題や服薬状況等に係る気付きをサービス提供責任者から居宅介護支援事業者等のサービス関係者に情報共有することについて、サービス提供責任者の責務として明確化する。【省令改正】
  • 訪問介護の所要時間については、実際の提供時間ではなく、標準的な時間を基準としてケアプランが作成される。一方で、標準時間と実際の提供時間が著しく乖離している場合には、実際の提供時間に応じた時間にプランを見直すべきであることから、サービス提供責任者は、提供時間を記録するとともに、著しくプラン上の標準時間と乖離している場合にはケアマネジャーに連絡し、ケアマネジャーは必要に応じたプランの見直しをすることを明確化する。【通知改正】
  • 訪問介護事業者は、居宅介護支援事業所のケアマネジャー(セルフケアプランの場合には当該被保険者)に対して、自身の事業所のサービス利用に係る不当な働きかけを行ってはならない旨を明確化する。【省令改正】

共生型訪問介護

共生型訪問介護の改定の概要

共生型訪問介護の基準

共生型訪問介護については、障害福祉制度における居宅介護、重度訪問介護の指定を受けた事業所であれば、基本的に共生型訪問介護の指定を受けられるものとして、基準を設定する。【省令改正】

共生型訪問介護の報酬

報酬は、以下の基本的な考え方を踏まえて設定する。また、訪問介護事業所に係る加算は、各加算の算定要件を満たした場合に算定できることとする。

報酬設定の基本的な考え方
  1. 本来的な介護保険事業所の基準を満たしていないため、本来報酬単価と区分。
  2. 障害者が高齢者(65歳)に到達して介護保険に切り替わる際に事業所の報酬が大きく減ることは、65歳問題への対応という制度趣旨に照らして適切ではないことから、概ね障害福祉制度における報酬の水準を担保する。

共生型訪問介護の単位数

障害福祉制度の居宅介護事業所が、要介護者へのホームヘルプサービスを行う場合

訪問介護と同様(新設)
ただし、障害者居宅介護従業者基礎研修課程修了者等については、65歳に至るまでに、これらの研修修了者に係る障害福祉事業所において障害福祉サービスを利用していた高齢障害者に対してのみ、サービスを提供できる。この場合には、所定単位数に70/100等を乗じた単位数(新設)

障害福祉制度の重度訪問介護事業所が、要介護者へのホームヘルプサービスを行う場合

所定単位数に93/100を乗じた単位数(新設)
ただし、重度訪問介護従業者養成研修修了者等については、65歳に至るまでに、これらの研修修了者に係る障害福祉事業所において障害福祉サービスを利用していた高齢障害者に対してのみ、サービスを提供できる。

介護職員処遇改善加算の見直し

介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)については、別に厚生労働大臣が定める期日(※)までの間に限り算定することとする。
※ 平成30年度予算案に盛り込まれた「介護職員処遇改善加算の取得促進支援事業」により、加算の新規の取得や、より上位の区分の取得に向けて、事業所への専門的な相談員(社会保険労務士など)の派遣をし、個別の助言・指導等の支援を行うとともに、本事業の実施状況等を踏まえ、今後決定。

介護職員処遇改善加算の区分
引用:参考資料1 平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について(PDF:2,076KB), 第158回社会保障審議会介護給付費分科会資料, pp12, 2018.01.26

「キャリアパス要件Ⅰ」…職位・職責・職務内容等に応じた任用要件と賃金体系を整備すること
「キャリアパス要件Ⅱ」…資質向上のための計画を策定して研修の実施又は研修の機会を確保すること
「キャリアパス要件Ⅲ」…経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること
「職場環境等要件」…賃金改善以外の処遇改善を実施すること
※就業規則等の明確な書面での整備・全ての介護職員への周知を含む。

平成30年介護報酬改定で訪問介護の適正化は進むが、一部要件緩和で人材確保

訪問介護については、報酬上は極端な変化はなさそうな印象ですが、サービス提供責任者における初任者研修課程修了者及び旧2級課程修了者は任用要件から廃止や、生活援助中心型のサービスに従事する者に必要な知識等に対応した研修課程を創設して、この研修修了者を常勤換算方法で2.5以上の人員に含めることなど、人員面の要件の変更がありました。
また、事業所と同一敷地内又は隣接する敷地内に所在する建物のうち、当該建物に居住する利用者の人数が1月あたり50 人以上の場合に減算率を高めるというルールになり、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなど、効率的にサービス提供が行える事業形態に対して報酬の適正化が行われる見通しです。
地域包括ケアシステムの要となる訪問介護であるため、高度な技術を要しない生活援助と、自立生活支援のための見守り的な援助や高度な介護の知識・技術を要する身体介護において、報酬にメリハリをつけるとともに、分担して確保し提供することを推奨するような内容になっています。

平成30年介護報酬改定についてはこちらの要点まとめ記事もどうぞ!

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