介護支援専門員資格(ケアマネージャー)は、介護保険制度の中核を担う重要な資格です。高齢化が進む現代社会において、介護支援専門員は利用者一人ひとりの生活に寄り添い、適切な介護サービスを提案・調整する役割を果たしています。しかし、その資格を取得するためには、厳しい試験をクリアしなければなりません。本記事では、介護支援専門員資格の取得を目指す方に向けて、受験資格や試験内容、そして合格者数の推移について詳しく解説します。これから試験に挑む方々にとって、役立つ情報が満載ですので、ぜひ最後までお読みください。
このページの目次
介護支援専門員(ケアマネジャー)ってどんな人?
介護支援専門員(かいごしえんせんもんいん)は、介護保険法において要支援・要介護認定を受けた人からの相談を受け、居宅サービス計画書や施設サービス計画書(ケアプラン)を作成し、他の介護サービス事業者や医療機関との連絡、家族などとの調整等を取りまとめ、介護保険の適正に利用した生活を支援する資格です。通称ケアマネジャーと呼ばれます。
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介護支援専門員の配属先・就職先
介護保険法第7条第5項に定める介護支援専門員は、主に居宅介護支援事業所・介護予防支援事業所・介護保険施設・グループホーム・小規模多機能型居宅介護事業所等に所属して働きます。
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介護支援専門員資格の取得方法
介護支援専門員資格の取得方法は、都道府県の実施する「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格し、「介護支援専門員実務研修」の全日程を休まず全て受講したうえで、レポートを提出する必要があります。
「介護支援専門員実務研修受講試験」の受験資格
大まかに下記の様に、法定資格所持者等は5年以上、それ以外の者は10年以上の実務経験が必要です。介護福祉士の受験者が多いです。
「介護支援専門員実務研修受講試験」の受験のための法定資格
社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士を含む。))を所持している者で、5年以上の実務経験を有する者。
「介護支援専門員実務研修受講試験」の出題内容
介護支援専門員実務研修受講試験の出題数は60問(介護支援分野25問、保健医療福祉サービス分野35問)で、例年出題は5つの選択肢から、正しいものや適切なものなどを複数選ぶという形式が多いです。
解答はマークシート方式で、出題で求められている選択肢をマークします。
「介護支援専門員実務研修受講試験」の合格率
「介護支援専門員実務研修受講試験」の合格率は、例年10~20%くらいです。受験者の多くは、介護職員や介護施設等での相談援助業務などを行っていた方が中心です。合格率が低い資格である理由としては、介護職員のライフスタイルやモチベーションとしてなかなか試験勉強時間を確保できないことや、利用者の身体介護などの実務とは違っている、介護保険制度や相談援助業務が試験内容の範囲であるため学習内容が難しく感じるということが多いようです。
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試験合格後に受講する「介護支援専門員実務研修」とは
介護支援専門員実務研修では、その名称の通り介護支援専門員として働くときに必要な知識、技能を身に着けるための研修です。
介護支援専門員実務研修の研修日程・必要な研修時間
研修は、都道府県(社会福祉協議会)から指定された15日間の講習+3日間の実務・実地研修(87時間以上の研修)となっています。
原則、指定された日程に出席できないと実務研修を修了できないため、実務研修の日程に合わせて仕事を休む調整を行うことが課題となります。
介護支援専門員実務研修の具体的な内容
介護支援専門員実務研修の具体的な研修内容としては、ご利用者のおかれた状況を的確に把握し、下記決すべき課題を明らかにするためのアセスメント技術、介護サービス計画(ケアプラン)の作成やモニタリングの実施方法など、ケアマネジメントに関するさまざまな業務に関する専門知識や技術を学習します。また、介護支援専門員実務研修の中では実地研修も3日間あり、働いている介護支援専門員に同行してケアマネジメントを学ぶこと、実際のご利用者をアセスメントし、居宅サービス計画を立てレポートを提出することなども含まれています。
都道府県によっては、介護支援専門員実務研修の課程に、要介護認定の認定調査員としての研修を含むこともあります。
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介護支援専門員実務研修受講試験の受験者数及び合格者数の推移
ケアマネになるためには介護支援専門員実務研修受講試験を受験して合格することが必要ですが、受験者数・合格者ともに減少しています。
ケアマネジメントに係る現状・課題 厚生労働省老健局 ケアマネジメントに係る諸 課題に関する検討会 (第1回) 令和6年4月15日
具体的には平成26年度に受験者数は17万5000人ほどいて、33500人ほどが合格していました。しかし令和5年度においては受験者数は5万6500人ほどとなり三分の一に、合格者数も1万2000人ほどとなっています。これには様々な理由が考えられますが、介護職員が処遇改善されて給与面などが向上したのに対し、ケアマネはその対象にならず給与があまり変わらないことや、ケアマネとして仕事を始めた後も5年に一度の更新研修で研修費用や時間を膨大に取られてしまうことなど介護の仕事の中でケアマネという仕事の魅力が非常に低く設計されてしまっていることが問題にあります。
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介護支援専門員の仕事はケアマネジメントすること
居宅ケアマネと施設ケアマネ
介護支援専門員として仕事をする場合には、大きく分けると居宅と施設の2種類ありますが、仕事は「ケアマネジメントすること」です。
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介護支援専門員が業務として行う「ケアマネジメント」とは
介護報酬として受け取るために、ケアマネジャーは次の事項行わなければなりません。
図 平成 25 年 3 月 13 日(水) 仙台市健康福祉局 保険高齢部介護保険課
- アセスメントに当たり、居宅を訪問し、利用者及び家族に面接をすること。
- 計画原案に係る担当者全員を招集して行うサービス担当者会議を開催すること。
- 居宅サービス計画原案を説明し利用者の同意を得ること。
- 居宅サービス計画を利用者・担当者へ交付すること。
- 1月に 1回は居宅を訪問し、利用者に面接した上で、そのモニタリングの結果を記録すること。
- 更新認定時等もサービス担当者会議を開催すること。
- サービス計画変更時も作成時と同様の一連の業務を行うこと。
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介護支援専門員の仕事は施設ケアマネか居宅ケアマネかで大きく異なる
今回の記事は、居宅介護支援事業所でのケアマネジャー仕事と、介護保険施設に勤めるケアマネジャーの仕事もざっくりと紹介しました。
介護支援専門員の実務研修内容では、実は居宅介護支援(おうちで暮らしている要介護者を対象とした業務)が中心になっており、施設ケアマネの業務についてはほとんど学びません。
最近は、老人保健施設や、介護付き老人ホーム(特定施設)なども施設数が増えて、施設ケアマネとして所属する人も増えてきています。
居宅の場合も施設の場合も、介護支援専門員として働くときには、自主的に学んでいき、介護保険の動向や、介護保険上の各事業者の位置づけや役割などにアンテナを張っていないとならない仕事です。
ケアマネジャーの転職は、ケアマネ専門の転職サイトを利用しよう
ケアマネジャーの転職はケアマネ専門の転職サイトの利用が安心です。自分で求人を探したり、人づてに紹介してもらったりする場合、本心では希望している条件をいろいろ我慢してしまいがちになります。転職サイトを挟むことで、希望に合う職場を見つけてもらい、見学・面接対策・条件調整なども行ってもらえるので、希望理由や面接対策で悩んだりすることも減ります。新人ケアマネも、ベテランのケアマネも専門の転職サイトの方がケアマネの求人情報を多く持っています。
居宅介護支援事業所では人手不足状態、ケアマネージャー、主任ケアマネージャー資格を有する人の求人が増えています。多くの転職サイトは介護の仕事のおまけのような感じでケアマネの転職支援をしていますが、ケア求人PECORI
「ケア求人PECOLI」は、ケアマネージャー専門の転職サイトという大変珍しいサービスで、ケアマネに特化して全国の転職支援を行っています。他の転職サイトに登録しても、よい求人が見つからなかったり、電話の人と話が合わなかったりしてうまくいかなかったケアマネも、すぐ登録できるので一度登録してピッタリな求人・転職先の紹介を受けてみましょう。(運営:株式会社PECORI 職業紹介許可番号(厚生労働大臣認可):13-ユ-308091)