糖尿病の原因と検査、症状、三大合併症(神経症、網膜症、腎症)、対応

 

糖尿病は代謝疾患、病気の原因

糖尿病は代謝疾患の代表とされる疾患です。糖の代謝に異常をきたして血糖が上昇してしまう病気です。
ご飯を食べると唾液・膵液・小腸でデキストリン→麦芽糖→ブドウ糖という形に消化されて、小腸で吸収されて血流に混じります。
血流に糖分が交じった状態が「血糖」です。食事をして消化されると血糖が上昇します。そして血糖は脳や体の栄養として使われます。
使われない分は膵臓で作られる「インスリン」という酵素がお掃除したり、筋肉などにブドウ糖を運んでグリコーゲンとして貯蔵したりします。
つまり、インスリンという酵素がうまく働かないと血糖が適切にお掃除されないですし、筋肉などに届かないで血中にさまよっている状態になるということです。
糖尿病は患者数が非常に多い病気で、2種類の病型があります。

1型糖尿病 生まれつきインスリンが不調、小児糖尿病

糖尿病は生活習慣病だと言われますが、1型糖尿病は生まれつき、もしくは若年で膵臓の機能などに異常があり糖の代謝に異常がある状態を言います。10万人あたり1~2名程度の発症率と言われます。

 生活習慣病の代表

糖尿病のうち96%が2型糖尿病です。遺伝や高カロリー、高脂肪食、運動不足など、体に負担が大きい生活習慣により引き起こされる「インスリンの作用不足」が原因と言われます。
膵臓のランゲルハンス島というところでインスリンが作られるのですが、高カロリーな食事や運動不足になると、血流に大量にブドウ糖があふれているため、膵臓がフルパワーでインスリンを作っては出して作っては出して…という状態になります。
もともとアジア人はインスリンを作る機能が欧米人よりも低い人種でもあり、作り切れず膵臓自体が燃え尽きてしまうことがあります。
この状態が糖尿病の状態です。「疲れすぎてインスリンをもう作れません」「インスリン工場がもう動きません」という感じです。

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糖尿病の検査と診断

糖尿病の検査では、血液検査がメインとなります。
述べてきたように、おなかがすいているような状態でも血中に標準以上の血糖がさまよっていたら「糖尿病型」と判断されます。

空腹時血糖検査

早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上ある場合は、「糖尿病型」と診断されます。

75g経口ブドウ糖負荷試験

10時間以上絶食した空腹のまま採血し、血糖値を測ります。その後、ブドウ糖液(ブドウ糖75gを水に溶かしたもの、またはデンプン分解産物相当量)を飲み、ブドウ糖負荷後、30分、1時間と2時間後に採血し、血糖値を測るという検査です。
30分、1時間、2時間の間にどれくらいインスリンが働き、血糖が低下しているかがわかります。

随時血糖検査

食後からの時間を決めないで採血し、血糖値が200mg/dL以上ある場合は、「糖尿病型」と診断されます

HbA1C(ヘモグロビンエーワンシー) ★

過去2か月くらいの血糖値の平均値が測定できます。ヘモグロビンは本当は酸素を運ぶ赤血球ですが、血糖が高いとそれだけ糖が付着します。その具合を見るという検査です。
この値は4.3~5.8%が基準値で、糖尿病型の場合、HbA1cが6.5%以上か、糖尿病の典型的症状(多飲、多尿、口渇、体重減少)か糖尿病性網膜症があれば、糖尿病と診断されます。

糖尿病の診断

空腹時血糖検査・75g経口ブドウ糖負荷試験・随時血糖検査 のどれかで「糖尿病型」と診断されて、HbA1cが異常値となった場合には「糖尿病」と診断されます。

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糖尿病の三大合併症とは

糖尿病では、血糖が高い状態が長くなります。糖はべとべとしており、血管の壁に張り付いてしまいます。水あめみたいなものです。
壁にくっつくと、ドロドロカピカピして血流を邪魔したり、傷をつけたりします。
すると、動脈がしなやかさを失う動脈硬化という状態になり、細い血管や太い血管に由来する合併症を生じやすくなります。

糖尿病性腎症、蛋白尿とネフローゼ症候群、腎不全、血液透析

腎臓は血流の多くが通り、血流内の汚れをこしとったりする役割を持っています。腎臓の中は極細の血管があり、そこを通過しながら汚れが取られていくのですが、高血糖状態が続くとそこにも糖が付着して血管が詰まったり穴が開いたりします。
それが進行すると、高度の蛋白尿がみられたりします。たんぱく質が尿として出て行き過ぎるとネフローゼ症候群という状態になることがあります。
このように腎臓が役割を果たせていない状態になると腎不全になります。腎不全状態だと生命の危機となるため、人工的に血流の栄養素や老廃物排出を調整する「人工透析」が必要になります。

人工透析について詳しくは以下の記事で!

糖尿病性網膜症

目の周りにも細い血管がたくさん通っています。網膜はカメラのフィルムのような役割をしており、眼底という目玉の奥にあります。
糖でいっぱいの血流で眼底周辺が動脈硬化症になると網膜も栄養不足で壊れます。目が見えなくなります。

糖尿病性神経症

高血糖の状態が続くと、手や足の指の先の毛細血管が詰まったりします。原因としてはっきりと改名されていませんが、障害を起こす原因となる物質が神経細胞に蓄積すると考えられています。
手足にびりびりとしたしびれがおきます。ちょうど手袋と靴下のあたりがびりびりしているため、これを「手袋靴下型感覚障害」と呼ぶこともあります
特に足先は血流が不全になりやすく、痛みも感じにくい状態だと傷などがあっても気づかないで感染が化膿して、壊死に至り治癒が期待できない場合は切断ということもあります。

閉塞性動脈硬化症(ASO)

上記のように血管がしなやかでなくなって血管がだめになることを動脈硬化症と言います。さらにしなやかでないだけでなく、血管が詰まってしまうと「閉塞性動脈硬化症」と言います。
糖尿病患者の場合はよく下肢に見られます。他にも、心臓の冠動脈や、脳血管などもこのような状態になりやすいです。病名としては心筋梗塞や脳血管障害という呼ばれ方になります。

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糖尿病患者の介護・看護での対応の注意点

介護・看護の業務の中で、糖尿病の方を担当することは多くあります。

インスリン自己注射については別記事で詳しく解説

病気の進行度について把握することと、上記のような合併症やよくある症状があることはまず念頭に置きましょう。

基本的には血糖値の安定ということが治療の基本になるため、食事療法、運動療法、薬物療法を確実に実施していきます。
血糖降下薬の服薬やインスリン注射をしている場合には、血糖がいきなり下がってしまう「低血糖」に注意します。
服薬後の食事を摂取したかを確認したり、服薬後の運動を避けるなどの対応を考えておきましょう。
認知症などで服薬管理が不十分な場合、服薬量が適切であるかにも注意しましょう。

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