東洋医学の同病異治の意味 虚証・実証・中間証・寒熱

 

西洋医学は、病名をつけてその病気を治療します。東洋医学はまた別の考え方をして病気を治療していきます。
漢方の人の病気の考え方に「証」があります。漢方の証にはいくつかありますが、病態の基本的なものを表すのが虚(きょ)、実(じつ)です。虚証と実証は東洋医学、漢方薬の選択の基本的な考え方で、これらを知ると葛根湯などの身近な漢方薬の使い方もちょっとわかってきますよ。

同病異治の意味

東洋医学では同病異治といって、人はそれぞれ固有の体質を持っており、症状の現れ方の人によって違うので、同じ病気でも、治療の方法が異なっていくとされてます。
その際、病気の傾向を知る目安として、一番よく使われているのが、虚証と実証です。

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東洋医学の 虚証(きょしょう)の意味

虚証とは本来あったものが失われた状態です。虚という漢字は、からっぽでうつろ=空虚を意味します。人の生命力や病気の抵抗力などの本来人間の持っている体の機能が低下して不健康になった状態を言います。

虚証の特徴・症状

虚証の特徴は、体力がなくつかれやすい。汗をかきやすい。青白いまたは黄色い。呼吸は弱い。声は低く弱い。おなかは柔らかい感じ。便通は、軟便か下痢。病気の症状は穏やかで慢性的です。

虚証のポイント

虚証は一般に疲れやすく、胃腸が弱いなど虚弱な人が多い傾向があります。
本来の生命力が弱まって体の機能が低下した状態なので、治療としては低下した生命力(気)を補う必要があります。まず、弱っている機能を休める必要があります。

虚証の例

例えば胃腸機能の弱い人は、胃腸に負担をかけない食事を心がけることが大切です。おなかが冷えたり、冷たいものをとりすぎると、胃腸が疲れ弱っていきます。
温かいものを少量ずつとるようにし、和食で粗食で腹八分目にするようにしましょう。元気を出すために無理にたくさん食べたり、脂っこいものや刺激物などを摂ったりすると、かえって胃腸の機能を低下させてしまいます。注意しましょう。
また、虚証は冷えに弱いことが多く、体や胃腸を冷やすとすぐに体調を崩しますので注意してください。 

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東洋医学の 実証(じっしょう)の意味

実証とは充満している状態です。実という漢字は、ものが詰まっていることを意味します。
外からの有害物が体の中に入り、充満し過ぎることで不健康になった状態をいいます。

実証の特徴・症状

実証の特徴は、体力がありつかれにくい。汗をかきにくい。顔色は赤い呼吸は荒い。声は高く強い。おなかは張り感があり、圧痛もあります。便通は、便秘ぎみ。病気の症状は激しく、急性的です。

実証のポイント

実証は比較的丈夫で、実際は疲れていても疲れを感じにくい傾向があります。普段は元気ですが、ひとたび風邪をひいたりすると急激な症状があらわれる傾向があります。実証は、有害物(邪)によって体の機能が悪くなる状態なので、治療としては有害物(邪)を除去します。ただ、人によって何が有害かは千差万別です。

実証の例

例えば「お酒を飲むと下痢をしやすい」という自覚があるならお酒を控える、あるいは「空気が乾燥すると風邪をひきやすい」という自覚があるならマスクや加湿器を使うといった対策をとることが大切です。一度自分の経験を振り返ってみて、自分には何が有害か?ということを考え、それをできるだけ避けるのが得策です。
実証の人は疲れをあまり感じないため、無理をします。しかし、無理し続けていると、突然高熱が出るなど急激な体調不良を起こすことがあるので、注意しましょう。普段から自分の体の声によく耳を傾けることが大切です。

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東洋医学 中間証 の意味

虚証と実証の特徴が同じようにある人は、(虚証+実証)の状態の中間証です。例えば抵抗力の落ちている人が、ウィルス感染して風邪になったとします。これは虚証の人が、外からの有害物(この場合はウィルス)によって病になった状態(実証)なので、虚証と実証がともにある状態です。実際の病気では、こうした(虚証+実証)の中間証という状態になることは多いです。

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東洋医学の 寒熱 の意味

虚実のほかに、『寒熱』もよく使われている証です。東洋医学の寒熱は体温で判断するのではなく本人の自覚症状の寒く感じると熱く感じるで判断します。急性熱性疾患の初期には、熱証になり熱があるように感じしていくと全身消耗状態が進行し、寒く感じて寒証になります。

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虚証・実証・中間証と葛根湯、小青竜湯、麦門冬湯の関係

患者様が風邪引いたときに葛根湯、小青竜湯、麦門冬湯などさまざまな漢方が処方されます。
なぜ、この人は同じかぜなのにこの漢方?って思うことがありませんか?

  • 葛根湯は、中間~実証:熱証
  • 小青竜湯は、中間:熱は中間
  • 麦門冬湯は、虚証~中間:熱は中間

漢方は、どういう証で使用すると効果がでるかが決まっているためです。
医師は患者様の証を診断し、それにあった漢方薬を処方するのです。
(ただし、葛根湯…初期のかぜ。小青竜湯・・・鼻水かぜ。麦門冬湯・・・咳かぜで使用。たまに、証を見ずに症状で処方してる場合もあります。)
少し難解な話題でしたが、今回は、虚証・実証・中間証・寒熱について説明しました。これらを理解するとすこし漢方の使い方がわかってきます。漢方薬はドラッグストアなどでも気軽に買うことが出来るので、体調不良で病院にいけないまたは病院にいくほどでもないなどの場合には、上記の証の考え方を参考にし、漢方を選んでみてはどうでしょうか?

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