介護の分野では人材不足が顕著であり、求人を行う際に有料職業紹介事業者を通じて介護従事者の紹介を受け採用に進めることも増えています。有料職業紹介事業者は人材を紹介して採用された場合に成果報酬を得るようなビジネスモデルであることが多く、実際に採用を決めてから紹介料や手数料が発生することを事後説明されるなどトラブルが多いのが現状です。このような背景から2021年8月に厚生労働省は介護分野における適正な有料職業紹介事業者の基準をベースに適正事業者の認証制度ができる予定です。
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介護分野における適正な有料職業紹介事業者の基準と認証を意識して転職・求人を
この基準ができる現在の状態でも基準を違反しているような莫大な紹介手数料を後から提示する事業者や、採用が決まった時に就職者に就職お祝い金やボーナスを支払うようなことなど、今回定められた基準に違反しているような人材紹介事業者も散見されます。多くの介護向けの人材紹介事業者がこの基準を満たすために動くと思いますので、少し健全化に向けては動き出すのではないかとは思います。
これから介護分野で転職をする場合転職サイトに登録したり、職業紹介事業者に連絡を取って良い求人がないか聞いてみたりすることがあるかもしれませんが、今回紹介する基準にマッチしている事業者なのかどうかを見極めて後々のトラブルに発展しないように気を付けていきましょう。
また、介護事業を経営していたり運営している求人者に関しても、このような新しい基準ができたことを把握し、悪質な事業者からすぐに転職してしまうような人材を紹介されたり、事前に告知されていなかった紹介料を請求されたりするようなトラブルに巻き込まれないように気をつけてください。
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有料職業紹介事業者とは
有料職業紹介事業とは、営利を目的とするか否かにかかわらず、職業紹介に関し手数料もしくは報酬などの対価を受けて行う職業紹介事業のことです。 有料職業紹介事業は、厚生労働大臣の許可を受けて行うことができます。
職業紹介の意味については、職業安定法で以下のように定義されています。
職業紹介とは「求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることをいう。」
職業安定法 第4条第1項
この定義でいう用語の意味は次のとおりです。
求人とは、報酬を支払って自己のために他人の労働力の提供を求めることをいいます。
求職とは、報酬を得るために自己の労働力を提供して職業に就こうとすることをいいます。
雇用関係とは、報酬を支払って労働力を利用する使用者と、労働力を提供する労働者との間に生じる使用・従属の法律関係をいいます。
あっせんとは、求人者と求職者との間をとりもって、雇用関係が円滑に成立するように第三者として世話をすることをいいます。
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介護分野の有料職業紹介事業者の問題点
介護の業界では慢性的な人材不足で有料職業紹介事業者が強い立場で高い手数料を要求するという構図が出来上がってきてしまいました。本来は自治体やハローワーク、行政法人などが中心となってしっかりと人材のマッチングを行っていくべきですが力が足らず民間の人材紹介会社が力を持ってしまっている状態です。介護事業者は介護保険の報酬から売上が立っていますが、人材を確保するために間接的に介護保険財源の一部が人材紹介会社に流れてしまっていることが問題です。
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介護分野における適正な有料職業紹介事業者の基準とは
介護事業者は、有料職業紹介事業者と取引する時に適正な有料職業紹介事業者の基準を満たしているかどうかを確認することでトラブルを減らすことができます。
有料職業紹介を利用する場合には、求人をする介護事業所は適正な有料紹介事業者の基準を満たしているかどうかを確認しより良いマッチングができるように気をつけましょう。
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介護における適正な有料職業紹介事業者の必須の基準チェックリスト
介護分野における適正な有料職業紹介事業者の基準では、必須基準と基本基準に分かれています。必須基準は法令を遵守しているかを含めて適正な介護分野の有料職業紹介を行う事業者としてから必ずクリアはしなければいけない基準です。
紹介手数料
紹介手数料は求人者が選択できるようを取扱職種別に手数料を公表していること。各職業紹介事業者のサービス内容とともに、例えば標準的な手数料率もしくは手数料額(手数料率や手数料額に幅がある場合にはサービス内容匂いした手数料率・手数料額)や個別の事例(例えば地方都市の小規模な介護施設では手数料率〇〇パーセントで紹介サービスを提供して採用ができた)など実績の公表をしているなど。
返戻金・離職時の返金
有料職業紹介を利用し手数料が発生したが紹介した職員がすぐに辞めてしまった場合返戻金制度を設けていること。返戻金制度については具体的な内容(在籍日数と返金率、返戻する場合の条件等)を明示していること。
就職転職お祝い金・就職面接ボーナス
求職申込の勧奨にあたり、求職者に対して金銭など(よくあるお祝い金や面接・就職一時金など)の提供してはならないこと。
再転職勧奨・紹介先からすぐに再転職の提案
職業紹介事業者は人材を紹介して求人先に就職をすると手数料は報酬が発生するというビジネスモデルですが、自分が紹介した人に対して「もっと良いこちらの求人はいかがですか」という形で転職の勧奨を行うことは禁止されています。期間としては就職した日から2年間を基準として儲けています。転職をしてから2年以内に新しい転職先の情報を紹介してくる業者は適切ではないといえます。
初期費用無料など過度な広告の禁止
仕事を探している人に対して転職活動を無理に助長するような不適切な広告表現・広報活動を行っていけないこととされています。
また求人を出す介護事業者に対する営業については、入社決定後に成果報酬がかかることを明記すること、初期費用無料などの過度な強調をして実際採用を行った際にあらかじめ聞いていなかった手数料や紹介報酬を請求するなどのことを行ってはいけない事が基準として示されています。
労働条件の明示
仕事を探している求職者に対して、従事する予定の業務の内容や賃金、労働時間にはその他の労働条件を人材を探している求人者から入手し可能な限り速やかにイメージしていることが必要と示されています。
個人情報関連
仕事を探している求職者の個人情報は本人の同意を得ないで取得してはいけないとされています。また取得する場合も業務遂行に必要な範囲で個人情報を取得していることが基準として示されています。
仕事を探している求職者の個人情報を求人をしている介護事業者に伝達する際には、求職者に同意を得てから適切に行っていることが必要です。
苦情窓口
有料職業紹介事業者は求人者や求職者がすぐに苦情を連絡できるように具体的な苦情窓口・連絡先を明示していることが必要です。
是正指導を受けたことがあるか
有料職業紹介事業者は都道府県労働局から職業紹介事業に関して、職業安定法に基づく是正指導を受けていないことが必要です。必要ですまた過去に是正指導を受けていた場合には是正済みであることが必要です。
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介護における適正な有料職業紹介事業者の基本基準
基本基準は求職者や求人者に配慮してより良いサービスを提供するために適正事業者としてクリアしていることが望ましい基準です。
求職者に対する基本基準
働いてくれる人材を探している求人者に対して可能な限り就業実態(残業時間やシフト勤務、育児制度の取得実態など)の情報開示を求め、介護の仕事を探しているにその内容を適切に伝えていること。
求職者にこれまでのキャリア、キャリア思考、時間や曜日・勤務時間などの働く上での制約条件の希望に沿って適切な就業先を紹介していること
求人者に対する基準
介護事業者に対する営業広告や DM 送付に関しては、有料職業紹介サービスであることや職業紹介事業者の許可番号分かりやすく明記していること。
介護事業者に対する営業広告メール、ダイレクトメール送付時は、停止方法を分かりやすく明示していること。
介護事業者から求人申し込みは、書面、FAX、メールで受け付けていること。
介護事業者に対する紹介時の手数料率などのサービス提供条件は十分に説明し理解を得た上で契約締結により事前合意していること。
求人者に対する手数料の「業界水準」が公表された場合、手数料が業界水準と差異がある場合は料金に含まれるサービス内容とその理由を説明することで介護事業者からの理解を得ていること。(業界水準は今後公表される予定)
介護事業者の求める人材を理解した上でその求職者に適した求職者の紹介を行っていること。
求人情報は一定期間の後必要に応じて充足や変更等の確認を行っていること。
マッチングについて
介護事業者の採用背景、経営方針、理念、組織、人員体制等についても介護事業者から情報開示に基づき的確に把握し、仕事を探している人に伝えることによりマッチングの精度を高めていること。
有料職業紹介事業者は仕事につく人は就職後も長く活躍できるように介護事業者の許可を得た上で就職者の相談に対応し求人者と協力して就職者の職場定着支援を行っていること。
紹介した責任者は苦情再発防止のために自社の従業者の教育を定期的に行い事業報告書に記載していること。
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介護分野の有料職業紹介を利用する時にはこちらのリーフレットを参考に取引先を吟味して
人事の問題は介護事業者にとって非常に大きいものです。求人をする場合にも1名採用するのにどれくらいのコストがかかるかによって事業の運営や経営状態は大きく左右されます。悪質な職業紹介事業者は事前には無料という誇大な伝え方をしていて、実際に採用を決めた時には採用した職員の年収の数十%の紹介手数料を請求してくるということがあります。今後業界の手数料の水準も公表される予定なので介護事業者が求人をするときにも手数料の目安がわかるようになり計画が立てやすくなることが期待されます。
今できることとしては今回公表されている介護分野における適正な有料職業紹介事業者の基準のチェックリストをよく読みこれらの基準に該当して安心した取引ができるかどうかを判断するということです。今後認定制度が動き出した時には認定事業者等だけ取引するなどリスク管理をできるようになってきます。有料職業紹介事業者からは、FAX などでたくさんの介護人材の宣伝広告が入ってきますが、これについての停止方法を分かりやすく明示していることもこの認定を受ける基準になっています。今後は FAX で人材を紹介するダイレクトメールを一方的に送りつけてくる業者はまず悪質な業者と考えて取引をしないということで無視できるような体制になるかと思います。
ケアマネジャーの転職は、ケアマネ専門の転職サイトを利用しよう
ケアマネジャーの転職はケアマネ専門の転職サイトの利用が安心です。自分で求人を探したり、人づてに紹介してもらったりする場合、本心では希望している条件をいろいろ我慢してしまいがちになります。転職サイトを挟むことで、希望に合う職場を見つけてもらい、見学・面接対策・条件調整なども行ってもらえるので、希望理由や面接対策で悩んだりすることも減ります。新人ケアマネも、ベテランのケアマネも専門の転職サイトの方がケアマネの求人情報を多く持っています。
居宅介護支援事業所では人手不足状態、ケアマネージャー、主任ケアマネージャー資格を有する人の求人が増えています。多くの転職サイトは介護の仕事のおまけのような感じでケアマネの転職支援をしていますが、ケア求人PECORIだけはケアマネ専門なので、登録して電話面談するときにもケアマネとしての状況や今後の働き方、賃金の相場などを相談しやすいです。
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