2022年2月からの介護職員賃上げ「介護職員処遇改善支援補助金」

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2022年2月からの処遇改善支援補助金は、介護現場で働く方々の収入の引上げを目的として月額9,000円の賃上げをすると話題になっています。

介護職員の処遇改善や新型コロナウイルス対応に係る経費の補助金など、近年いろいろな補助金や手当てが出ておりますので、混同しないようお気を付けください。

令和3年度補正予算による「介護職員処遇改善支援補助金」

2021年11月19日に閣議決定した「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に基づき、介護職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を3%程度(月額9,000円)引き上げるための措置が2022年2月から実施されます。

2022年2月からの処遇改善支援補助金のポイント

  • 補助金取得する事業所は、令和3年度中(2022年2月または3月)から実際に介護職員等の賃上げを行う必要がある。
  • 補助額の2/3以上は介護職員等のベースアップ等の引上げに使用すること。
  • 1人当たり月額平均9,000円の賃金引上げに相当する額が補助されるといわれているが絶対9,000円賃上げするわけではない。
  • 事業所への給付額は売上と給付率から補助額が決まるため、月額平均9,000円の賃上げが非現実的な場合もありそう。
  • 2022年2月~9月の賃金引上げ分は補助金形式、2022年10月に臨時の介護報酬改定(令和4年度介護報酬改定)があり、介護職員等ベースアップ等支援加算として介護報酬の算定構造に組み込まれる。

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2022年2月からの処遇改善支援補助金

介護職員らの月額3%(9000円)ほどの賃上げを来月から実施するための新たな補助金について、厚生労働省は2022年1月26日に、処遇改善支援補助金の支給要件などを分かりやすく解説する事業所向けのリーフレットを公表しました。

 

介護職員処遇改善支援補助金コールセンター 問い合わせ先

受付開始:2月1日(火)9:30から

電話番号:03−6812−7835

受付時間:平日9:30〜17:30

申請・交付スケジュール

賃上げ開始月(2・3月)に、その旨の用紙を都道府県に提出。

申請は、都道府県における準備等を勘案し、2022年4月から受付、6月から補助金を毎月分交付。

対象期間

2022年2月~9月の賃金引上げ分それ以降も、別途賃上げ効果が継続される取組みを行うことが必要

補助金額

対象介護事業所の介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均9,000円の賃金引上げに相当する額が補助されます。

対象サービスごとに介護職員数(常勤換算)に応じて必要な交付率を設定し、各事業所の総報酬にその交付率を乗じた額を支給するという形式です。

対象介護保険サービスと交付率

2022年2月からの処遇改善支援補助金は、現行の介護職員処遇改善加算等と同様、介護サービス種類ごとに、介護職員数に応じて設定された一律の交付率を介護報酬に乗じる形で各事業者に交付予定です。

サービス種別 交付率
・訪問介護
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
2.1%
・(介護予防)訪問入浴介護  1.0%
・通所介護
・地域密着型通所介護
1.0%
・(介護予防)通所リハビリテーション 0.9%
・(介護予防)特定施設入居者生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護
1.4%
・(介護予防)認知症対応型通所介護 2.1%
・(介護予防)小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護
1.6%
・(介護予防)認知症対応型共同生活介護  2.0%
・介護老人福祉施設
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・(介護予防)短期入所生活介護
1.4%
・介護老人保健施設
・(介護予防)短期入所療養介護(老健)
0.8%
・介護療養型医療施設
・(介護予防)短期入所療養介護(病院等)
0.5%
・介護医療院
・(介護予防)短期入所療養介護(医療院)
0.5%

現行の処遇改善加算等の単位数は、基本報酬に、処遇改善加算及び特定処遇改善加算以外の加算・減算を加えた単位数に、加算率を乗じて算出。

今回は、報酬とは別の補助金のシステムを用いることとしているが、できる限り速やかに事業所へ補助金を交付する観点から、総報酬に上記交付率を乗じることで交付額を算出。(各介護サービス種類ごとの介護職員数に応じて、月額平均9,000円相当の額を交付できるようにしている点は同様。)10月以降の加算率については、引き続き調整・検討予定とのこと。

補助金交付対象外(2022年2月からの賃上げ無し)

賃上げ分を補助金として交付する事業形態は上記の対象介護保険サービスで交付率が示されましたが、以下は今回の補助金の対象外なのでこの補助金をきっかけとした賃上げが行われることはなさそうです。

  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 福祉用具貸与(福祉用具専門相談員)
  • 特定福祉用具販売
  • 居宅療養管理指導
  • 居宅介護支援(居宅ケアマネ)
  • 介護予防支援

補助金取得要件

介護職員処遇改善加算Ⅰ~Ⅲのいずれかを取得している事業所(現行の処遇改善加算の対象サービス事業所)

介護職員処遇改善加算(Ⅰ)、(Ⅱ)又は(Ⅲ)について、いつの時点で算定している必要があるか。
令和4年2月サービス提供分以降について算定している必要があり、令和4年2月サービス提供分について同加算を算定していない事業所については、本補助金の対象とはならない。(2022年1月31日発出「介護職員処遇改善支援補助金に関するQ&A(令和4年1月 31 日)」の送付について,厚生労働省より)

• 上記かつ、2022年2月・3月(令和3年度中)から実際に賃上げを行っている事業所(事業所は、都道府県に賃上げを実施した旨の用紙を提出)

賃上げ効果の継続に資するよう、補助額の2/3以上は介護職員等のベースアップ等(「基本給」又は「決まって毎月支払われる手当」)の引上げに使用することを要件とする(4月分以降。基本給の引き上げに伴う賞与や超過勤務手当等の各種手当への影響を考慮しつつ、就業規則(賃金規程)改正に一定の時間を要することを考慮して令和4年2・3月分は一時金による支給を可能とする。)

 

令和4年2月分及び3月分の賃金改善は一時金等での対応も可とされているが、その場合、どの程度の賃金改善を行っている必要があるか。
毎月ごとに賃金改善額が補助額を上回ることを求めるものではないため、令和4年2月分及び3月分として見込まれる補助金額のすべてを、令和4年2月分及び3月分の賃金改善に充てる必要はない。
ただし、賃金改善実施期間全体で、補助金の合計額を上回る賃金改善を行うことが必要であるため、計画的に賃金改善を行っていただきたい。(2022年1月31日発出「介護職員処遇改善支援補助金に関するQ&A(令和4年1月 31 日)」の送付について,厚生労働省より)
「○月分の賃金改善」というのは、「○月に支払われる賃金を引き上げる」ということか。
賃金改善対象期間は、原則、令和4年2月分から9月分までとしており、「○月の労働に対する賃金を引き上げる」又は「○月に支払われる賃金を引き上げる」のいずれの方法もとりうるものであるが、現行の処遇改善加算等と異なる取扱いとならないよう、各事業所において適切にご対応いただきたい。(2022年1月31日発出「介護職員処遇改善支援補助金に関するQ&A(令和4年1月 31 日)」の送付について,厚生労働省より)
令和4年2月分から賃金改善を行うことが交付要件とされているが、令和4年2月分及び3月分の賃金改善は一時金で対応したとしても、4月分以降は毎月賃金改善を行うことが必要か。
本補助金については、賃金改善が賃上げ効果の継続に資するよう、賃金改善の合計額の3分の2以上は、基本給又は決まって毎月支払われる手当の引上げに充てることを交付要件としている。
そのため、令和4年2月分及び3月分の賃金改善は一時金で対応した場合であっても、令和4年4月分以降は、ベースアップ等による毎月の賃金改善を行うことが必要となる。(2022年1月31日発出「介護職員処遇改善支援補助金に関するQ&A(令和4年1月 31 日)」の送付について,厚生労働省より)
ベースアップ等による賃金改善を開始した後に、利用者が想定よりも増えるなど、補助金の受給額が計画書作成時の見込額を上回り、ベースアップ等に充てるべき額が増加した場合、必要に応じて再度就業規則等を改正し、基本給又は決まって毎月支払われる手当を更に引き上げることが必要か。
時給や日給を引き上げることは、ベースアップ等の引上げにあたるか。
基本給が時給制の職員についてその時給を引き上げることや、基本給が日給制の職員についてその日給を引き上げることは、ベースアップ等の引上げに当たる。(2022年1月31日発出「介護職員処遇改善支援補助金に関するQ&A(令和4年1月 31 日)」の送付について,厚生労働省より)
令和4年2月及び3月に一時金で賃金改善を行った場合、同年4月から9月までの6か月間においてベースアップ等に係る要件を満たしていればよいか。もしくは、同年2月から9月までの8か月間全体で当該要件を満たしている必要があるか。
令和4年2月及び3月に、ベースアップ等以外の賃金項目について賃金改善を行った場合であっても、同年2月から9月までの8か月間全体の賃金改善額の3分の2以上はベースアップ等に充てられている必要がある。(2022年1月31日発出「介護職員処遇改善支援補助金に関するQ&A(令和4年1月 31 日)」の送付について,厚生労働省より)
賃金改善実施期間における賃金改善額について、「当該賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担の増加分を含むことができる」とされているが、法定福利費等の事業主負担の増加分は、ベースアップ等による賃金改善に含めてよいか。
法定福利費等の事業主負担の増加分については、ベースアップ等による賃金改善には当たらないが、介護職員処遇改善加算等と同様に、ベースアップ等に充てた額以外の分として賃金改善に含めることは可能である。(2022年1月31日発出「介護職員処遇改善支援補助金に関するQ&A(令和4年1月 31 日)」の送付について,厚生労働省より)
賃金改善額の3分の2以上をベースアップ等に充てることが要件とされているが、ベースアップ等に充てた額以外の分について、用途制限はないのか。
賃金改善実施期間全体で、補助金の合計額を上回る賃金改善を行うことが必要であるため、ベースアップ等に充てた額以外の分についても、賞与や一時金等による賃金改善に充てなければならない。(2022年1月31日発出「介護職員処遇改善支援補助金に関するQ&A(令和4年1月 31 日)」の送付について,厚生労働省より)
「決まって毎月支払われる手当」とはどのようなものか。
決まって毎月支払われる手当には、労働と直接的な関係が認められ、労働者の個人的事情とは関係なく支給される手当を含むが、以下の諸手当は含まない。
・ 月ごとに支払われるか否かが変動するような手当
・ 労働と直接的な関係が薄く、当該労働者の個人的事情により支給される手当(通勤手当、扶養手当等)
就業規則等の改正が間に合わず、本年4月以降にベースアップ等による賃金改善が実施できない場合は本補助金の対象外となるのか。
問1 令和4年2月分及び3月分について一時金で賃金改善を行った場合、当該改善分をベースアップ等による賃金改善として取り扱うことは可能か。
令和4年2月分及び3月分について一時金で賃金改善を行った場合においても、当該対応が、単に就業規則等の改定がなされていないことのみの違いであるなど、同年4月分以降に行うベースアップ等による賃金改善を見越した対応である場合には、2月分及び3月分の一時金による賃金改善のうち、同年4月分から9月分までの間のベースアップ等による賃金改善分に相当する額をベースアップ等による賃金改善分に含めることとして差し支えない。
<例>
4月以降のベースアップ等による賃金改善額の平均が各月 7,000 円であって、2月分及び3月分の一時金による賃金改善が 18,000 円である場合、ベースアップ等による賃金改善分に含めることが可能なのは、2か月分の 14,000 円(7,000 円×2)までとなる。
(2022年2月2日発出「介護職員処遇改善支援補助金に関するQ&A(Vol.2)(令和4年2月 22 日)」の送付について,厚生労働省より)

対象となる職種

• 介護職員

• 事業所の判断により、他の職員(生活相談員、機能訓練指導員、看護職員、施設サービス計画作成者・施設ケアマネなど)の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用が認められる予定。

その他の職員の範囲は、事業所の判断で決められるのか。また、介護職員とその他の職員について、配分割合等のルールは設けられているか。
その他の職員の範囲は各事業所においてご判断いただきたい。また、本部の人事、事業部等で働く者など、法人内で介護に従事していない職員の取扱いについては、2019年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)(令和元年7月 23 日)問 13を参照されたい。
なお、その他の職員にも配分を行う場合は、介護職員の処遇改善を目的とした補助金であることを十分に踏まえた配分をお願いしたい。

申請方法 介護職員処遇改善計画書(介護職員処遇改善支援補助金分)

各事業所において、2022年2月から賃上げを行っていること、都道府県に介護職員・その他職員の月額の賃金改善額の総額(対象とする職員全体の額)を記載した計画書を提出します。

 

介護サービス事業者等は、介護職員処遇改善計画書(介護職員処遇改善支援補助金分)を、次の一から五までに掲げる事項について作成し、令和4年4月15日までに都道府県知事に提出することとされ、計画の様式例も合わせて示されました。

一 介護職員処遇改善支援補助金の見込額

賃金改善実施期間における介護職員処遇改善支援補助金の見込額をいう

二 賃金改善の見込額

賃金改善実施期間における賃金改善に要する見込額(当該賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担の増加分を含むことができる。)の総額(aの額からbの額を差し引いた額をいう。)であって、一の額を上回る額をいう。

a 介護職員処遇改善支援補助金により実施される賃金の改善見込額を加えた介護職員とその他の職員の賃金の総額
b 前年度の介護職員等の賃金の総額

令和3年2月から9月までの8か月間の介護職員とその他の職員の賃金の総額。なお、これにより難い合理的な理由がある場合には、他の適切な方法により前年度の介護職員とその他の職員の賃金の総額を推定するものとする。

三 ベースアップ等による賃金改善の見込額等

二のうち、基本給又は決まって毎月支払われる手当の引上げによる賃金改善に要する見込額及び他の賃金項目による賃金改善に要する見込額であって、介護職員とその他の職員毎の総額をいう。

四 賃金改善実施期間

原則、令和4年2月から9月までの期間をいう。

五 賃金改善を行う賃金項目及び方法

賃金改善を行う賃金項目(増額若しくは新設した又はする予定である給与の項目の種類(基本給、手当、賞与等)等)、賃金改善の実施時期や対象職員、一人当たりの平均賃金改善見込額をいい、当該事項について可能な限り具体的に記載すること。



報告方法(実績報告書等の作成)

介護サービス事業者等は、介護職員処遇改善実績報告書(介護職員処遇改善支援補助金分)を、次の一から三までに掲げる事項について作成し、令和5年1月末日までに都道府県知事に提出し、2年間保存することとする。

一 介護職員処遇改善支援補助金の総額

二 賃金改善所要額

各介護サービス事業所等において、賃金改善実施期間における賃金改善に要した費用(当該賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担の増加分に充当した場合は、その額を含む。)の総額(aの額からbの額を差し引いた額をいう。)であって、一の額以上の額を記載する。

a 介護職員とその他の職員に支給した賃金の総額
b 前年度の賃金の総額(7(2)二bの額)

三 ベースアップ等による賃金改善の見込額等

二のうち、基本給又は決まって毎月支払われる手当の引上げによる賃金改善額及び他の賃金項目による賃金改善額であって、介護職員とその他の職員毎の総額をいう。

 

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処遇改善加算と特定処遇改善加算の違い、併用の整理を

介護保険サービスの事業所での賃上げや介護職員の給与に当てる手当についてはすでに処遇改善加算と特定処遇改善加算があり、介護報酬で支給される形式がかなり複雑化してきた印象です。

国としては少しでも早く介護職員の賃上げをし、介護事業者に補助金を届けるという名目ではありますが、補助金の継続性が不透明であること、2022年2月から賃上げをしていないと補助金支給要件に該当しないというタイトなスケジュールであること、介護報酬の仕組みが複雑になりすぎていることなどいろいろ重なって、この補助金を取得する意欲がわく事業所がどれぐらいいるのかわかりませんね。

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